ラブコメがしたいエセ電波VSどうあがいてもオカルトになる本物 作:夏之 夾竹桃
薄暗がりの中各々懐中電灯を持ちよりそこに集合する。
「スーパークレイジーオカルティックトンネル。」
「何ですか、その変な名前。」
「どう足掻いたってそうだろ。」
「言うほどですか?」
「雰囲気、言うほどだと思う。」
「ほう、本物はやはり違いますね。」
「本物って言うな。」
「んじゃ、行きますか。」
「んまあ、行くのは構わんが前気を付けろよ?」
「んえ?前?」
前方、トンネルの入り口に先客がいる。
「え、お化け…?」
「たぶん違うだろ。」
そう言って俺は歩みを進める。
「えぇ!?行っちゃうんですか!?」
「行きたいって言ったのおまえだろ?」
「ま、待ってくださいよ!!」
そうして、トンネルの真ん前に突っ立ってる女を流しながらその領域に足を踏み入れる。
とたんにそいつはようやく声をあげた。
「君たち…生半可な気持ちでここに来たわけじゃないよね?」
「「…え?」」
「どうしたんですかね…あの人…。」
「いいか、三珠。あれが本物だ。」
「変にコソコソ話をするんじゃ無い!!ともかく、ここは危険なんだぞ?」
これはあれか?オカルト系の作品でよくある、危ないからはなれろ!!からの、だから離れろって言ったのに…やれやれ、系のやつか?
「まあ、百も承知ですよ。」
「そんなこのご時世、幽霊なんているわけ無いじゃないですか?」
こいつさっきまで怖がってたのに、しばいていいだろうか?
「君らは何もわかってない!!そこには数百体の霊が!!」
「あー…居ますね。」
「…神代くん?」
「あなた…見えてるなら…。」
「200…250…263…ってとこですか。」
「か、神代くん…まさか本当に…。」
「適当言うんじゃない。262だ。」
「なぁ、惜しい!ニアピンか…!」
「や、やっぱりそうですよね。そんな幽霊とかいるわけ…。」
「てな訳で行きますね。」
「「えぇ!?」」
「ちょ、ちょっとあなた人の話し聞いてた!?」
「そうですよ!!幽霊なんて居ないってわかったんだからもう帰りましょうよ!!」
「いや、三珠に関しては止めるのはおかしいだろ。ほら行くぞ。怖がるとこ見たいんだろ。」
そうして俺はその忠告を無視して三珠を引きずりながらトンネルへと入っていく。
「ふ、雰囲気ありますね…。」
「おお、そこ足元気を付けろ。」
「ひぃっ!?って、なにもないじゃないですか。」
「んま、おまえの底抜けに明るい正確が功を奏してるな。」
「え?」
「あ、あと上は見るな。」
「んえ?」
そうしてこいつは上を見上げる。
「バッカやろう!だから上は見るなって言ったろ!!」
「な、なにも居ないじゃないですか!!驚かせないでくださいよ!」
「はあ…これだから。」
「なんのため息ですか…。」
「今ので1。」
「…え?」
「寄ってきた。」
「な、なに言って………。」
ポタリと水滴の落ちる音。
「おう…やべぇな。」
「え、な、何が…。」
三珠はうつむいて、ようやく気がついたのだろう。見たことの無い勢いで垂れる鼻血。
「これは…血…?」
「ほれ、パニックになるな。呼吸整えろ。」
「な、何が…!?」
「だから…あ、まあいいや。ほれ、後ろ向け。」
「え?え??」
三珠の背中に手を当てる。
「ち、ちょっと神代くん!?」
「んま、楽にしてろ。」
しばらく、なにも考えずに手を当て続ける。
「ん、入った。」
「何が!?」
「ほれ、鼻血止まったろ?」
「う、うん…え、えっと神代くん…な、何が…。」
「これだから見えないやつは。」
「え…ほ、本物…?」
「ほら、幽霊なんて居なくなったぞ。」
「う、うん…?」
「2度と心霊スポット行きたいとか言うな?こっちだって疲れるんだから。」
「わ、わかっ…た…。」
「なんでそんなキョトンとしてんだよ。」
「いやいや、なんでそんなに平然としてるの?」
「まあこのくらいはよくあるだろ。ほら、帰るぞ?」
「よくある…よくある?」
そう言うわけで俺たちは踵を返す。
「んね、あれ。」
「あれ?」
「鹿じゃないですか?」
「…あれ鹿か?」
「シルエット鹿ですよ?」
「あれ顔面人間だろ。」
「「…え?」」
鹿の角が顔面に飛んできたことがあるけどそのせいで前歯折れました。皆さんも鹿の角とは喧嘩しないでください。負けます。