悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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薫子とたまネモの声が聞こえますね……

「小夜、放課後空いてません? もう一度デートしましょう!」

 

「分かったわ! もう一度愛を育みましょう!!」

 

 小夜とお付き合いを開始して早い事でもう数日が経ったが、まだデートをしてきない私達。故に前回ベーゼに邪魔されたリベンジをするべくもう一度デートに誘い、無事承諾をいただきました。

 

「それではどこへ行きましょうか? 前回と違って予定を立ててないんですよね……」

 

「そう……あ、ならえりすが好きそうな喫茶店を見つけたから行ってみない? そして終わった後はジムで汗流しましょう?」

 

「あ、いいですねぇ。それでは早速「……」っ! あら、こりすちゃんどうしてここに……?」

 

 早速その喫茶店に行こうとするがその直後、背後に何かが抱きつく感触がしてそちらを向くとそこにいたのはこりすちゃん。

 

「あ、あの……お姉ちゃんこれから小夜とデートなんですが…………?」

 

「……」プイ

 

 私の訴えを無視して更に強く抱きついてくるこりすちゃん。

 も、もしやこの子嫉妬している……? 確かにこりすちゃんが産まれてからここまで大きくなるまでたくさんの愛情を与え続けた結果、見事なお姉ちゃんっ子に成長しましたがまさかここまでだったとは…………。

 

「……」ジー

 

「こらこりすちゃん。人をあまり睨みつけるものではありませんよ?」

 

「……」ジー

 

「…………」

 

 もう、ほんと頑固なんですから! …………しかしまずいですね、タダでさえこりすちゃんはネロアリスという事で妹持ちのはるか以外のトレスマジアメンバーからの株が低いと言うのに、こんなあからさまに敵意を示したらもっと関係が悪くなってしまいます……。

 だが私の心配をよそに私に抱きついてジーッと小夜を睨むこりすちゃんに対して、ニコリと微笑みながら視線を合わせた小夜。

 

「あなたも一緒に来る?」

 

「「へ?」」

 

 あまりに急な提案に私だけでなく、こりすちゃんも困惑の声をあげたのだった。

 

 

 ◇

 

 

「申し訳ありません。せっかくの初デートだと言うのに……」

 

「うぅん、これも立派な愛、それを否定するなんて私には出来ないわ」

 

「……」(눈_눈)

 

 そう言って意味深にこりすちゃんに微笑む小夜。

 そう言えば小夜はそこに愛があるならば全てを受け入れるスタンスでしたね。こりすちゃんの嫉妬心を察してその想いを汲んでくれるなんて…………しかし嬉しい反面少しだけ複雑ですね……ま、まぁ妹との折り合いが悪くなって別れる事になるよりはマシですが。

 

「お待たせしました〜、こちらハチミツたっぷりチーズパンケーキと抹茶パンケーキ。そしてこちらは特製たまごサンドです〜」

 

 あ、来た来た……ってどうして私の前にたまごサンド置かれたんですかね? 私が注文したのチーズパンケーキなんですが……。

 

「ん」

 

「ありがとうございます。はい、こりすちゃん」

 

 こりすちゃんの前に置かれたチーズパンケーキと取り替えると早速いただこうとパンケーキにナイフを入れる。

 っ! こ、これは…………!!

 

「み、見てください。パンケーキの間にとろとろのチーズが……! てっきりチーズ蒸しケーキのようなものかと思いましたが、そう来るとは……!!」

 

「クスッ、そうね」(子供みたいにはしゃいで……本当に甘いものが好きなのね)

 

「…………」

 

 ……ハッ! いけないいけない。ついついはしゃぎすぎてしまいました。それでは小夜もこりすちゃんも呆れて……いや、なんで二人ともほっこりしたような顔で私を見てるんですかね?

 ま、まぁいいです。それでは早速…………おぉ……!!

 

「…………ん〜♡」

 

 このチーズは甘くないですが、挟んであるパンケーキ生地が甘めに作られているから中和されてそれはそれは素晴らしいハーモニーを……しかもハチミツとチーズの風味も互いを高め合って…………最高です!

 これはぜひ共有しなくてはいけませんね。

 

「小夜、これとても美味しいですよ。あーん?」

 

「え……そ、そうよね。これはデートだもの……あー「アム」あぁ!?」

 

 小夜にパンケーキの刺さったフォークを差し出すと、小夜は顔を頬に染め上げながらそれを加えようとする。……しかしその直後こりすちゃんが私の手を掴んでフォークを自分の口元へ持っていくとパクリと食べてしまった。

 

「……」モグモグ

 

「こ、こりすちゃん……あなた甘いの苦手なはずなのに意地を張って……!!」

 

 しばらく冷や汗を流しながらも咀嚼していたこりすちゃんだが、やがて顔の筋肉から力が抜けて美味しそうな顔で食べ始めた。

 あら、甘いのダメなはずなのにこれは気に入ったんですか?

 

「すみません、食べられちゃいました」

 

「大丈夫よ、期待してたのに焦らされる感覚も悪くはないから……!」ハァハァ

 

 流石にこりすちゃんの食べたフォークで間接キスさせるわけにはいかないと小夜に謝るが、彼女はサムズアップしてそう答える。

 そして自分のパンケーキを一口大に切り分けて私に差し出してくる。

 

「えりす、あーん?」

 

 っ!!

 前回はベーゼに邪魔されて出来なかった、小夜のアーン…………デートに誘ってから期待はしていましたがやはり緊張しますね。

 しかし告白したときと比べたら緊張なんてしません。やってやろうではないですか……!!

 

「ア────」

 

「え!? 何!? キスってアンタら付き合ってないのに!?」

 

「今こっちが質問してんねんけど!!」

 

「声デケーよお前ら!!」

 

「「「…………」」」

 

 い、今の声は薫子とたまネモ……?

 すぐさまフォークを口に入れると、抹茶風味のパンケーキの味を堪能しつつ声のした真後ろを向く。

 

「……壁で仕切られてますが、間違いないですよね…………?」

 

「え、えぇ。薫子と、何やってるのかしら……?」

 

 いくら壁で囲まれていると言っても話の内容が聞こえないわけではない。

 既にこりすちゃんも壁に耳を当てて話の内容を聞く準備は万端の為、バレないように声を出さずに耳を澄ませてみる。

 

「それでどうなんキスしたん……?」

 

「キス……は、その……」

 

「まぁ……し……」

 

「フーン、そなんやフーン」

 

「そう言う薫子はどうなんだよ。事と次第によっちゃ話変わってくんだろ……?」

 

「詳しくは言われへんけどウチのは事故……みたいなもんで……。はるかはそれ自体知らへんし」

 

「知らない間に唇をって……えぇ…………!? ダメでしょアンタそれは……」

 

「ちゃうわアホッ!!」

 

 と言うかはるかと薫子がキスしたのってあなた達の総帥のせいですし……そこの所分かってますか?

 

「とにかく……きっかけっちゅーと、それやと思うんよ……。はるかってな、めっちゃええ娘やさかい誰に対しても同じく一生懸命頑張んねん。…………でもそう言うの見てると、ウチだけに向けてほしいなとか思ってしもて……。アカンやんって、ウチ嫌やなって思うけど止められへん…………」

 

「「……薫子」」

 

 まさかそこまではるかの事を好いていたとは……相談してくれたら恋バナに付き合って差し上げたのに…………。いや、私や小夜の性格的に碌なこと聞けなさそうって思ったんでしょうが…………。

 そんな事を考えていると、静かにネモが話し出す。

 

「あの……さ、何つーか……上手く言えるか分かんねーけど、アタシらうてなの馬鹿に、いや色々あって強引に……まぁ、うん」

 

「……ねぇ、うてなさん何やったのかしら?」

 

「それは……」プイ

 

「……」プイ

 

「ほ、本当に何をやったの……?」

 

 言えません。まさかセッ○スしないと出られない部屋に閉じ込めただなんて……。と言うかよく考えたらあんな事されてよくもまぁうてなと一緒にいられますよね。真珠もネモも……。

 

「友達同士みたいな関係だとよ……ずっと一緒にいるのが当たり前で、そうなると……自分の気持ちを伝えんのもビビって来るっつーかさ……」

 

「確かにね……だからキウィとかは凄いと思うわよ」

 

「アイツはアホだしな。フツーあんなガツガツはいかねぇって……それに最近誰がとは言わねーけど、うてなの友達が告白したって聞いたんだよな」

 

「えりすやね……。口では軽く告白した言うとったけど、あれ本当に勇気を出したんやなって伝わって来てん」

 

「でもアイツも急すぎるわよね、多分ちょっとしたキッカケに全てを賭けたパターンよ」

 

「えぇ……フラれる可能性高いやつじゃねえか」

 

 え、ここで私も引き合いに出します?

 いやまぁ真珠の指摘通り、ちょっとしたキッカケ……場の空気に流された勢いで言ってしまったタイプなので反論できませんけど……。

 

「だからまぁキウィやえりすみたくしろ……って言うわけじゃねーけど。少しずつ……さ、薫子の心を知ってもらうのが良いんじゃねーかな……。自分の想いは抱えるだけじゃ伝わらねーから、少しずつ勇気だしてさ…………じゃねーとアタシらみたくわりとこじれっから……」

 

「あ"〜言わないでよ恥ずかしいわね……」

 

「……そっか」

 

 …………これははるかと薫子が結ばれるのも近いかもしれませんね。いえ、はるかもわりと鈍感ですし難しいでしょうか……?

 しかしはるかも私や小夜以上に薫子に懐いている節がありますし、いつかワンチャンあるかもしれませんね。

 

「……薫子もはるかに愛を伝えられたら良いわね」

 

「ですね」

 

 二人のことを考えていると後ろから「よっしゃ」と席を立つ音が聞こえる。

 …………あ、これヤバいやつなのでは?

 

「ええ時間やさかい。そろそろ出よか」

 

「そうね、ジュースも飲み終わったし。んじゃネモ支払いよろしく〜」

 

「お前、マジザケンなよ?」

 

「ええってええって、ここはウチが奢る……か……ら……」

 

「「あ」」

 

 レジへ向かおうとする薫子が私達を発見して静止する。

 そしてしばらく白黒になっていた彼女だが、やがて青筋を浮かべながらニコリと微笑む。

 

「お前らァ……いつから聞いとったん?」

 

「え、何の話ですか? せっかくのデートとスイーツで浮かれてて薫子や真珠にネモがいるなんて、今この瞬間まで気がつきませんでしたけど……」

 

「え、そうなん?」

 

 私の発言に眉間の皺が薄くなる薫子。

 フフフッ、こういうときは決して動揺せずに自然体で今気づいたととぼければバレないものなんですよ。私の演技力を舐めるんじゃないですよ……。

 

「おい騙されんな薫子、サイコパスなえりすはともかく小夜さんとこりすのやつ挙動不審だぞ」

 

「え、そ、そそ、そ、そんなこと……ないわよ!?」

 

「……」プイ

 

「……こりすって誤魔化そうとするとき、自分の髪をいじる癖があるのよねぇ……」

 

「!」( º ㅿº)ハッ!!

 

「ほぉう……? ウチを騙そうなんてええ度胸やんえりすゥ……?」

 

「……遺書を一筆したためる時間をください」

 

 見事に誤魔化しきれたと思ったら、小夜とこりすちゃんのせいですぐバレてしまった私であった。




 こりすちゃん同行の盗み聞きデート……うん、こんなのデートちゃうわ。
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