霊夢達は呆然として言った。
「アリス…何を言ってるのよ!普通の弾幕じゃ刃が立たない上にスペルカードを使う隙もないのよ!?どうやって…。」
霊夢はそこまで言って口を噤んだ。アリスの周りに紫のオーラが出てきたからだ。アリスは振り返って言った。
「私なら出来るわ。本当は嫌だけれど…ここでみんな死ぬくらいならやってやるわよ!」
そう叫ぶとオーラは一層強まった。
妖しげな光が周囲を包み込む。
「うっ、眩しいのぜ…。」
一同はあまりの眩しさに目をつぶった。しばらくして光は収まった。魔理沙は恐る恐る目を開けた。
「ん?光はもう収まったようだな。……え?」
魔理沙は絶句した。霊夢も魔理沙と同じように目を開け絶句した。
そこにはアリスとはかけ離れた姿の者がいた。
髪の色が紅く染まり、眼の色は金に輝き背中にはこあのような翼を生やしていた。百々世は尋ねた。
「お前、確かアリスと言ったな…もしかして神綺の…?」
そこまで言いかけたところでアリスは羽を広げて魔獣に向かって飛び込んだ。手にはレミリアの扱うグングニルのような槍が握られていた。
しかしそれよりももっと禍々しくもっと殺意のこもったものだった。
「……..!」
アリスは槍で薙ぎ払った。魔獣の角が一本吹き飛ぶ。
「……..!」
アリスはもう一度薙ぎ払った。もう片方の角も吹き飛ぶ。一同は呆然としてアリスと魔獣を見つめていた。今まで人間だと思って接していた友人がいきなり人間とはかけ離れた姿になった事実を受け入れられないのだ。ぼんやり眺めることしかできないでいるとアリスは暴れ狂う魔獣の体当たりで吹き飛ばされてしまった。それを見て霊夢はハッとした。
「みんなぼんやりしてる場合じゃないわよ!アリスは足止めをしてと言った。どれぐらい止められるかはわからないけど…やるわよ!」
その言葉に我に帰る。
「そうですね!アリスさんのことですからきっと何かしら策があるはずです!私も頑張っちゃいますよー、守矢の名にかけて!」
「俺様も本気出すかあ!」
「………..。」
二人はそれぞれお祓い棒とツルハシを構えた。しかし魔理沙だけは現実を受け入れられてないようだった。幼い時からずっと遊びともに魔法のライバルとして腕を磨いてきたアリスが悪魔?そんなはずはない。ずっとこんな考えが行ったり来たりしてまとまらない。そんな魔理沙を見た霊夢はゆっくり魔理沙に近づいた。
パシっ!
次の瞬間には霊夢の手が思い切り魔理沙の頬を引っ叩いていた。その後に霊夢の怒号が響く。
「しっかりしなさいよ魔理沙!アリスがなんで今まで隠していた姿を見せてまで戦ってるの!?私たちが生きて帰るためでしょ!それに…。」
霊夢は目に涙を浮かべる。
「それにアリスが悪魔だっていいじゃない。現に今アリスがその姿になったって今までの思い出が消えるわけじゃない。種族の違いなんて大した差じゃないのよ。忘れたの?幻想郷は..全てを受け入れるのよ。」
魔理沙は静かに頷いた。魔理沙は立ち上がると箒を構えて言った。
「今から私が拘束魔法の魔法陣を敷く。お前らはそこにありったけの力を注いでくれ!霊力でも妖力でも自動的に魔力に変換されるから本当に空になるまでだ!」
言い終えると詠唱を始め魔法陣を出現させた。
「今だあ!!」
魔理沙が叫ぶと一斉に力を注ぎ込み始めた。注いでいる間もアリスは槍を構えて戦っているがやはり隙がないので致命傷を負わせられない。
「もう..少しだ。アリス、耐えてくれ。」
まもなく力を注ぎ終えると魔法陣は淡い光を放った。その中心から一際強い光が放たれるとそれは魔獣に絡み付いた。
「ぐぎゃおおお!!」
魔獣は雄叫びを上げて暴れるが絡み付いた光は切れる気配がない。それを見たアリスは一瞬微笑み槍の先に力を込めると魔獣の心臓に一突き。
槍先は魔獣の心臓を貫いた。魔獣は鳴く事もなく灰になり消えた。アリスは全ての力を使い果たしたようで元の金髪の人間の姿に戻った。
アリスは気を失って落ちた。霊夢は咄嗟に手を伸ばしてアリスを抱き抱えるように受け止めた。
「ふう、色々と突っ込みたいところはあるけどまずは幻葬石だな。っと、早速あったな。」
百々世の指さす先にはぼんやりと淡く光る鉱石があった。それはまるで生きとし生ける者全てを魅了するようなどうにも表現し難いそんな美しさがあった。
「よし、早速俺様が採掘してやろう。つーかこの辺りやたらと幻葬石が多いな。」
百々世はそんなことを言いながら採掘を始めた。確かにこの辺りには幻葬石が山ほどあった。見渡す限り全ての鉱石が幻葬石であった。
百々世はあっという間に採掘を終えてしまった。霊夢は目を丸くして言った。
「思ってたよりずっと多いわね…これだけあれば人数分のスマホが作れるんじゃない?」
「ああ、そうだな。よしこの鉱石は全部私の帽子に入れてくれ!」
魔理沙が霊夢の横から言った。早苗はポカーンとした顔でいった。
「魔理沙さん…何言ってるんですか。こんなに多くの鉱石が入るわけないですよ。」
「まあ、見てろって。」
そう言うと魔理沙は百々世から鉱石を受け取ると次々と帽子の中に入れてしまった。一同は呆然としてその様子を見ていた。魔理沙は得意げに話した。
「へっへっへ驚いたか。この帽子には空間拡大の魔法がかけられているんだ。見た目よりも多く入るのはそのおかげってわけだ。まあこの魔法は私が掛けたんじゃなくて昔魅魔様に掛けてもらったんだけどな。」
魔理沙は驚いてるみんなを見ながらますます得意げになった。鉱石を詰め終わると魔理沙は帽子を被り直した。その瞬間入れていた鉱石が全て落ちてきた。守矢神社の賽銭箱を逆さまにすると賽銭が落ちるようにこの帽子もまた重力によって鉱石が全て落ちたのだ。人は自然を越えることは出来ないいい例である。
ーその頃幻想郷のとある場所にて。
「皆のもの!よく聞けえ!これよりこの私埴安神率いる「偶像軍団」は地底に攻め入る。もちろん大量の寄精霊も率いてだ!地底に入ったら出来る限り殺さずに寄精霊を寄生させろ!そうして軍の人数をまた増やすのだ!地底を制圧したらいよいよ幻想郷全土を支配するぞ!」
桂姫が話し終えると周りは無言で拍手をした。この拍手をしているもの達すなわち「偶像軍団」は全員奇精霊に寄生されている。面子はさまざまでその辺の野良妖怪や妖精、妖怪の山の白狼天狗や鴉天狗などもいる。その中でも群を抜いて強いのは先頭で拍手している大妖怪「八雲紫」だ。
「ふふふ、気合十分のようだな。それでは地底に向けて進軍だー!」
桂姫が叫ぶと紫はスキマを地底に繋いだ。偶像軍団はスキマを通り次々と地底に足を踏み入れた。
そんな様子を白髪の女性が影から見ていたが誰も気づく様子はなかった。
ー地底
「さあ、お前達!さっさとこいつらも寄生させてしまえ!私の手駒にするのだ!」
桂姫は上空から偶像軍団の指揮を取っていた。地底の住人達はいきなりのことに戸惑いつつも鬼のリーダー「星熊 勇義」の指揮のもと鬼達をはじめとする多くの妖怪が応戦していた。勇義は最前線に立ちながら叫んだ。
「鬼どもは天狗達の相手をしな!他の妖怪は鬼以外に任せたよ!アタシは…!」
埴安神桂姫を睨む。
「あそこにふよふよ浮いてる本丸を撃つ!」
叫ぶやいなや桂姫に飛びかかった。よそ見をしていたので桂姫は勇義に思い切り殴られてしまいそのまま地面に落ちた。
「誰だ?」
桂姫はふらつきながら立ち上がり叫んだ。
「アタシだよ、迷惑な侵略神。」
埃をぱんぱん払いながら遊戯が言った。桂姫は険しい表情で言った。
「お前は…鬼の四天王の一人、星熊勇儀か。それにしても侵略神とは失礼だな。私の名前は埴安神桂姫。」
言いながら桂姫は彫刻刀を構える。
「この幻想郷の新たな支配者となる神だ!
Next Phantasm
おまけ
〜紅魔館の素敵な住民たち〜
クリスマスイブの巻
いよいよ外に出るのもキツくなってきた日。
紅魔館ではチキンやローストビーフなどの咲夜が腕をふるって作ったご馳走が並んでいた。一同はテーブルを囲いワインを飲みながら談笑していた。紅魔館ではクリスマスイブとクリスマスの両方を楽しむスタイルなのだ。
「ねぇねぇお姉様今年はサンタさんに何もらうつもりなの?」
フランが肉を食べながら聞いた。レミリアはワインを
一口飲んでから言った。
「それは明日の朝教えてあげるわよ。フランはもう決めたの?」
「うん、私も明日の朝教えるわ!そういえばサンタさんの正体って何かしら?」
フランは首をかしげて言った。レミリアは心の中で咲夜か美鈴辺りだろうと思いながら言った。
「それは誰にも分からないのよ。サンタさんの正体が分かる時はプレゼントが貰えなくなる時でしょうね。」
「え〜!なら私一生正体分からなくていいや!」
フランはそう言ってまた食事に戻った。咲夜と美鈴は目配せをした。
ーその日の夜
いつもは寝ているはずの時間にも関わらず美鈴と咲夜だけは起きていた。
「さぁ、美鈴。サンタの正体を突き止めるわよ!」
「はい、咲夜さん!」
そう叫ぶと美鈴はフランの部屋の前に、咲夜はレミリアの部屋の前にそれぞれ立った。彼女らはサンタの正体を突き止める為に本気になっているのだ。美鈴は紅魔館に近づく者の気配を感じるために全神経をすましていた。
咲夜はナイフを持って周りを見渡していた。
部屋の前に立ってから2時間たった頃。
「う〜ん、お嬢様の部屋からも何も聞こえないし、美鈴の方からも何も聞こえないわね。もしかしたらもう来ちゃったのかもしれないわね。」
そう言って咲夜はドアを開けようとした。その瞬間急激な眠気が咲夜を襲った。
「あ…れ?なんだか急に眠く…。」
咲夜はドアを半開きにしたまま眠ってしまった。そのドアの先では誰かが動いていた。
その頃美鈴も同じように眠ってしまっていた。その隣を少女がプレゼントを持ってフランの部屋に入った。
「メリークリスマス、フラン。」
そう言って枕元にプレゼントを置いた。少女はフランの部屋を出てから美鈴の隣にもプレゼントを置いていった。咲夜とパチュリーのところにも同様にプレゼントを
置いていった。
ー翌朝
咲夜と美鈴は自分の隣にもプレゼントがあったことに驚くわ寝てしまってサンタの正体を確認出来なかった悔しさやらで大騒ぎ。フランとレミリアは仲良くプレゼントの見せ合いっこをしていた。
結局サンタの正体は不明だが幻想郷は何が起こってもおかしくない。もしかしたら本物のサンタもいるのかもしれない。レミリアの目の下にはうっすらクマがあった。
終わり