悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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え、不意打ちってそんなに不味いですか?

「あぁあああああああ!!」

 

「あれ、なんか前より弱いね」

 

 ……これはいったいどう言う状況でしょう?

 夕飯の時間になっても帰って来ないこりすちゃんを連れ戻しに来ただけなのに、なんでベーゼとベルゼルガが戦っている場面に遭遇してるんですか? 相変わらずのトラブル体質は健在って事ですか?

 

「……う〜ん、見て見ぬ振りしてこりすちゃんを探しに行きましょうか?」

 

 ベーゼを倒せるこの瞬間をついてベルゼルガに助太刀するのは論外。なぜ敵対してるのに敵に塩をくれてやらねばならぬのですか。それに気づかれていないと言うのにわざわざ喧嘩を売りに行くのはバカのする事です。

 

 ……しかし逆にベーゼに助太刀するのはどうでしょうか?

 ベルゼルガはシオちゃんズの一員でイミタシオの優秀な狂犬。イミタシオやパンタノペスカのように私に因縁もないのに喧嘩売って来たクソ野郎。

 パンタノペスカはもう私は攻撃対象外と言ってましたけど、ちょっとくらい仕返しをしてもバチは当たらないのではないでしょうか?

 

 ベーゼは悪の組織に助太刀するとは何事だってブチギレるかもしれませんが、今回こちらにはこりすちゃんを連れ戻すと言う大義名分があり、ベルゼルガを……襲撃をかけてきたシオちゃんズを撃退しないとこりすちゃんは帰って来ないでしょう。

 

 …………よし。

 

「ぐっ……このままでは勝てませんね……」

 

「うん、これで終わり」

 

「それは……困りますね……」

 

 そう言ってゆっくり立ち上がりながら変身アイテムを構えるベーゼ。

 この動き……もしかして既に真化を習得していたのでしょうか? だとしたら友人としてはおめでたいと思う反面、トレスマジアとしては不利になりそうなので素直に喜べませんね。

 

「それでは少し、試してみましょうか……! (ラ・ヴェ)「チェストッ!!」「ガッ!?」……は?」

 

 ニヤニヤと笑いながらも様子がおかしいベーゼに最大限の警戒をしていたベルゼルガ。そんな彼女は私が背後に立っても気づかなかったため、そのまま具現化で作り出した金属バットで後頭部へフルスイング。

 常人ならば死ぬでしょうが魔法少女という事で防御力は上がってますし、意識を刈り取るならこれくらいが十分でしょう?

 

 頭から血を流して倒れたベルゼルガを呆然と見つめていたベーゼは、やがて青筋を浮かべながら私を睨みつける。

 あらあら、助けてあげたのに失礼な人ですねぇ。

 

「……なーにをやってるのかなカーネリアン……?」

 

「ベルゼルガの後頭部を金属バットで殴りましたが何か?」

 

「ここは私が真化して華麗にやっつける場面だったと思うんだけど……! と言うか魔法少女なのに同じ魔法少女を攻撃するのって許せないんだけど……!? 特に後頭部全力フルスイングは絶許案件なんだけど!?」

 

「知りませんよ。そろそろ晩御飯の時間なのに帰って来ないこりすちゃんを連れ戻しに来ただけですし。その為にはシオちゃんズ撃退しないと帰って来てくれないでしょう?」

 

「いやそうだけどさぁ!! でもなんでカーネリアンはそう簡単に私の地雷をどんどん踏み抜いていくかなぁ!?」

 

「そこに地雷があるからです」(サムズアップ)

 

「……ちょうどいいや。私の真化はカーネリアンで試しましょうか。今日という今日こそはしっかりとお仕置きして、魔法少女としてのアレコレを叩き込んであげますよ……!」

 

 あらら、ベーゼが怒るのは分かってましたが、予想以上にブチギレてるみたいですね……。頭に怒りマークを浮かべながら手に持った変身アイテムを構えようと……。よし!!

 

「厄介オタクモードはまたの機会でお願いしますね〜!! 自宅でお客さんを待たせてしまっているので早急にこりすちゃんを連れ帰らないといけないんですよ〜!!」

 

「あ、コラ、待ちなさい!! 逃げるな卑怯者!! 逃げるなァ!!」

 

 真化を習得したっぽいベーゼと戦っていてはお料理が冷めてしまいます。なので今回は逃げさせていただきますね。

 大丈夫ですよ。どうしても許せないならまた明日付き合って差し上げますから!!

 

 さて、ベーゼからはこりすちゃんの居場所を聞き出せそうにないですし、広いナハトベース内を探さなければならないんですが、騒ぎがある方へ向かえばいいですかね?

 

 

 ◇

 

 

 ベーゼに追いつかれたらお仕置きされるのは目に見えている為、逃げるようにナハトベースの建物内に向かっていると、建物の前で爆発音や破壊音が聞こえる。

 ……こりすちゃんはここですかね…………?

 

 物陰から無言で建物前の様子を覗いてみると、パンタノペスカの作り出した大量のゴーレムとレオ、そしてアリスちゃんが戦っているところだった。

 あ、いたいた……。

 

「ウフフフフ〜、いかがですか〜? 戦闘用ゴーレムを用意できていれば時間稼ぎなんてお手の物でしてよ〜」

 

「くっそ、まじうぜ〜、お前〜!」

 

「イミタシオ様はロコムジカ様、ルベルブルーメ様とお楽しみ中ですので助けには行かせま「見つけましたよアリスちゃん!」……へ、カーネリアン様? え、なんでここに……?」

 

「!?」

 

「そりゃあ晩御飯の時間なのに帰って来なかったらお迎えにも来ますよ。さぁ、帰りますよ?」

 

「え〜、もうお迎えの時間かよ! 空気読めよカーネリアン〜!!」

 

「ん!」コクコク

 

 分かっておりますよ。ここでアリスちゃんが抜けてしまったら、レオだけでパンタノペスカと戦わなければならないですからね。

 流石に私の都合でレオを不利にするわけにも行かないので、せめてゴーレムだけは消して差し上げようと闇真化をして手を翳すと同時、凄まじい魔力が辺りを包む。

 

 

 マジアベーゼ 夜蜘の帳

 

 

「待ちなさいカーネリアン〜……」

 

「ゲッ、追いつかれましたか。と言うか私をお仕置きするってくだらない理由で初真化しないでくださいよ!! 勿体無い……!!」

 

「くだらない理由ではないですよ……。いい加減あなたには魔法少女としての立場というものを教え込まなければと考えていたのでねぇ……」

 

 そう言って現れたのはいつもより露出の低い上半身と、ハイレグに身を包んだ真化状態のベーゼ。そしてそんな彼女の横には蜘蛛の糸のような物で縛り上げ、口に猿轡がつけられているベルゼルガ。

 

「え、ベーゼちゃん!? え! ヤバ! ヤバ!! えっ!? 真化ヤバァ!!」

 

「ベルゼルガ!! ……っく! こいつぁヤッベーですわ!! 撤退ですことよ〜!!」

 

「あっ、待てコラエロメガネ!!」

 

「……まぁ彼女はいいでしょう。それよりも…………マリスネスト!!」

 

「あら……」

 

 頭に怒りマークを浮かべたベーゼが私に手をかざすと、その直後私の身体は蜘蛛の巣のようなものに絡め取られて拘束されてしまう。

 

「ちょ、ベーゼちゃん……? おいカーネリアン、お前何やったんだよ?」

 

「いや、大した事してないですよ。追い込まれていたっぽいんで、ベルゼルガの後頭部を金属バットで殴って気絶させただけです。……助けて差し上げたのに本っ当に恩知らずですね!」

 

「いやだから魔法少女なのに他の魔法少女の足を引っ張る為に悪の組織を手伝うなんて何考えてるのって言ってるんだよ!! 今日という今日は許さないからね!?」

 

 ついにベーゼモードではなく素で怒り出したベーゼ。

 ありゃりゃ、悪役ムーブを放棄するレベルで憤っているとは…………敵に力を貸すのは私が想像している以上に大きな地雷だったみたいですね。

 

「あ〜、そりゃあオメーが悪ぃな。諦めてお仕置きされろよ」

 

「ん」コクコク

 

「あら四面楚歌」

 

 ……それにしても困りましたねぇ。ただでさえ小夜を待たせているというのにと言うのに、お仕置きで時間を取られてしまうと料理が冷めるでしょうし、なんとか明日まで待ってもらうわけには……あ、そうだ。

 

「そう言えばどうしてシオちゃんズは襲撃かけて来たんですか? それにイミタシオは?」

 

「…………そうだった」

 

 お尻を叩こうとしたのか私のパンツを脱がそうとしていたベーゼは大きくため息を一つ吐くと私を蜘蛛の糸から解放する。

 レオ曰くどうやらロコとルベルがイミタシオに捕まったようで、救出しなければならないのだという。いやそんな重要な事を忘れて私にお仕置きしようって何考えてるんですか……。

 

「私これからロコちゃんとルベルちゃんを助けないといけないから行くけど、また日を改めてお仕置きするからね!! 覚悟しておいてくださいよ!! あ、レオちゃんはベルゼルガをお願い!!」

 

 そんな捨て台詞を吐きながら転移門でロコルベを救出に向かったベーゼ。まさかここまで怒ってしまうとは予想外でしたし、ほとぼりが冷めるまで逃げてなぁなぁにするよりも、素直に辱めは受けた方がいいですね。

 覚悟だけは決めておきますか。

 

「……まぁ、その件は明日考えましょう。こりすちゃん、ご飯の時間なので帰りますよ」

 

「ん」コクリ

 

「あ、こりす家に返すのちょっとタンマ」

 

 転移門を開いて帰宅しようとする私達を止めるレオ。

 うてなの真化を見て今回で絶対にイミタシオを倒すと確信した為、お祝いの準備をしようと考えているのだとか。

 

「だからさこりす〜、ベルゼルガ拘束したらスーパーで材料買って来てバーベキューしようぜ〜!!」

 

「!」コクコク

 

「……まぁ、いいでしょう。せっかくの機会ですしね。でもスーパー行くならこりすちゃんから目を離さないようにして下さいね? 夜は危ないので」

 

「分かってるって〜!!」

 

 せっかくのパーティーに参加できないのも可哀想なので、アリスちゃんはそのままレオに任せて私は一人で転移門で帰還。

 

「お帰りなさい。遅かったけど大丈夫……? って言うかこりすちゃんは?」

 

「実はナハトベースにちょうどシオちゃんズが襲撃をかけていて────」

 

(数分後)

 

「──と言うわけでパーティーすると言うのでこりすちゃんを連れ戻すのは諦めました」

 

「……さ、流石にそれはアウトすぎると思うわよ!?」

 

 その後小夜に流石にナハトベースという敵地のど真ん中で同じ魔法少女を不意打ちした上に、救出せずにエノルミータに置いてきたのは不味すぎるとお説教を受けた私だった。

 そんなにダメですかねぇ、やられた分をやり返しただけなのに……。

 

「ベルゼルガがエノルミータに捕まったなら人質に取られたり、最悪殺されたりするかもしれないの……でもベルゼルガってえりすを傷つけたのよね…………? だったら別に……いやいやそれでもえりすが間接的に殺した事になるから……」

 

 いや、あのベーゼが殺すなんて思えませんね。ロコルベの仕返しに人質には取るでしょうが最終的に解放すると思いますよ?

 だからこそベルゼルガは放置して帰って来たわけですし。




 いくら敵とはいえ同じ魔法少女の足を引っ張るのはベーゼの逆鱗に触れる行為だったらしい。
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