悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
「まさかアイツら、うてなはん達一般人を巻き込むとはなぁ……」
「えぇ……同じ魔法少女として、許せるものでないわ」
お化け屋敷の騒動の翌日、私達トレスマジアはファミレスでシオちゃんズに対しての緊急会議を開いていた。
と言うのもシオちゃんズは腐っても魔法少女。だと言うのにうてな達一般人を巻き込んだ件はトレスマジアとしてはとてもじゃ無いが感化できないとの事。
……うてな達はエノルミータだから実は一般人は誰も巻き込まれてなかったんですが…………まぁ、誤解されても仕方ないことをあっちはしてるし、誤解を解いてうてながベーゼってバレたら二学期が始まってから毎日学校行くたびに戦争になってしまうんで放っておきましょう。
そんなことを考えていると、サルファがこちらを向く。
「昨日イミタシオ達とやり合ったんやろ。一人で大丈夫やったん?」
「ケガしてるなら癒すよ?」
大丈夫ですよ。昨日少しケガしましたけど戦いが終わった後に自力で回復したんで、後サルファが複雑な表情しているんで、そう言うことを言うのは少し控えた方が良いかと。
「問題ありません、闇真化をつかってボコボコにしました。あ、これそのときの動画です」
ロコルベ虐待動画も飽きが来ていい加減新しいオカズが欲しかったので、イミタシオにケツバットしてる際の様子を動画に納めていたんですよねぇ……。
当分はこれで愉しめると考えながらスマホを差し出すと、動画を見たマゼンタは「ヒェ……」と青褪め、アズールは「ケツバット……」とヨダレを垂らし、サルファは「へぇ……ふぅん……」とニヤニヤ笑う三者三様の反応をする。
「ちょ、ちょっとやりすぎじゃ…………力一杯殴りすぎて血が出ちゃってるよ……?」
「マゼンタは優しいなぁ、うちは丁度ええと思うけど。相変わらずのええ趣味やけど、こればかりはスカッとするわ」
「ちゃんと報いを与えてくれたのね。これに懲りて一般人を巻き込むのをやめてくれれば良いけど…………それよりもカーネリアン……」ハァハァ
「えぇ。最後の一発を結局打てずじまいだったので不完全燃焼なんです。アズール、また今度ケツバットしても良いですか?」
「えぇ、構わないわ! 全力で打ち込んで良いわよ!!」(サムズアップ)
「やった」
「そう言うのはうちらのいない所でやってもろてええか? ……ま、痛い目見たなら次会うたときに一発ブン殴ってそれで良しとしとこか。一応アイツらもエノルミータに恨み持った連中やしな」
「そうだね。カーネリアンに酷い事したとはいえ敵は同じなんだし、分かり合えたら良いんだけど…………」
そう言いながらチラリと私の方を見るマゼンタ。
被害者の私としてはしっかり喧嘩を売ったケジメとしてオモチャになって最後まで遊ばせてくれれば問題ないんで気を使わなくて良いですよ。
それにイミタシオの正体についても……私の考える人物ならば前回我慢した件も含めてじっくりと上下関係叩き込んで逆らえないようにしないといけませんからねぇ。
◇
その後、トレスマジアでの話し合いの末シオちゃんズに対しては次にあったら一発ぶん殴ると言う事で話が落ち着いたため解散となった私達。
普段ならこのまま家に帰る私だが今日はこりすちゃんにおもちゃを買ってあげる約束をしていたので、集合場所であるおもちゃ屋に移動する。
こりすちゃんにおもちゃを買い与えてしまうのはネロアリスの戦力がアップする事だから、トレスマジアとしては本当はいけない事なんですが、あの決戦でおもちゃを失って夜に啜り泣いてる姿を見てしまったのでお姉ちゃんとしては無視できないんですよ。
「こりすちゃ〜ん」
「!」
おもちゃ屋の前でうてなとキウィと一緒に待っていたこりすちゃんに声をかけると、彼女は私を見るなりこちらに走ってきて抱きついてきた。
あ〜可愛い、相変わらずお姉ちゃんっ子ですねぇ。……いつものようにこのまま絞め殺したいと言う感情が湧いてきますがとっとと落ち着いてくださいね。それは流石にシャレになりませんし。
「アハハ、ほんとにこりすちゃんはお姉ちゃん大好きだね」
「このシスコンめ〜、ウリウリ〜……あっ、コラこりすやめろ叩くな〜」
「(怒)」ポカポカ
あらあら、照れちゃって可愛いですねぇ。
相変わらずお姉ちゃんっ子なこりすちゃんにほっこりしながら、早速こりすちゃんの新しいおもちゃを見繕うためにお店へ入る。
「来たぜおもちゃ屋さ〜ん!! オラこりす、約束だかんな〜!! めいっぱい選べよ〜!!」
「走っちゃダメだよキウィちゃ〜ん!」
「キウィ、妹落としたら埋めますからね!!」
全く、キウィったらこりすちゃん以上にはしゃいで……。
でもせっかくの機会。アイドル活動のギャラで懐が潤っているし、アリスちゃん頑張って夏休みが始まる前に夏休みの宿題を日誌以外終わらせてたので、今日は沢山買ってあげましょう。
「……えりすちゃん」
「なんです?」
「昨日の件について、少し情報交換しない?」
「嫌です☆」
「え、なんで!?」
「変身してないなら友人関係ではありますが、私とあなたはトレスマジアとエノルミータ……やはりそこら辺はしっかりしとかなければいけないと思うんですよねぇ」
「なんかそれらしい事言ってるけど目が泳いでるよ! また魔法少女らしくない事したんだね!? ねぇ、こっち向いて!!」
正直に昨日イミタシオにケツバットした事を話したら、厄介オタクモードで詰め寄ってくるのは目に見えてるんです。
逃げるようにキウィとこりすちゃんを追うと、こりすちゃんが一つの棚を見ていた。それを見るとそこにあったのはシルバニアファミリー。
「もう、えりすちゃんったら後でお話しね!? …………あ、こりすちゃんそれ可愛いねぇ」
「ん」コクリ
「小さい頃私も遊んだなぁ、このおうちに家族とか小さい家具とか並べて可愛くして……」
「ですです。全部集めて理想のお家作ったらとても達成感あるんですよね」
ガチャガチャで武器とかを集めて、血糊とかを作って強盗殺人の現場を完成させたのは良い思い出です…………。
それをここで口に出したら脛を蹴られそうだなと考えていると、こりすちゃんはぐりんとこちらを向くととても良い顔でサムズアップをしたのだった。
「気に入ったなら買っちゃいましょうか」
「ん!」コクリ
「あれぇ? えりすちゃんにこりすちゃん。それにうてなちゃんも!」
「え?」
つい先ほど聞いた声に後ろを向くと、そこにいたのはこりすちゃんよりも小さい女の子三人を連れたはるかだった。あらあら先程ぶりですねぇ。
「おーい、偶然だねぇ!」
「ですね。先ほどぶりです」
「は……はるかちゃん! と……」
「うん、あたしの妹なんだぁ! 三人とも、挨拶しよ?」
「なつな!」
「あきほ……」
「みふゆ!!」
「「「よろしくー!!」」」
「ん!」コクン
元気よく挨拶したはるかの妹達だが流石はフレンドリーなはるかの妹、こりすちゃんを見つけるなりお姉ちゃんに勝るとも劣らないフレンドリーさを発揮してあっという間にこりすちゃんと仲良くなってしまった。
「はるかちゃん妹さんがいたんだね……」
「うん、三つ子なんだぁ。こりすちゃんに紹介したいなぁって思ってたけど丁度よかったね」
こりすちゃん同年代のお友達が少ないので素直にありがたいです。聞けば同じ小学校らしいのでこれを機に学校でもお友達増えてくれれば良いんですが……。
そんな事を考えていると、行方不明になっていたキウィが沢山のおもちゃを抱えながら戻って来た。
「えっ、はるかっぴ子供いたの? ヤバ〜」
「妹だよぉ!」
「仮に親子だとしてはるかが何歳の頃の子供ですか……」
「もうキウィちゃんったら……どこ行ってたの?」
「そりゃあうてなちゃん!! こりすが喜ぶおもちゃを見繕ってたのよ!!」
『変! 身! ウルトラマム!!』
そう言ってキウィが取り出すはウルトラマンのパチモノ、ウルトラマムの変身アイテム、スパークレンヌ。それを見たこりすちゃんとうてなは予想通り微妙な表情。そりゃそうです。
「なんでそんな顔すんの!!」
「だからおもちゃにもジャンルあるんですって。あとこれ偽物なので買うならあっちのGUTSスパークレンスのほうがいいかと」
「え〜、こっちの方がカッコいいじゃん!!」
「「「いかす」」」
「!?」
「ホラ見ろ!!」
どうやらはるかの妹ちゃん達からは大好評だったようで、それを見たこりすちゃんもやがてスパークレンヌで遊び出す。
どうやら周りの子に影響を受けて気に入ったようだ。
「んだよ結局気に入ってんじゃん〜」
「GUTSスパークレンスの方がいいと思うんですがねぇ……」
「アハハ……」
買って来たおもちゃでキッズスペースで遊んでいるはるかの妹ちゃん達とこりすちゃんを眺めていると、はるかがしみじみと呟く。
「昨日のお化け屋敷は怖かったけど今日は平和だねぇ……あたしねぇ、毎日が今日みたいに楽しくって穏やかだといいなぁって思うんだぁ」
「ですねぇ。トレスマジアが退屈しているほどの平穏な日常がくればいいんですが……」
「ワカルワー」
「ゔ」
棒読みなキウィはともかく、罪悪感で心にダメージを受けたエノルミータの総帥だった。
これを機にやめてくれてもいいんですよ。……え、嫌? あ、そう。
◇
「じゃあみんなまたねぇ!!」
「「「ばいば〜い!!」」」
「まったな〜!」
「ほら、こりすちゃんも」
「ん!」ブンブン
その後ある程度買うものも決まったのでお会計を済ませてお店を出た私達。
いや〜、私ももう中学生ですが久しぶりにおもちゃ屋に来てテンション上がってしまいましたよ〜。
「♪」
「気に入るのが見つかって良かったねこりすちゃ──ちょ、こりすちゃん!!」
「え?」
今日はお家でこりすちゃんが気が済むまで遊んであげようと考えていると、うてなの驚愕の声で隣を向く。するとそこには購入した怪獣のおもちゃに魔力を注ぎ込んでいるアリスちゃんの姿が……。
「ちょ、コラ! めっ! めっですよこりすちゃ──」
『ギャォオオオオッ!!!!』
「…………」
私の静止の声も虚しくアリスちゃんの魔力でおもちゃの怪獣は巨大化し、近くのビルに届くほどの大きさになると咆哮をあげる。
……どうやら沢山おもちゃを手に入れた事でそっちで遊びたくなったみたいですね〜。
「うひょ〜、大迫力〜!!」
「ア、アリスちゃんストーップ!!」
「……」プイプイ
「あ、止まらなそうな顔!!」
「…………」
ベーゼに変身したうてなが必死に止めようとしても止まらないアリスちゃん。
あらあら、悪い子ですねぇ。
私は無言でマジアモードに変身して怪獣の前に立つと、胸いっぱいに空気を吸い込む。
「正座ッッ!!!!」
「!?」
『!?』
私の一声でアリスちゃんと怪獣はピタリと止まると脊髄反射で正座をする。
怪獣の正座する姿はなかなかシュールですねぇ。いやいや、それよりも先に…………。
私は無言で正座している怪獣の頭に降り立つと、やってしまったという顔で滝のように冷や汗を流しながら正座しているアリスちゃんにニコリと微笑む。
「さぁ、アリスちゃん。お説教の時間ですよ♡」
「…………」ダラダラ
「さ、流石ねーちゃん。アリスが一発で止まった……」
「ア、アリスちゃんにとってカーネリアンって天敵だったんだね……」
おもちゃをゲットした嬉しさで我を忘れ、ついついお姉ちゃんの前でおもちゃを巨大化させてしまったお茶目なこりすちゃんでした。
〜おまけ〜
おもちゃを選んでいる最中……
「そう言えばえりすちゃんもシルバニアファミリー持ってるんだよね? それ遊んでないならこりすちゃんにあげたら?」
「血糊で汚れてましたし、こりすちゃんの教育に悪いと言う事でお母さんに捨てられてしまい……当時は凄く泣きましたね」
「うん、どんな遊び方したのか大体分かったよ。小さい頃からそんな感じだったんだね……」
「はい。それにそんなくだらない理由以外にもこう言うのは新品の方がいいでしょう? ドールハウスのギミックなんかも昔より増えてますし」
「確かに新しいシリーズの方がこりすちゃんも喜ぶかも……」
「はい。何でもかんでもお下がりというのはダメなんです。…………あ、このギミックがあればより家の中の様子を見ることができますね。この際私も買ってかつてのものを超える惨劇の再現を……」ハァハァ
「こりすちゃんに叩かれても知らないからね?」