精霊寄生異変〜楽園の素敵な少女達〜   作:ライムα

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ものすごい遅ればせながら明けましておめでとうございます。
今回でちょうど10話目+年明け初投稿ということでいつも以上に手を入れました。
本来なら10話完結を予定していましたが計画性のなさが思い切り出ました。


第10話 地底侵攻と袿姫の過去

 勇儀が袿姫と戦っている時、地底と地上を繋ぐ道を一人の少女が走っていた。その少女の近くには赤い一つの目玉が浮かんでいた。

この少女の名前は「古明地 さとり」。さとりの近くに浮いている目玉、サードアイを通して相手を見ることで相手の心を読むことが出来る。しかし、その能力のせいで人々からは嫌われ続けていた。

「勇儀さん…大丈夫でしょうか…。」

さとりは走りながら呟いた、

それは偶像軍団が攻めてきた直後のことー

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 勇儀はさとりのところへ向かっていた。

勇儀は騒いでいるペット達をなだめているさとりに言った。

「おいさとり、お前は地上に行って誰でもいいから助けを呼んで来てくれ!アタシは鬼たちを指揮しながら黒幕を直接ぶっ倒す!」

さとりは不安そうな顔をしながら言った。

「貴方達を置いて私だけ地上に行くなんて出来ません。

それに…地上はおろか地底でも嫌われ者の私が行ったところで誰も力になんか…。」

さとりは下を向いた。外では寄生霊に操られたものと地底のもの達で洒落にならない弾幕の撃ち合いをしており地霊殿にも音が響いていた。勇儀はさとりの頭に手を置いて言った。

「アタシらは大丈夫だ。仮にも鬼だぞ?天狗や野良妖怪なんかに負けはしないさ。それに…お前は地上の全ての人達に嫌われてる訳じゃない。お前の為に動いてくれる人もきっといるはずさ。ほら、早く行ってきてくれ。この間にも奴らは暴れ続けているんだ。もしこの屋敷の中に入られたらお前のペット達の安全も保証出来なくなる。アタシの言葉が信用出来ないなら見てみるかい?」

勇儀は屈託のない笑顔で言った。

「勇儀さん…。」

さとりは目に溜まった涙を拭って立ち上がる。

「わかりました。なるべく早く戻れるようにします。

私が戻るまでの間、地底とペット達を何卒宜しくお願い致します!」

さとりは深々と頭を下げてから走っていった。

「あぁ…任せておきな。」

勇儀は小さな声で呟き、外に向かった。

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「うおおりゃあああああ!!!!」

勇儀は袿姫に殴りかかった。桂姫は飛んで避け弾幕を飛ばした。

「なんて罰当たりな…私は神だぞ!?」

「黙れ侵略神!」

「埴安神だ!」

二人は叫びながらも相手の隙を突こうとしている。勇儀は弾幕を使おうとすらしない。己の拳のみで憎き神を叩きのめそうとしている。そんな鬼の姿に触発されたのか袿姫も彫刻刀を武器に肉弾戦を始めた。二人は火花を散らし、地面を削りながら殴り合った。二人は互いの攻撃を抑えるかのように組み合った。桂姫は勇儀を睨みながら囁く。

「貴様はなぜ私の支配を拒む?畜生界を支配したとき人間達は喜んで私の支配を受け入れ私を信仰したぞ?」

勇儀の表情が険しくなる。桂姫は不敵な笑みを浮かべながら続ける。

「地底の世界だって畜生界と人間がいないこと以外さほど変わりのないスラム街だろう。昼間から酒を飲み、鬼どもはしょっちゅう揉め事を起こす。こんな秩序のない世界を支配されたって変わらないだろう?」

勇儀は険しい表情で言った。

「ここの管理者は…さとりだ。」

袿姫は苦笑いで言う。

「さとり?ああ、あの嫌われ者か。あんなさとり妖怪が支配者としてふんぞり返ってるよりも神を支配者として崇めたほうがいいんじゃないか?まあ地底の支配者としてでなく幻想郷の支配者としてだがな!」

その瞬間袿姫の腹を勇儀は思い切り蹴り飛ばした。桂姫は受けきれず吹っ飛んだ。勇儀はドスの効いた声で言った。

「今からお前の間違いを三つ訂正する。いいか?一度しか言わないからよく聞け。」

桂姫は腹を抱えながら勇儀を睨みつけた。勇儀は気にせず続ける。

「まず一つ目は、さとりを『支配者』と思っていることだ。さとりは地底を『支配』してるんじゃない。

『管理』しているんだ。それこそ鬼どもの不始末にだって手を貸してくれる。お前の目にはスラム街を支配しているようにしか見えないようだから懇切丁寧に訂正してやったつもりだが…理解できたな?」

勇儀は一回足を踏み鳴らした。周りで弾幕を飛ばし合っていた妖怪たちも進むほどの衝撃が走る。

「次に二つ目は、ここを秩序のない世界だと思っている事だ。確かにここでは揉め事なんかが多発する。それこそスラム街と言われても仕方ないくらいにな。だがな秩序はあるんだよ。いや、正確には秩序を保とうとしているんだ。

妖怪たちの間で揉め事が起こればアタシやさとりが止める。地底の『管理者』としてな?本当に秩序のない世界というのは止める人が”誰もいない“世界のことだ。少なくともここはまだ最低限の秩序がある。」

勇儀は腹を抱えている桂姫にジリジリと近づいている。

「最後に三つ目の訂正だ。お前は幻想郷には神による”支配“が必要だと思っているな。」

桂姫は身構ながら言い返す。

「ああ、そうだ。幻想郷は私が正しく導いてやらなくてはいけないんだ。私に幻想郷を…全てを委ねれば皆幸せに暮らせるんだ!」

「それも間違えだ。答えは、幻想郷には支配者は必要ない。もしくは…。」

勇儀は袿姫の前まで行き拳を構える。

「お前に世界を委ねられない。」

勇儀の拳は桂姫の顔に当たり袿姫は吹き飛ばされた。その時桂姫の後ろでスキマが開き桂姫を受け止めた。

勇儀は未確認生物をみてしまったかのような顔をした。勇儀は驚いた表情で呟く。

「お前は…紫じゃないか…!?何でここに。そもそも何で桂姫を…助けたんだい。」

紫は声をかけられても表情一つ変えずに黙っている。桂姫はふらつきながら立ち上がり言った。

「はあ…はあ、やっと来たか紫。来て早々だがお前はあの鬼の相手をしていてくれ。私は力を回復してから地上へ行ってくる。」

桂姫は紫の作り出したスキマに向かった。

「あ、おい待て!!」

逃げようとする桂姫を勇儀は慌てて止めようとした。袿姫は止まろうとしない。勇儀は気にせず続けた。

「何で紫がお前の味方をしているんだい!それに、表情一つ変えないどころか瞬きすらしないじゃないか。」

袿姫はスキマの前で振り返り言った。

「勘が鈍いのねえ。紫はすでに私の寄生霊で操ってあるんだよ。まあ、いずれ幻想郷全土を支配出来たら寄生霊を全て回収し、肉のお前らを滅して、土と水で美しく作り直してやる!」

桂姫はそれだけ言ってスキマに入った。袿姫が入った瞬間スキマは閉じてしまった。

「あ…。」

勇儀は追いかけようとしたがもう遅い。

「逃げられちまったか。まあどのみちあんたを倒さなきゃどうしようもないか…。」

勇儀は真っ直ぐ紫を睨みつける。紫は無表情で日傘を構えた。紫の目は深紅色に染まり、周りにもうっすら深紅のオーラが漂っている。勇儀はもう一度拳を構えた。

「いくぞ…。幻想郷の大賢者!」

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 袿姫はふらつきながら偶像軍団の本拠地である「霊長園」、そこにあるアトリエに帰った。

「はぁはぁ、あの鬼め、仮にも神である私にここまでの手傷を負わせるとは…やっぱり油断は命取りだな。やはり寄生霊を作りすぎたか……。」

そう言いながら椅子に腰掛けた。椅子の前には彫刻刀や定規、大量の土と水など偶像作りに必要なものがずらっと揃っている。まさに職人の机、と言ったところだろうか。桂姫は頭に被っていた頭巾を外し、椅子に深くもたれかかった。袿姫の目の先には一体の人型の埴輪が壁にもたれかかっていた。

黄土色の髪に黄土色の胸当てをしており兵士の役割をしていたことが見て伺える。しかし片腕がなく顔にもヒビが入っていた。また足や胴体、鎧には歯形や引っ掻かれたような跡が目立ち、その傷口はどれもほのかに緑がかった光がぼんやり光っている。残された腕には剣が握られているところを見るに最後まで勇敢に戦い抜いたのだろう。桂姫は埴輪を労るように撫でながら呟いた。

「私が…もっと早く駆けつけてやれれば…もっと早く幻想郷を支配し、畜生どもも支配下に置けていれば。だが、もう少しだ。もう少しでこの幻想郷全土を支配下における,,,すなわちもう少しでこの世界は真の平和を手に入れられるのだ。私の計画が終わり、世界を平和にできたら改めてお前の傷口に施された呪いを解き、土と水で美しく作り直してやる。だからそれまで待っていてくれ、“磨弓“。」

桂姫は磨弓と呼んだ埴輪を撫でながら“あの日”を思い出す。それは畜生界で戦争を起こした時よりもあとのことであり博麗の巫女に倒された時よりも怒りを覚えた出来事である。

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー数ヶ月前袿姫が埴輪を作っているところに磨弓が飛んできた。

「桂姫様、また動物霊どもが攻めてきました!」

桂姫は埴輪作りの手を止めて振り返った。

「またやれ邪神を倒せだの言いながら突撃してきたのね。全くあいつらも懲りないわね〜。面倒でしょうけどまた埴輪兵団を率いて追い払ってきてくれる?」

袿姫がそういうと磨弓は少し表情を曇らせて言った。

「はい、そのつもりではいるのですが今回は少し様子がおかしいのです。動物霊達を従えてる組長達が…」

桂姫はため息をつく。

「はぁ、もしかして組長達が結託して総攻撃を仕掛けにきたの?」

磨弓は首を振っていった。

「いえその逆です。組長達の姿が一人も“見当たらない“のです。いつもはどこかの組長が必ず指揮をとっているはずなのに。」

「確かにそれは変だな…。」

袿姫は腕を組んで言った。磨弓は不安そうな表情で言った。

「もしかしたら組長以外の何者かが動物霊達をそそのかしているのではないでしょうか。そうなると相手の力が未知数なので私達だけでは対処できないかもしれないので今回は袿姫様にも戦っていただきたいです!」

袿姫は腕を組んだままうなった。

「う〜ん、違和感はあるけれど…流石に私が出ていかなくても磨弓達だけで事足りるとは思うけどね。いつも訓練を頑張ってるしなんたって私の作った子たちなんだからね!」

磨弓は少し顔を赤くして照れたがやはり不安は拭えないようだった。そんな磨弓を見て袿姫は言った。

「念の為に連絡手段は渡しておこうかね。」

そう言いながら袿姫はスマホを取り出した。裏にはキュウリを一口かじったマークがあった。

「これは…?」

磨弓が不思議そうな顔をしてスマホを見つめた。袿姫は磨弓に簡単に使い方を教えて言った。

「これがあれば私といつでも連絡が取れるから何かあったらこれで呼びなさいな。私はこの埴輪を完成させてから様子見に行くから、ね?」

磨弓はスマホを受け取り一礼してから埴輪兵団を率いて制圧に向かった。

そしてこれが悲劇の始まりであり、此度の異変「精霊寄生異変」の始まりでもあった。

 「突撃ー!!」

磨弓の合図で埴輪兵団は一斉に突撃していった。動物霊達は埴輪兵団の勢いにやや押され気味だった。が、どこか余裕そうでもあった。

「おいおい、流石に組長抜きじゃ俺らに勝ち目ないんじゃないか?」

「へっ大丈夫だ。なんたって俺らには“あの巫女様がついているんだからな。あの方がついている限り“奇跡“の力とかで絶対に勝たしてくれるんだからな!その上お礼は分社?とかをここらに数個作って俺らがその神社に入信するだけでいいんだからな。ほんとあんな邪神とは大違い、正真正銘本物の神様だぜ!」

動物霊はそこかしこでこんな感じの話をしていた。その話は当然前線に立って戦っていた磨弓の耳にも入ってきた。

(ふむ…やはり裏で動物霊に焚き付けたものがいるようだな……これは一刻も早く桂姫様に来て頂かなくては。)

そう思い桂姫連絡を取るため一旦後ろに下がろうとした。その時動物霊の後ろの方から声が鳴り響く。

「みなさーん!今からみなさんの体力を回復し、奇跡の力である“守矢の加護“を授けます!なのでみなさん突撃です!!」

声が止んだと同時に動物霊達の体が緑に光り輝く。

「おお、力が湧いてくるぞ!」「巫女様のお力だ!」

動物霊達の勢いが一気に増し、埴輪兵団は逆に押され始めた。動物霊は埴輪に噛みつき、引っ掻き、どんどん壊していった。

「なぜ、我々に攻撃が出来る…?これが守矢の加護なのか…?それに巫女とは誰のことだ?」

そうなのだ。本来動物霊達は霊体や精神を持つものに対してしか攻撃が出来ない。つまり偶像である埴輪兵団に攻撃が出来ない筈なのだ。しかし今動物霊達は埴輪兵団に対し"物理攻撃"を仕掛けている。

「生き残っている者は一旦退避だ!私は袿姫様に連絡を…。」

磨弓は兵団に声をかけながらスマホを取り出した。動物霊の猛攻は止まらない。

「磨弓だ!磨弓をやれ!」

動物霊は磨弓に狙いを定めて襲いかかる。

「くっこの!…あ!」

磨弓の身体からスマホが落ちた。それは動物霊と埴輪兵団の戦いの渦に飲み込まれバキバキに壊れてしまい使い物にならなくなってしまった。

「スマホが…これでは袿姫様に連絡が取れな…!」

その時、動物霊のうちの一体がスマホに気を取られた磨弓の一瞬の隙をついて噛みついた。

「ぐぁ!」

磨弓はうめいて動物霊を振りほどこうとした。しかし、磨弓が振りほどく前に動物霊が次々と襲いかかってきた。鎧を引っ掻き、噛みいた。

その攻撃はどれもほのかに緑がかった光がぼんやり光っている。

「ふん、このくらいなら私でも直せる!」

磨弓はそう言って動物霊達を蹴散らし、土を掴み素早く水と合わせて自身の傷口に塗り込んだ。いつもならこれですぐに治る…はずだった。しかし塗り込んだ土が次々と零れ落ち、傷口は塞がらなかった。

「な…!これもあの加護のせいなのか!」

傷口にも緑がかった光がぼんやりと光っている。動物霊の猛攻は止まらない。磨弓の身体にはどんどん傷が増えついには左腕を食い千切られてしまった。それでも磨弓は残った右腕で懸命に戦った。埴輪兵団がほぼ壊滅したころ袿姫が飛んできた。

「磨弓ーーーー!」

袿姫は磨弓の名前を呼びながら動物霊を一掃した。

「あちゃー。むこうの神様出てきちゃいましたか…。やっぱ神奈子様達にも来ていただくんでしたね。みなさん!今回は一旦退避しますよー!」

動物霊はその号令を聞き、次々と帰っていった。遺されたのは無惨に壊されたほのかに緑に光る埴輪兵団の残骸だけ。袿姫はその中を呆然として見ていたが磨弓を見つけ、一目散に駆け寄り抱きかかえた。

「磨弓!ねぇ磨弓!返事してよ!」

袿姫が呼びかけると磨弓はうっすら目を開けて言った。

「あぁ…袿姫様。すみません、動物霊どもに後れを取ってしまいました。ちゅう私は兵士長失格…ですね。」

「そんなこと…無いわよ。待ってなさい、今すぐ直してあげるから。」

袿姫が直そうとしたが同様に土が零れ落ちた。

「やはり…袿姫様でも直せませんか。私も先ほど試しましたが無駄でした。おそらくは幻想郷の守矢の巫女による呪いを解かなくてはいけないはずです。」

磨弓はそう言って動物霊達が話していた巫女の話、その巫女の守矢の加護とやらで動物霊達が強化され埴輪兵団にも攻撃出来るようになった話、そしてこの呪いは守矢の加護によるものだろうという話をした。

「また巫女が攻めてきたのね…。それに私でも突破できない呪いまで…!」

「私は…もう駄目だと思います。でも袿姫様ならまた新しく私の代わりを作れるのでその点は安心です。」

そう言って磨弓はにっこり微笑んだ。袿姫は目にうっすら涙を浮かべて言った。

「良いわけ…ないじゃないの。貴女は特別なんだから。私の創り出した偶像であり、私の兵団の兵士長であり、私の部下であり、私の…娘みたいな存在なんだから。それに私は神様なのよ?神様に不可能なんて無いんだから、きっと貴女の呪いも解けて直せるわよ!そしたら今度は私と一緒に修行しましょうよ!格段に強くなれるわよ!」

それを聞いた磨弓は再び微笑んで言った。

「それはとても良い案ですね。では、それまでお休みを頂きますね。」

そう言って磨弓は目を閉じた。袿姫は磨弓を抱えながら言った。

「そんなこと言ってどうせ隠れて修行するんでしょ。剣を握ったままで休む人はいないわよ…。」

袿姫は呟き磨弓を抱えながらアトリエに帰った。

 その後袿姫は呪いを解くための方法を模索した。しかし調べるうちに守矢一家を倒すしか無いと思い知らされた袿姫はいつしか軍を作るために自らの寄生霊を生み出す。そして守矢一家を倒すには幻想郷を手中に収めてからでないと太刀打ちできないだろうという考えに飲まれていってしまった。

「いよいよ計画も大詰め…最後に寄生させるのは、博麗の巫女博麗霊夢ね。」

Next Phantasm

 

  〜紅魔の素敵な住人達〜

 幻想郷お年玉争奪レースの巻前編

 

 「お嬢様、本日の新聞です。」

咲夜はそう言いながら文々。新聞を持ってきた。レミリアは新聞を受け取りパラパラめくった。

「あら、これは。」

レミリアは一つの見出しに目をとめた。そこには「新年早々大盛り上がりを見せたお年玉争奪レース!」という見出しがでかでかと載っていた。

「ああ、これはこの前みんなで出たやつですね。」

「ええ、なかなか疲れた一日だったわ…。」

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー元日。守矢神社に文の高らかな声が響き渡った。

「皆様!!!!!!!只今より第一回幻想郷お年玉争奪レースを開催いたしまーす!司会は私、清く正しい射命丸 文が担当させていただきます〜!!」

守矢神社は華やかに飾り付けられ、花火が上がった。

守矢神社には出場者や観客などで大賑わい。

「それでは早速ルールを説明致します。ルールは単純明快、出場者は誰でもいいから好きな人とペアを組んでいただきゴールを目指していただきます。また、レース中は相手を妨害しても大丈夫ですが飛行と能力の使用は禁止です!落とし穴を掘るなり弾幕当てるなりしてください!一番にゴールをした方には賞金百万円を贈呈いたしまーす!」

「おおおおおお!!!!」

会場は大きな盛り上がりを見せた。文は更に続けた。

「それでは、出場者の紹介をしますよ〜!

エントリーNo.1!霧の湖のそのまた奥にそびえ立つ紅き屋敷の姉妹!運命を操る姉と破壊を操る妹は優勝を掴み取ることは出来るのか!?

紅魔館よりレミリア&フランドール!!!!!!!!!!」

「ふふっ運命は常に私達の味方…誰であろうと私達姉妹には勝てないわよ。」

「絶対優勝するぞ〜!みんな応援してね〜!」

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「はい、ありがとうございます!それではエントリーNo.2、妖怪退治はお手のもの!弾幕勝負においての永遠のライバル!

博麗神社と魔法の森より霊夢&魔理沙ー!」

「このレースに私の生活がかかってるんだから手を抜くんじゃ無いわよ?魔理沙!」

「そんなの百も承知なのぜ。お前この前も神社に生えてる雑草焼いて食ってたもんな…。」

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「どんどん行きますよ〜!エントリーNo.3、死を操る主人と剣を操る庭師というよりお世話係!おそらく参加した理由は食費のためでしょう。

白玉楼より、幽々子&妖夢〜!」

「あら〜なんで参加理由わかっちゃったのかしらねえ。」

「幽々子様の食欲でみんなわかりますよ。私の仕事って本来、木切ったりするだけのはずなんだけどなあ。」

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「サクサク行きましょう!エントリーNo.4、全身が炎に包まれても首が取れても死ぬ事は絶対ない!幻想郷の歴史の生き証人と言っても過言ではない!

竹林より妹紅&輝夜〜!」

「さっさと優勝して慧音の歴史の教科書にでも載せてもらうか。」

「たかが天狗主催のレースで優勝したところで歴史に名前残せるわけないでしょ。」

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「それでは、ラストの出場者です!エントリーNo.5、幻想郷の外よりやってきた霊夢さんの商売敵!人々からの信仰は自分で稼ぐ、守矢神社の二柱!神奈子&諏訪子〜!」

「今こそアタシの神としての力を見せてやろう!」

「早苗〜あとで賞金持って美味しいものでも食べに行こうね〜!」

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「以上五組の出場です!続いてコースの紹介です!」

一同の前に大きな幻想郷マップが現れた。文は地図を指差しながら説明を始める。

「まずはここ守矢神社をスタートして妖怪の山を一気に下山していただきます。その後人里を通り魔法の森のチェックポイント、アリスさんの家を通ってください。アリスさんにチェックしてもらったのちゴールの紅魔館にて咲夜さんから出されるミッションをクリアしてゴールとなります。」

「ちょっと!私レースに紅魔館が使われる話聞いてないんだけど!」

レミリアは驚き叫んだが文はさらりと無視して続けた。

「それでは準備はいいですか?位置について、よ〜い…ドン!」

こうしてレミリアにモヤモヤした気持ちを残しながらレースは始まった。

 

ー妖怪の山。

 「あんた達!優勝は私達に譲りなさいよー!」

霊夢はそう言いながら走って弾幕を振りまく。その後ろから魔理沙も弾幕を振りまく。

「おお〜レイマリペアは早速相手の妨害をしていますね〜!あっ実況も私、清く正しい射命丸 文がお送りします!現在は妨害の甲斐もあってかレイマリペアが一位ですね、その後ろをぴったりくっついているのは紅魔館ペア!そして後ろに白玉楼ペア、竹林ペア、守矢ペアと続いています!」

そうこうしている間に霊夢達は山を抜けようとしていた。その後ろでレミリアはグングニルを構えた。

「貴女達の独壇場で終わらせるつもりはないわ!

スピア・ザ・グングニル!」

レミリアはグングニルを投げ、霊夢達の前の大木を次々と倒した。

「これで貴女達は通れないわね!あーはっはっは!」

レミリアは高笑いした。その後ろでフランは呆れ顔で言った。

「お姉様…霊夢達の前の大木倒したら霊夢達の後ろにいる私達も通れないわよ。」

「あ…。」

霊夢達は必死になって大木をどかしていた。その間に他のチームも追いついたがまだ道は塞がれたまま。レースどころではなくなってしまった。

「おーっと!レミリア選手の愚行により全ペアが並びましたー!協力して大木をどかしているー!」

霊夢は鬼神の如くレミリアにブチギレた。

「あんたが余計なことをしなかったらこんなことしなくてよかったのよ!?このかりちゅまは余計なことしかしないわ!」

「口動かす暇があったら手を動かしなさいな。私だって悪いとは思ってるのだから。」

レミリアと霊夢は言い争いながらも大木を次々退けていった。しかし量が多いのでまだまだ時間はかかりそうだった。

三十分後

「はあはあやっと片付いた。あー疲れた。」

霊夢はそう言って座り込んでしまった。どさくさに紛れレミフラは先に行っていた。

「じゃお先に〜。」

そう言いながら輝夜と妹紅が走り去っていった。その後を諏訪子ペアと幽々子ペアが追いかける。魔理沙が霊夢を急かす。

「おいおい、このままだとあいつらに負けるぞ!しかもレミリア達も知らんうちに先行ってるし。」

「いーやもう動けないわ!」

霊夢は騒ぐ。魔理沙はため息をついて言った。

「はあ、このままだと賞金もあいt」

バビュン!霊夢は魔理沙の首ねっこを掴んでとんでもない速さで追いかけた。とても肉眼では追えない。

「あややー、やっぱり金の亡者はすごいですね〜。これは誰が優勝するかわからなくなってきましたね〜。それでは皆さままた次回も楽しみに!」

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