テスト期間って恐ろしいな。
一行は守矢神社に到着した。文と椛はまだ寝ていたがアリスと飯綱丸はお茶とお菓子をご馳走になっていた。神社に入るなり魔理沙は驚きの声を上げた。
「アリス!?なんでお前がここにいるのぜ?」
「あら、魔理沙。まぁ…色々あって今ここで看病してもらってたのよ。馬鹿らしい理由だから聞かないでおいてくれると助かるわ…。」
アリスは顔を赤くしながら目を伏せた。すかさず霊夢が事の顛末を漏れ無く全て話した。それを聞いた魔理沙は腹を抱えて大笑いした。
「あーはっはっは!!!要するにアリスは霊夢達を助けようと妖怪の山に入ったら自分も操られて足手まといになった挙句レミリアにやられたのか、アホらしいな。あ〜久しぶりにこんなに笑ったのぜ。」
「そんなに笑わなくたっていいじゃないのよ…。」
アリスは梅干しのように赤くなった顔で言った。霊夢は手を叩いて話を戻した。
「はいはい、アリスの話はそこまでよ。ここまで来た目的は飯綱丸なんだから。」
「え?私か?」
飯綱丸は目を丸くして言った。霊夢はスマホに必要な鉱石が欲しいこと、その為に百々世を紹介して欲しいことを伝えた。飯綱丸は少し考えてから言った。
「別に紹介するのは構わない。が、そのスマホとやらを私と典の分も作ってもらえないか?作ってくれると約束してくれるなら百々代に頼んでやろう。」
「じゃ、交渉成立ね。」
霊夢と飯綱丸は固い握手を交わした。
「それじゃあ百々世を私の屋敷に呼ぶから君たちも来てくれ。」
屋敷に案内しようとする飯綱丸をレミリアが止めて言った。
「私はこれをパチェに渡さないといけないから紅魔館に一旦帰るわ。何かわかったら私も飯綱丸の屋敷に向かうから。」
言いながらレミリアは寄生霊を詰めたツボを見せた。 フランもレミリアに続けて言った。
「お姉様が帰るなら私も帰るわ。お腹も空いたしね。」
「あらそう?それじゃ鉱石は私達に任せておきなさい!」
霊夢は胸を張っていった。レミリアは微笑み紅魔館に帰っていった。その後に飯綱丸達も屋敷に向かっていった。
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ー飯綱丸の屋敷に到着した一行は直ぐ飯綱丸の自室に通された。飯綱丸は部屋に案内すると百々世を呼ぶ為に一旦席を外した。その間霊夢達は典の持ってきたお茶を飲みながら談笑していた。
「それにしても妖怪の山の騒動はびっくりしましたねー。まさか霊夢さんに寄生霊の説明受けた直後にあんなにいっぱい来るとは思いませんでしたよ。おかげで肩が凝って凝って…。」
早苗は肩を叩きながら言った。霊夢も頷いて言う。
「まさかあんなに湧くとは思っていなかったわよ。しっかしなんであんなに湧いたのかしら…..。」
そこまで言って霊夢はふと思い出したように続けた。
「そういえば私、あの時紫らしき人影を見た気がするのよね。」
アリスが続ける。
「あら、私もそれらしき人影を見たわ。寄生される直前だから記憶があやふやなところもあるけれど…そのすぐ近くから寄生霊が湧いた気がするのよ。」
魔理沙は首を傾げて言った。
「それじゃ、今回の異変の黒幕はメディスンじゃなくて紫なのぜ?」
霊夢は考え込みながら言った。
「うーん..紫を黒幕と位置付けると色々矛盾も生まれる気がするのよね。」
「どういうことです?」
早苗の疑問に霊夢が答える。
「早苗には話してなかったけどここに来る前に早苗に話した寄生霊の情報の大半が紫に教えてもらったものなのよ。それに幻想郷中の住民が紫という一人の妖怪に支配されたら幻想郷のバランスが崩壊しかねないわ。まあ、その辺のことは紫が1番よくわかってるはずよ。」
それを聞いた二人は納得できたようなできないような表情だった。魔理沙も考えながら言った。
「うーむ….そうなるとやっぱりメディスンが今現在は黒幕最有力候補なのか。しっかし幻想郷中を支配できるレベルの寄生霊を作り出す力があいつにあるとはとても思えないのぜ。」
四人はしばらく考え込んだ。部屋中に沈黙が広がる。するとその沈黙空間を破るようにでかい声が響き渡った。
「いよおお!お前らか、この俺『姫虫百々世』様の力を貸して欲しいて奴らか!飯綱丸から話は聞いてある、採掘したい素材はなんだ?」
一同は百々世の勢いに気押されていた。百々世の後ろで飯綱丸もまさかこんな勢いよく登場するとは思っていなかったようでドン引きした顔で立っている。霊夢がはっと我に帰り素材の一覧表を見せた。
「ここにある素材をええと…飯綱丸と典の分と私たちの分を合わせて十一人分か、十一倍の素材が欲しいのよ。」
百々世は一覧表を見ながら少し顔を曇らせた。
「ふむ、大半の素材はすぐに集まりそうだな。金鉱を最近掘り当てたばかりだし..うーん、問題はこの『幻葬石』だな。こいつを集めるのは骨が折れるぞ?」
霊夢は首を傾げて尋ねる。
「そんなに貴重なものなの?」
「ああ…こいつは大体一月に一つ採れれば良い方だ。幻葬石はその名の通り見たものを幻の中に葬り去る程に綺麗な鉱石、それ故に昔この鉱石はほとんど採り尽くされてしまったんだだからこの鉱石が採掘できる鉱山がほとんどない。その上この鉱石の近くには謎の『魔獣』が必ず棲みついているんだよ。だから普通の鉱夫じゃ絶対に採掘できないしまず見つからないんだ。しかもこれ三人分で一つ必要と書いてある。どんなに早くても見つけるだけで四ヶ月かかると思うぜ?」
百々世が苦々しい顔で告げる。しかしアリスは涼しい顔で言った。
「それなら大丈夫よ。私の使う探知魔法の中に鉱石用のものもあるわ。確か前読んだ魔導書の中に幻葬石についての文献が載っていてね、その鉱石は普通の鉱石と違って魔力多く蓄えられる性質があるから多くの魔力がこもっているの。だから探知魔法にも引っかかりやすいはずよ。それにこの魔法は範囲も広いからここだったら…そうね、妖怪の山全体が対象ね。」
「おお、そうなのか!それなら話が早い。それじゃあ早速頼むよ。」
「ええ。」
アリスは目を閉じて詠唱を始めた。するとアリスの足元に円形の魔法陣が現れた。同時にアリスの頭上に光の玉が現れたかと思うとそれは瞬く間に一筋の光を放ち幻葬石のある方角を示した。
「幻葬石はあっちの方角にあるっぽいな。」
百々世はそう言うと地図を広げて鉱山の場所を探した。
「あっちの方にあるのは…100年くらい前からある鉱山だけだな。よし、早速向かおう。飯綱丸も来るか?」
そう言って会話に入れず呆然と立ち尽くしていた飯綱丸の方を見る。飯綱丸は首を横に振って言った。
「いや私はいい。大天狗としての仕事もあるしな。」
「そうか、仕事頑張れよお。それじゃあ俺たちは早速鉱山に向かうとしよう。」
百々世はそう言うと部屋を後にし、その後に続いて霊夢、魔理沙、アリス、早苗と続いた。飯綱丸と典が見送った。
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鉱山に到着した一行は早速探知魔法の光を頼りに鉱山に入って行った。
中には鉄や銅などの鉱石があったが幻葬石はなかなか見つからなかった。早苗は歩きながらぼやいた。
「ふぅ、全然幻葬石ありませんね。私もう疲れてきましたよ。」
霊夢が振り返って言った。
「そりゃそうでしょうが、一月で見つかれば万々歳の物を探してんのよ?いくら探知魔法があるって言ったってこんな浅いところにあるわけ無いんだから。いいから黙って魔法の光の示す方向に…。」
「あ!あれじゃないですかー?」
霊夢が説教してる間に早苗がほいほい見つけた。そこには確かに周りとは雰囲気の違う光を放つ鉱石があった。
「おっ、それっぽいな。それじゃあ早速…。」
魔理沙が手を伸ばした瞬間。
「ぐぎゃああああおおおおおお!!!!!」
この世のものとは思えない叫び声と共に大きな影が上から落ちてきた。それは赤黒いうろこを全身にまとい、二本の純白のツノを生やした紅い目のドラゴンだった。
百々世はつるはしを構えて言った。
「こいつが言ってた『魔獣』だ!スマホが欲しけりゃこいつをぶっ倒すぞ!」
霊夢達もそれぞれ武器を構える。魔獣は臨戦態勢の百々世達を見て雄叫びをあげる。
「ぐるぎょああああおおおおおおお!!!!」
魔獣はツノを構え突進してきた。全員飛び退いて避ける。霊夢が叫ぶ。
「あんた達!私達も行くわよ!」
そう言いながらお札弾を放った。それは魔獣に命中したがほとんど効果がなさそうだ。
「やっぱ生半可な攻撃じゃだめか。スペルカードじゃないと効果がなさそうね。」
霊夢以外もスペルカードを撃つ態勢になる。しかし魔獣も黙って待つわけがない。霊夢達に向かって炎をはいた。霊夢達は宙に浮いて避けた。
「っと、危なかったわね。今度こそ…って、え?」
アリスは呆然とした。魔獣はなんと幻葬石を飲み込んだのだ。
「な、何してるのぜ!」
魔理沙は幻葬石を吐かせようと魔獣の腹に向かってマスタースパークを放とうとした。その瞬間魔獣は雄叫びをあげながら光りだした。
「うぎゃあああああううおおおおお!!!!!!!!」
魔獣はツノの先に魔力を溜めだした。それはいくつもの魔力球となり霊夢達に目掛けて飛んできた。
霊夢達はふっとばされ、壁に激突した。早苗は倒れながらうめく。
「うぅ…まさかここまで強いとは。攻撃の間隔が短いからスペルカードを使う暇がない上普通の攻撃は通らない。絶体絶命ってやつですかね。」
百々世も頷き言った。
「あぁ…まさに絶体絶命ってやつだよ。まさかここまで強いとはね。俺が本気を出してもせいぜい足止めが限界だろうな。さぁてどうしたもんかな。」
全員が諦めようとしているときアリスは覚悟を決めた顔で言った。
「足止めが出来るのなら足止めをお願い。トドメは私が刺す!」
霊夢達は何が何だかよく分からなかったが立ち上がるアリスを見て再び戦意を取り戻した。アリスは呟いた。
「ほんとうは嫌だけど…、見られたくないけどここでみんな死ぬくらいなら…やってやるわよ!!」
Next Phantosm
おまけ〜紅魔の素敵な住民たち〜
もうすぐクリスマス!!の巻
12月になり本格的に寒くなってきた。しかし紅魔館は冬に備えて河童印の暖房を各部屋に取り付けたのだ。
そのおかげで今年の冬も住民たちは暖かく過ごせる。
さて、12月は寒いの他にもう一つ冬らしい事がある。
そう、クリスマスだ。吸血鬼がキリストの誕生日を祝うのもおかしな話だが紅魔館では毎年クリスマスパーティーを開いている。今日は紅魔館全体の飾り付けを館の住民たち総出で行なっている。大図書ではこあとパチュリーがツリーを飾り付けたり本棚にリースを飾ったりしていた。
「パチュリー様ー!ツリーの飾り付けこんな感じで良いですかー?」
こあが叫ぶ。パチュリーは上から下まで見て言った。
「完璧、と言いたいところだけど大切なものを忘れてるわ。」
パチン!!!
そう言いながらパチュリーは指ぱっちんをした。
するとツリーの頂上に輝く星が現れた。もちろんパチュリーが魔法で作り出した星だがその輝きは夜空に浮かぶ星に引けを取らない。こあは満面の笑みでツリーを眺めた。
一方こちらは大食堂。ここでは美鈴と咲夜が飾り付けを行なっている。咲夜が脚立に大きなモミの木に飾り付けをし美鈴が周りの壁にリースなどを貼り付けていっている。
「ふぅ、一旦はこんな感じですかね。」
美鈴が額の汗を拭いながら言った。大テーブルにはクリスマス柄のテーブルクロス、周りにはベルや可愛い顔をしたジンジャークッキーが一面に飾ってありいかにもクリスマスらしい。咲夜が美鈴の方を向いて言った。
「あら、なかなかいい感じじゃないの。これならお嬢様達も喜ぶわ…。」
その時咲夜はバランスを崩して脚立から落ちそうになった。
「危ない!!」
美鈴はそう叫ぶと目にも留まらぬ速さで咲夜を抱きかかえた。
「大丈夫ですか、咲夜さん。」
咲夜は恐る恐る目を開ける。咲夜は美鈴にお姫様抱っこで抱えられてることに気づくと頬を赤く染めた。真っ赤な顔で咲夜は言う。
「えぇ、大丈夫よ。ありがとうね美鈴。」
そんな様子を妖精メイド達はドアの隙間からこそこそ見て笑っていた。ツリーの頂上では星が輝いていた。
レミリアとフランは一足先に自分達の部屋の飾り付けを終えるとレミリアの部屋でクリスマスプレゼントに何が欲しいかをサンタ宛に書いていた。フランはニコニコしながら言った。
「えへへ〜今年は何が良いかなぁ。大きなくまちゃんのぬいぐるみもいいけど、大きなCHOCOLATEもいいなぁ〜。迷うわ〜。」
「何でチョコだけネイティブな発音なのよ…。それに大きなチョコレートを貰っても食べ切れないわよ。」
レミリアが苦笑いで言った。フランは頬を膨らませて言った。
「そんな事無いわよー。そういうお姉様は何をお願いするの?」
「ふふっ、私は外の世界の高級紅茶セットよ。」
レミリアは自慢気に言った。そんな微笑ましい光景を咲夜と美鈴はドアの隙間から眺めていた。
「今年もサンタさんに手紙書いてるようですね。よく喧嘩してるけどやっぱり仲良しですね、お嬢様と妹様って。」
美鈴がニコニコしながら言った。咲夜も頷き言った。
「そりゃあそうよ。お二人からしたら唯一の肉親ですもの。普段は喧嘩してるけどそれも愛情の裏返しなのよね〜。」
「そうですねぇ、そういえば今年もサンタさんは咲夜さんがやるんですか?」
美鈴が尋ねると咲夜は首をかしげて言った。
「え?私一回もサンタ役なんてやってないわよ。毎年美鈴が枕元に置いてるんじゃないの?」
美鈴も首を振って言った。
「いいえ?私も毎年咲夜さんが置いてるんだと思って用意したことなんてありませんよ。そもそもサンタが来る時間はいつも寝てしまっているので置けるはずも無いですよ。」
「じゃあ…パチュリー様かこあ?」
「いやその二人も毎年咲夜さんが置いてあげてるんだろうって言ってたので違うと思います。でも咲夜さんじゃないってことは…。」
「本物の…サンタが?」
誰かがプレゼントを配っているだけなのか。
はたまた本物のサンタが幼い吸血鬼の為に運んできているのかそれは誰にも分からない。
今年もクリスマスがやってくる。