悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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改心してくれるならそれで良しという判断です

 イミタシオの正体であろう女性とコンビニで鉢合わせてしまった。

 うてなも女性を見て固まってるしこれは間違い無いでしょうね。

 

「…………」

 

「…………」

 

「「オァア────────ッッ!!」」

 

「おっ、みち子じゃ〜ん」

 

 しばらく固まっていたかと思うと絶叫を上げ始めたうてなと女性を他所に、いつも通りのテンションでそんなことを言うキウィ。……この人みち子って言うんですねぇ。

 

 別に名前を弄る気は微塵もありませんが、ロードエノルメやイミタシオからは想像がつかないほどに素朴な本名に呆気に取られていると、手早く買うものを買い物かごに突っ込んだキウィがみち子のレジへかごを置く。

 

「へ〜、お前ここでバイトしてたんだ〜。んじゃこれ頼むわ〜。あとソフトクリーム追加な〜、あっやべ〜電子マネー切れてた〜。一万円チャージ頼むわみち子〜。あっ、そーだ買い忘れあったわ電池どこ〜?」

 

「貴ッ様……!」

 

 キウィ、あなた容赦ないですね。ほら、見てみなさいよ。襲いかかりたいけど今襲ったら仕事クビになるから忌々しい怨敵でも今は甘んじて言うことを聞かなければって顔してますよ。

 ……エノルミータの総帥として栄華を誇っていたロードエノルメがここまで落ちぶれたと考えながらこの顔を見ると中々にそそられますねぇ。

 

「それでは次は私ですね、ネット注文の支払いよろしくお願いします。あ、支払いが終わったらこちらの商品の会計を。あ、あとあんまんを……いえ、新商品のクリームまんも捨てがたい……一個ずつお願いします。あ、あとカッターナイフの予備の刃ってこちらで取り扱ってません?」

 

「…………は、はい」

 

 キウィの会計が済んだため、私もお会計をしてもらうがキウィの時と違い、彼女は顔を青く染めながら速やかに動き出す。

 前回少々遊びすぎましたかね? いえ、あれは妥当だったはずなので私は悪くないはずです。うん。

 そんなことを考えていると、みち子の顔を見たギャル風の店長がみち子の元へやってくる。

 

「みち子ちゃんダメダメ〜! お客さんにはスマイル満点一択っしょ〜!」

 

「はっ!! 店長!! 申し訳ありません!! 以後気をつけます!!」

 

「だいじょ〜ぶ! いっこいっこ覚えてこ〜!」

 

 注意を済ませた店長は笑顔で品出しに移動。それを見たみち子は「……お次の……お客様……どうぞ……!」とうてなを案内すると、ベーゼモードではないと言うことでみち子の姿に顔を青くしながらもおずおずとペットボトルを差し出す。

 

「フクッ……袋はア!! お付っ……ケ致しますかァ!?」

 

「大丈夫です!!」

 

 コラコラうてなが怖がってるでしょうが。店長さんに言いつけますよバイト店員みち子。

 

 その後、逃げるようにコンビニを出たうてなを追ってコンビニを出ると、白髪の女子高生といつぞやのメガネの女性と鉢合わせる。

 

「は? 柊うてな、杜乃えりす、なんでいるの……」

 

「あ"……」

 

「蘭朶、百花!」

 

 そう言って魔法少女の変身アイテムを構える白髪の女子高生……間違いない。こいつベルゼルガですね。

 そして後ろのメガネの女性がやはり桃森百花ですか。お赤飯美味しかったですよ。

 そんなことを考えていると蘭朶と呼ばれた女子高生は私をギロリと鋭い目つきで睨んでくる。

 

「特に杜乃えりす……アタシに不意打ちしただけじゃ飽き足らず、みっちゃんを虐めるだなんて……絶対許さない……」

 

 あら、一体どうやってお死おきの件を知ったかは知りませんがどうやら知ってしまったようですねぇ。

 しかしそれもこれもそちらが喧嘩を売ってきたのが発端であって私が原因ではありません。なのにまるで私一人が諸悪の根源と言った恨みのぶつけ方は気に食わないですねぇ……。

 

「やると言うんですか? せっかくイミタシオが命懸けで救出したと言うのに命を捨てるとは馬鹿な人……いいでしょう。イミタシオの死に様を見て今は落ち着いているとは言え愉しめるなら愉しませて頂きましょうかねぇ」

 

「殺す」

 

 互いに変身アイテムを構え変身しようとするが次の瞬間百花が蘭朶を羽交締めにして止める。

 

「落ち着いて下さいまし蘭朶、もうえりす様に喧嘩を売るべきではありませんわ!! ドグロい展開はもう沢山ですの!! わたくしが見たいのはドエロイ展開ですのに!!」

 

「離して百花。コイツは絶対許さない……コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス…………」

 

「うわぁ……」

 

 予想はしてましたがこれはメチャクチャ恨まれてますねぇ。これ多分甚振っても殺すまで止まらないパターンではないでしょうか?

 結界内で殺して殺したことを無かった事にするのはまだしも、本当に殺して明日はお葬式〜……なんてしてしまったら再び怒り狂ったシオちゃんズに狙われるのは目に見える話ですし…………。なんと言うか……面倒くさいですねぇ。

 

「おいお前の責任だろ? なんとかしろよえりす〜」

 

「そうですね。百花さんしっかり抑えておいて下さいね〜」

 

「え? ……一瞬だけ変身して取り出したそれはなんですの?」

 

「ピコピコハンマーです。叩かれても痛くはないし怪我はしませんよ」

 

「は? それでアタシを倒すつもり……舐めてるの…………」

 

「倒すつもりなんてありませんよ。えい!」

 

「ッ!?」

 

 具現化で取り出したピコピコハンマーの一撃を受けた蘭朶は直後ガクリと身体から力が抜けるが、すぐに意識を取り戻して顔を上げる。

 

「え……アタシ何してたっけ? ……あ、柊うてな」

 

 うてなを見るなり再び戦闘態勢を取ろうとする蘭朶だが、私への敵対心は完全になくなっていた。

 え、何をしたかって? 私が不意打ちした件とイミタシオ……みち子を甚振った件についての記憶だけを消しました。

 今の蘭朶は普通にベーゼに負けてイミタシオに救出されたって解釈になっている筈です。

 

「記憶を消したのは内緒ですよ? めんどくさくなるので♡」

 

「……私はもうお前が憎い以上に怖い…………」

 

「ですわね……いえ、むしろだから攻略すれば興奮すると言うものでは…………!」

 

「責任から逃げたね……」

 

「……」(눈_눈)

 

 周りからそれはもう冷たい目で見られた私であった。

 やめて下さいよ、蔑んだ目で見られてもゾクゾクはしないんですから。

 

 

 ◇

 

 

 その後前回捕縛された際に仲良くなったらしいキウィに今回は戦うつもりはないと言われた事で敵対心を解いた蘭朶はキウィとこりすちゃんの三人で呑気にポテトを食べ始めた。

 

「何故仲良しなんだ……? だが丁度いい……柊うてな、杜乃えりす。貴様らに……少し聞きたいことがある」

 

「は……はい……?」

 

「え、私も?」

 

 別に敵に質問があると言われて答える義理はないですが、別に今はこちらから仕掛けるつもりもないですし質問に答えるくらいならまぁいいでしょう。

 みち子は重苦しい雰囲気で静かに離し出す。

 

「貴様らは何故、私の過去を世間に明かさない?」

 

「「…………」」

 

「先の戦い、マジアベーゼが私の正体を民衆に暴露すれば結果は変わっていたであろう。どうしてそうしなかった?」

 

 そう言えばマゼンタは言ってましたね。イミタシオは一度倒れたけど民衆の歓声で再び起き上がったって。つまり民衆にイミタシオはロードエノルメだったと公表してブーイングの嵐だったならば負けていたと言うことですか。

 その問いにうてなは静かに答える。

 

「そう……ですね…………。そ、それは、みち子さんも同じじゃないですか?」

 

「……あの時は……私はただ夢中で……」

 

「そうですね。私も夢中でした。あの時私達は悪の組織のマジアベーゼで魔法少女イミタシオだった。それ以外のものは邪魔だったんです」

 

 うてなの答えを聞いたみち子は静かに「そうか……」と頷くと私の方を向いた。

 

「…………杜乃えりすはどうだ? トレスマジアとして私のような存在は許せるものではないのではないか?」

 

「……世間に公表しては不用意に民衆を怖がらせてしまうだけであり、ロードエノルメとしてやったことは前回の拷問で償わせました。少なくともトレスマジアとしては改心してくれるならそれでよしと言う判断です」

 

「……あれだけの事をしたのにか?」

 

「私以外のトレスマジアのお三方は優しいですからねぇ。精神的な責めもしていないのに同情したんですよ。そして私自身も溜飲は下がったので再び喧嘩を売らない限りは手を出すつもりもありません」

 

「えりすちゃん……もしかしてあのタイミングで襲ったのってイミタシオがトレスマジアの討伐対象になるのを防ぐために…………?」

 

「まっさか〜。過度なストレスで精神おかしくなるのを期待してました。だと言うのに忍耐強くて困ったものでしたよ。全く、空気読んでくださいよね」

 

「…………」

 

 あら? うてなの目がとても冷たいものになってきましたねぇ。

 今日はもう既に戦ったので今の発言を咎めるならばまた今度にして下さいね? どうせ喧嘩になって最終的に変身してやり合うのは目に見えているんですし。

 

「あの歓声で魔法少女の気持ちがほんの少しでも分かったなら、私のお死おきが懲りたのなら少しは真っ当にやる事です。これ以上そちらが敵対しないならこちらも敵対する気はありませんよ」

 

「……そうか」

 

 私の話に納得したのか頷くみち子。

 これから彼女がどう動くかは知りませんが、少なくとももう私にはちょっかいはかけて来ないでしょう。……まぁ私の勘が外れたとしても次は混沌真化を使って完膚なきまでに捻り潰すのでそれでも構わないんですが。

 しかしその前に混沌真化を制御出来るようにならなければと考えていると、うてながしばらく考えるような素振りをしたかと思うとみち子に向き直る。

 

「それで……ここからは取り引きなんですが……。わ、私たちが私たちである為に……お互いに秘密は守って行くべきかなと……」

 

 うてなの取り引き……それは互いの正体を知った上で敵対すると言うもの。だからと言ってトレスマジアにエノルミータの情報は提供しない。そう言う関係。

 

「まさかイミタシオを私と同じ立場に置くとはね……」

 

「落ち方のベクトルは違うとは言え二人とも光落ちだから」

 

「次同類扱いしたらケツに爆竹突っ込みますからね?」(低音ヴォイス)

 

「ア、ハイ」

 

「……一緒にされたくないのはこちらとて同じだ。……だがいいだろう。飲んでやる、その取り引きとやら。しかし我々と貴様らは敵同士、私は魔法少女として貴様らを倒してやる」

 

 ニヤリと笑ってそう宣言したみち子。

 手段を選ばない戦いはおしまいでこれからはシオちゃんズも魔法少女らしく戦う……。そして私達と敵対しないならばむしろ手を組む展開もあり得ると言う事です。

 そうなるとエノルミータに対して魔法少女七人で応戦すると言う展開になるんでしょうね。

 

「……ねぇうてな、大丈夫です? エノルミータの人員を考えないと戦略的にも真化出来る数的にもそちら負けてますよ?」

 

「たはっ……だはは……っ。そんなァ……えへへえへへへへへへへへぇ……」

 

「コイツ聞いてませんね。と言うか久しぶりにそのキモい顔見ましたねぇ」

 

 魔法少女になった私が宣戦布告をしたときのようにヨダレを垂らしながらニマニマと笑ううてな。以前よりもキモさ倍増してるじゃないですか。

 

「いやぁ、だって、だってぇ……悪の組織の一員が魔法少女に言われたいセリフのTOP5の一つですよ今のはぁ……」

 

「気色が悪い」

 

 みち子にも容赦なくバッサリと言われてしまったうてなであった。

 そのとき私の背後から「お三方」と言いながらヌッと現れた百花。さり気なく私の胸触ろうとしてますがこれは小夜のですよ? その穢れた手で触るならその指へし折ってもいいんですからね?

 

「今のお話を伺うにつまり、我々の関係性はトレスマジアと敵対するのは完全に止めるけれど、それ以外は今まで通りと言う事ですわよね?」

 

「……はい」

 

「…………」

 

 私の防御が固くちょっかいを出すのを諦めた百花は、自らの胸を揉みしだきヨダレを垂らしながら興奮したように話し出す。

 

「ということは、ということは! わたくしは変わらず双方にドエロいことをしても良いということになりますの!!」

 

「貴様もう帰って良いぞ」

 

「んもぉ〜冷たいですわみっちゃん様〜♡」

 

「帰れ! みっちゃんと呼ぶな帰れ!!」

 

「えりす様とうてな様は分かって下さいますでしょ!? わたくしの気持ち!!」

 

「……まぁ、私のグロ趣味も節操ないんで人の事をとやかくは言えませんしね。最も私の場合は誰でも良いという事を利用してやって良い相手はしっかり選んでますが」

 

「流石はえりす様ですわ〜! うてな様もわたくしの気持ち、分かって下さいますわよねぇ!!」

 

 ヨダレを垂らしながら問いかける百花に対してうてなが返したのは絶対零度の視線。

 

「あなたのエロはストーリーが無い」

 

「ハァ〜!? ぶっ飛ばしますわよ!? やっぱり悪の組織ってクソですわ!! 早く滅ぼしましょうみち子様!!」

 

「帰れ」

 

「帰ってください」

 

「せめて相手は選んでください」

 

 その後しばらく雑談をしてシオちゃんズと別れコンビニを後にした私達は改めてキウィの自宅へと向かう事にしたのだった。




 〜おまけ〜

「なるほど、確かにやる相手を選ぶなら…………いえ、しかしそれ一つ問題がありましてよ」

「なんです?」

「四季折々の女の子にドエロい事したいのに、相手を選んでいては気になるあの子を襲う事が出来ませんわ! わたくしはいろんな娘にドエロい事をしたいんですの!!」

「それは分かりますが欲望は理性でコントロールするべきなんですよ。常に全力でやるのも良いですが、普段は栓を閉めておいてここぞと言うときにフルスロットルでやった方がより最高な気分になれるものなんですよ」

「焦らしプレイというやつですわね! 確かにそう考えると興奮して参りましたわ〜!! よし、わたくし数日禁欲して参ります!! それではご機嫌よう!!」ダッ!

「貴様……百花にいらん事を吹き込んで…………」

「大丈夫ですよ。彼女、堪え性ないでしょうし一日も持たないと思いますよ」

「え、さ、流石に一日くらいは我慢できるでしょ」

「いや、案外一日でミイラのようになる可能性もゼロではないな……」

「……なんなら半日我慢するのも難しいんじゃ無いですか?」

「「半日は余裕でしょ(だろ)?」」

「……それもそうですね」

「「「アッハッハッハ」」」

「ただいま戻りました。我慢してみた結果、無理という方が分かりましたわ!!」(サムズアップ)

「……えりすちゃん。百花さんが行って戻って来るまでに何分かかった?」

「……三分です。カップ麺作るときに便利ですねぇ」
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