悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
「行きなさいパンタノドール!!」
パンタノペスカの命令で周りの人形達は私達目掛けて防御を捨てて組みついてくる。
力自体は私の方が上ですけど、こんなにたくさん組み付かれたら身動きが取れそうにないですねぇ……。
「これは……!」
「あ、あぁ……複数人でそんな……お、押しつぶされるぅ…………♡」
「こんなときまで悦んでんじゃねーよ。マゾ女! こうなりゃ……」
「レオ、銃火器の使用は危険です。私やアズールはどうでもいいとしても、ベーゼを巻き込みますよ!!」
「クソが……!!」
出来る範囲で私の人形を殴り倒していた私だが、やがてパンタノペスカの「散開!!」という掛け声と同時に人形達は距離を取る。
一体どう言うつもりでしょうか…………あぁ、なるほど……。
「こ、これは……まずい、見分けがつかない…………」
「クソ……ベーゼちゃん、アタシはここだよ〜!」
「ザケンな本物はアタシだ!!」
「お前こそ嘘つくな!!」
「レオちゃん、私はここ」
「違うでしょう私はここです……!!」
本物を含めた人形達がそれぞれ自分が本物と主張し合うせいで誰が本物か分かりませんね……。
彼女らは些細な特徴すらも正確に再現されているから誰が誰かを見極めるのは至難の業…………しかもご丁寧に匂いまで再現されているから匂いで見分ける事も難しい……。
「チッ……どいつもこいつも才能の無駄遣いをして…………!!」
「くそうぜ〜! マネしやがって〜!!」
こんな事なら手でも繋いでおけば良かったですね。本物のアズールが見分けられない……。どうしたものでしょうか…………。
いえ、一発で見抜く方法はあります。それは全員を攻撃すること……ドMなアズールなら食らってもヨダレを垂らしながら笑って許してくれるでしょう。しかしそんな安直な解決法はただの逃げです、全員と向き合って本物を見つけてやろうじゃないですか……。
「カーネリアン、あなたなら見分けがつくわよね! 私が本物よ!!」
「いいえ私よ……!!」
「…………」
落ち着きなさい、私……どんなに精巧に作ったとしても偽物は偽物……本物との違いは必ずあるはずです……。偽物になくて本物にはある違い…………そうだ!!
「……アズール! あなたが真化して私を倒したのはどうして!? 本来ならば戦う必要は無かったはずなのに!!」
「え……」
「それは……」
私の質問に口が止まってしまう大量のアズール。
だがそんな中で一人が声を張り上げる。
「カーネリアンの……愛で溢れるあなたの闇はそこまで深くないと証明するため……!!」
「っ! 見つけましたよ!!」
声を張り上げた本物のアズールの手を取る。
いくら本物と見分けがつかないように作った偽物だとしても、所詮は土塊。思い出や記憶までは真似できなかったみたいですねぇ!!
「しっかり捕まっていてくださいね!」
「え、えぇ……////」
顔を赤らめながら返事をするアズールを無視して弓矢を引く。
ベーゼ、レオ。申し訳ありませんがあなた達二人は食らっていただきますよ…………。
だがその直後一人のレオが建物内に響き渡るほどの大声で叫ぶ。
「ベーゼちゃんは!! おへそが弱い!!!!」
「………………は? ////」
レオの急なカミングアウトに呆然とする偽物の中で一人、へそを隠して顔を赤らめる本物のベーゼ。
それを見たレオはニヤリと笑って「
「んじゃ、本来敵同士だし巻き込んじまっても恨みっこなしな!!」
「……それはこっちのセリフですよ!!」
「滅殺光線シュトラール!!」
「マジカルブレイジングレインッ!!」
私の弓から放たれた分散する矢と同じくレオのかぎ爪から放たれた爆撃は、互いにぶつかり合いながらも人形を破壊していき、攻撃が終わる頃には本物以外は全員ボロボロになり他に伏せてしまっていた。
「なん……ですってぇ!?」
「レオちゃん……!!」
「見た目では分からなくても思い出までは嘘がつけない……真実の愛の前には偽物も無力ということね!!」
そういう事です!
さぁ、残るは最早因縁の相手と化したパンタノペスカだけ……今度という今度こそはランスでその私並みに実った胸に風穴を開けてやろうじゃないですか…………!!
「覚悟はよろしいですね。念仏を「待て、普通にやるよりいい方法がある。ほらよぉ!!」……え?」
「なっ……!?」
変身アイテムを取り出して構えると、その直後レオがパンタノペスカに何かを投げつけると、戦闘型でないパンタノペスカはそれを避けられず見事胸にくっつく。
「何ですのこれは!」
「ただの爆弾だよ、バ・ク・ダ・ン〜。テメーが逃げようとしたり〜、自分の身体にさわったら爆発すんぜ〜」
「身体に触ったら爆発……? 敵に仕組みを明らかにするなんて愚かしいのではなくて?」
パンタノペスカに同感です……しかし一見バカに見えて実は聡明なレオはニヤリと笑いながらベーゼへと歩み寄ると、彼女に抱きついた。
「レ、レオちゃん……?」
「ねぇ、ベーゼちゃん……見せつけてやろっか〜、アタシ達のこと♡」
「……!」
「え……ふ、二人ともまさか…………」
「そういう事みたいですね……」
パンタノペスカは他カプは解釈違いと言っていた。故に他カプの良さというものをパンタノペスカにわからせよう言うのですね……。
小声でレオに何かを尋ねたベーゼは彼女から承諾を受けると、挑発的な笑みを浮かべてパンタノペスカを見る。
「それでは、分からせて差し上げましょうか♡」
「一体何を……考えているんですの……?」
何が起きるのかと戸惑うパンタノペスカの近くで、ベーゼの胸の谷間にキスをし始めるレオ……。
「イヤーッ! おやめになってくださいまし!! 他カプは地雷と申しあげたはずですわよ!?」
悲鳴をあげて数歩下がるパンタノペスカであるが、逃げたら胸の爆弾が爆発すると思い出し、悔しそうにしばらく彼女の方を向いていたが、やがてこちらを見始める。
……どうやら私達を安全圏と見定めたようですね。ん? ベーゼとレオもこちらを見てどうしたんでしょうか……あぁ、私たちもやれと?
「……え、えぇ!? ちょ、ちょっと待ってくれません!?」
さ、流石に困るのですが……!? 確かにアズールにそういうことしたいなとは思っていますが……ですが恋人でもない人と……なんて…………。
「カーネリアン……このヘタレ!!!!」
「!!」
レオの言葉にハッとする私。
その言葉はかつて私がレオに……キウィに言ったセリフ…………まさかキウィに言われてしまうなんて……。
……ですがレオの言う通りです。煮え切らないのにベーゼとアズールのあの動画を見てとても悲しく、悔しくなって…………いい加減この気持ちを正直に表に出すべきですね。
「〜〜っ! 上等です、女を見せてやろうじゃないですか!!」
「……カーネリアン? んぁん♡!!」
隣でベーゼとレオの情事から目を背けていたアズールに向き直ると、容赦なくしかし優しく彼女の胸を揉む。
……か、顔が燃えるように熱いです…………。しかしこれはキッカケを探し続けていた私にとって、またとない機会でもあるでしょう。
チャンスは一度しか来ない……。なので今だけ、今だけでいいので勇気を持ちなさい、杜乃えりす……!
「あ、あなた達もですの!? 魔法少女の癖にそんなふしだらな事……恥を知りやがれですわ!!」
「あなたには言われたくありませんよ。……やはりアズールはここが弱いみたいですねぇ…………////」
「だ……ダメよ流されないで……ぁん♡! 好きでもない人と……こんなことぉ……////」
「……いいえ。今回だけはベーゼとレオの思惑通り、流れに乗らせていただきます。さもないと勇気が持てないので…………。私は……本当に好きな人にしかこんな事はしませんよ…………////」
「! か、カーネリアン。それって……!」
うぅ、はっきりと言ってしまった……し、しかし目を背けてはいけません。まだ本当に伝えたい事を伝えてないんです…………。
逃げ出したくなる自分に心の中で喝をいれると、アズールの顔を真っ直ぐ見据える。
「好きですアズール……友達としてではなく……その……ラブと言う意味で…………流れに身を任せたとは言え……パンタノペスカを騙すためでなく本当に……えっと……あ、あ……愛して……ます……////」
ぜ、全部言ってしまった…………そ、そこの二人! いちゃつきながらニヤニヤ笑うのやめてもらって良いですかねぇ!? 他人事だからと愉しんで……!!
「…………」
「…………」
彼女の反応はない……。やはりそうですよね。周りにそう言う関係の人が多すぎるから感覚麻痺しそうですけど、本来同性でと言うのはおかしいですし、小夜からしてもいい迷惑でしょう……ですがこの気持ちを口に出した事、後悔はありません……。
そんな事を考えていると、アズールは目に涙を浮かべながら私の頬に両手をそえる。
「そう……だったのね……私達、両片想いだったのね……」
「…………!」
そう言ってアズールは顔を近づけて…………私の唇に自分の唇を押し付けた。
バグォォォン!!
その直後、パンタノペスカの方から爆発音が……どうやらベーゼとレオ、私とアズールに耐えきれなくなってしまったみたいですね……。
「……へっ、これで分かったか〜? アタシ達とカーネリアンどもの良さがよ〜♡」
「あひ……ひ……はが……は、反則ですわ……ベーゼ様達のエッチの押し付けに……アズール様達と甘酸っぱい告白の瞬間……んなもん耐えられるわけないですわ〜……♡」
「貴女の負けですねパンタノペスカ、観念してお答え願いますよ。一体貴女達はなんなのですか……? どうやって魔法少女の力を手に入れたのです? イミタシオはまだ何か隠している事があるのではないですか?」
「くっ……」
パンタノペスカは爆発のダメージを押してゆっくり立ち上がると……それはそれは綺麗なフォームで建物を脱出して夜空へ飛び立つ。
「誰が教えるかですの! これで終わりだと思わない事ですわ〜!! あとカーネリアン様とアズール様はお幸せに〜!!」
「もっと魔法少女らしい言葉を使いなさい!! ……全くもう」
「にゃっはっは〜、大勝利〜。…………それで、ベーゼちゃん」
「「…………////」」
「顔真っ赤にしてるコイツらどうする?」
「……まぁ、今日は悪さをしないって決めてますし、このタイミングで襲うのは空気が読めなさすぎです。……それでは私達は先に失礼しますよ。アズール、カーネリアン…………」
そう言って静かに立ち去ったエノルミータの二人。
「……私達も帰りましょうか」
「……そうね」
◇
その後私達は変身を解除して夜道を歩いていた。
「…………」
「…………」
「……小夜」
「……うん?」
「申し訳ありませんでした」
私は彼女に頭を下げる。
よく思い返してみたが、キッカケ作りには丁度良かったとしても告白するにはあまりにもムードもない展開。流石に罪悪感が湧いてしまったのだ。
「もっといい雰囲気でやるべきだったのに、私が勇気を持てないばかりに…………」
「べ、別に謝らなくてもいいわ……! 私だって本当の気持ちを伝えたかったのに勇気を持てなかったんだから……//// あんなな場面だとしても勇気を出して伝えてくれて私は嬉しかった……気持ちを正直に伝えてくれて……。カーネリアンが仲間になってから、貴女の愛が特別心地よかったのは愛し合っていたからなのね……」
「そう……なんですかね? ……あ、あの……あんな形での最悪な告白でしたが、私とお付き合いしていただけますか?」
私の身勝手な問いに対し、小夜はにこりと微笑んだ。
「もちろん。これからよろしくね、えりす!」
「……はい!」
キウィの発破により勇気を出したえりすの告白し、無事小夜と結ばれた……!!
……急展開過ぎましたかね?
〜おまけ〜
翌日……
「ん〜、やっぱりえりすのご飯は美味しいわ。あなたの恋人になる人は幸せね〜」
「そ、そそ……そうでしょうか……////」
「……え、何その反応? 普段は適当に聞き流すのに……え、も、もしかしてえりす……好きな子出来たの?」
「…………はい。と言うか昨日……告白しました」
「……え、ちょ……えぇ!? ちょ、ちょーっとお母さんにその事詳しく教えてくれるかな〜!?」
「恥ずかしいので嫌です! あ、私宿題やり忘れてたので急いでやらなければ……それでは!!」
「あ、ちょ……! ……まさかあのえりすが……今夜は早く帰ってきてお赤飯炊かないと……」