ソードアート・オンライン 孤高の死神   作:AFGYT

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ついに…あの回が…


決別

デスゲームが始まって十数日が経った

俺はミトとアスナの3人でパーティを組んでいた。俺達はフィールドでレベリングをしながらクエストをこなす日々を過ごした。俺たちは順調に成長しているが、全体で考えると寧ろ悪化していると言えるだろう

デスゲームに閉じ込められたプレイヤーの生き方は様々だ。俺達のようにレベルを上げゲームを攻略しようとする者、生産スキルを上げプレイヤーを支援する者、始まりの街に閉じ籠りゲームからの解放を待つ者、精神的に追い込まれ外周から自ら命を断つもの

しかし、ゲームを攻略しようにも未だ迷宮区の攻略は手付かずだった。迷宮区はフィールドモンスターよりもレベルが高く、その分危険度は上がる。βテストをプレイしたプレイヤー、通称βテスターもテスト時と違うモンスターや仕様に苦戦していた。

 

(俺達は…このゲームをクリアできるのかな。)

 

この先に不安を感じながら俺たちは狩場へ向かう

 

 

 

 

「はぁ!」

 

アスナは細剣基本ソードスキル《リニア》を立ち上げると敵モンスター《リトルペネント》に向かって攻撃を打ち込む

アスナの細剣が赤く発光するとシステムに従い剣先はリトルぺネントの腹部分に直撃した

リトルペネントは「ギィヤァ」と短い断末魔とともにポリゴンに変わる

アスナは日を重ねるごとに強くなっている、越される日も近いかもしれない。仲間の成長が嬉しくもありゲーマーとしての闘争心もわいてくる。

 

ミトと俺も負けじと鎌をふる、モンスター達は次々と砕散り経験値が俺たちの体に入っていく

リトルペネント自体はそこまで強くはないモンスターだが、真に厄介なのは『実付きの』上位種だ。頭に実が付いている個体を攻撃するとあたりのリトルペネントが一斉に襲いかかってくる厄介で凶悪なモンスターだ

 

「そっち行ったよ!ミト!」

「オーケー!」

 

ミトは鎌の基本ソードスキル《ソロウ》を発動する

スラッシュはソードスキル発動位置から対象に対角線を描くように切りつける技

リトルペネントは腕のつるで防御体制を取るがミトの紫色に染まった鎌がつるごと切り裂いた

しかし本体に与えるダメージは浅く、腕を失ってもミトに敵意を向けその口でミトに噛みつこうとする

ミトはソードスキル後の硬直で動けずにいた

 

「させるかよ!」

 

俺は柄を下から上に持ち上げリトルペネントの顎を打つ、ダメージは少ないがリトルぺネントはノックバックを受け体制が崩れ地面に倒れる

そこを硬直から解放されたミトが通常攻撃で追い討ちしリトルペネントはポリゴンとなって砕け散った

 

「ナイスアシスト。」

「次から気をつけろよ。」

 

俺とミトは拳を合わせる。その時、背後から草むらを掻き分ける音が聞こえ咄嗟に振り向く

草むらから出てきたのは見た事がないネズミのようなモンスター《スプリー・シュルーマン》だった

 

「あ!あれレアモンスターじゃない?」

「え?あいつが?」

「うん、βテストの時噂になってたやつだ。私がやるからアスナのフォローよろしく!」

「はぁ!?ちょ、待っ…」

 

静止も聞かずミトはモンスターを追いかけて行った

 

「勝手なやつ…あとでドロップ品見せて貰うからな!」

 

文句を言いつつ俺は目の前のモンスター群と対峙する

 

ーーーーーーーー

 

「すばしっこい奴…」

 

私はスプリー・シュルーマンを追いかけて森を駆け抜けていた

レアモンスターなだけあってプレイヤーから倒されないようになっているのだろう、あの手この手で翻弄してくる為攻撃が当たりにくい

しかし、行動パターンは大体読めた

鎌を向けるとスプリー・シュルーマンが回避行動をとる、この回避行動は右、左、右と動いたあと一瞬だけ動きが鈍る。その回避行動を取らせるためわざと攻撃するふりをした

スプリー・シュルーマンは予想通り右に方向を変えた、私もそれについていく

 

(左!)

 

イメージ通りに方向転換したスプリー・シュルーマンと同時に左へ方向を変える

 

(右、そしてここ!)

 

次はスプリー・シュルーマンより一瞬早く右へ飛び確実に仕留める為ソードスキルを立ち上げる

スプリー・シュルーマンが右へ方向転換するとその先には鎌の刃が迫っていた

ソードスキルは命中しスプリー・シュルーマンはポリゴンとなって消えた

私はドロップ品を確認する

 

「細剣か、アスナにあげよう。さて、ちょっと遠くに来ちゃったから急いで戻らないと。」

 

メニューを閉じると、俊敏パラメーターを全力で発揮し二人の元へ戻る

 

しばらくして、戦っているシンとアスナの姿が見えた

HPを見てもさほど減っていなかった為心配しなくてよさそうだ

 

「ごめん、大丈夫だった?」

「ああ、なんとかな。ところで何かドロップしたのか?」

「それは帰ってからのお楽しみ…って。」

 

その時、視線の先に実付きのリトルペネントがポップした

そしてその手前のリトルペネントに狙いを定めたアスナはソードスキルを立ち上げる

あの構えはおそらく突進技の《リニア》だろう。あのままでは実付きにも攻撃が当たってしまう

しかし、アスナには見えていないのかそのまま攻撃モーションに入る

 

「アスナ!ダメェ!」

「え?うわぁ!?」

 

私は叫んだが時既に遅し。アスナの剣はシステムに従いリトルペネントに向かって走る

手間のリトルペネントはアスナの突きを受けポリゴンへ変わる、そして攻撃判定はそのままに実付きにまで及ぶ

アスナも状況を理解したのか顔が明らかに暗く染まる

 

『キィィィアァァァァァ!!!』

 

甲高い鳴き声が鼓膜を振るわせ辺りに轟く

次の瞬間、私たちを取り囲むようにリトルペネントの群が地面を鳴らしながら集まってくる

 

「そ、そんな…」

 

その場に立ち尽くすアスナにリトルペネント達は襲いかかる、

 

「アスナ!」

 

アスナに振りかざされたつるを私は鎌で受け止めてようとする。しかし…

 

「ぐっ…」

「きゃあ!」

 

その一撃は今までのリトルペネント達より明らかに重くアスナ諸共弾き飛ばされる

HPを早くも4分の1を削られてしまった

 

「アスナ大丈夫?」

「ごめん、私のせいで。」

「大丈夫!さあ立って…「ミト!危ない!」…えっ?」

 

振り向くと一体のリトルぺネントが私に向かってそのつるを振り下ろそうしていた

 

(まともに食らったらやばい…!死ぬ…!)

 

頭の中を「死」という言葉が支配しかけたその時

 

「アスナ!ミト!」

 

シンが私達とリトルペネントの間に入りつるを弾くと鎌の刃で周りのリトルペネント達を切り刻む

ソードスキルが無いにも関わらず切られたリトルペネントは倒れてポリゴンへ変わった

 

「まさか…二人とも、あいつらは攻撃力は強いがその分HPは低い。多分通常攻撃だけで倒せると思う。一度お互いに距離をとって各々で撃破だ。

行けるか?」

 

『了解!』

 

アスナも気を取り直し、各々別々の方向へ走り始めた

数こそ多けれど冷静になれば対処可能なレベルの敵だ

 

「はぁぁ!!」

 

移動しながらもリトルペネントを切りながら森を抜けて崖の近くへ移動する

 

(ここなら背後を取られない!)

 

崖を背にしてリトルペネントの群れに向き直る。数はざっと20体ほど

 

「私なら…いける!」

 

自分を鼓舞しつつ目の前の敵に全神経を研ぎ澄ます。まさに崖っぷち、自分をそして大切な人を守る為命を燃やす

右から1体がつるを伸ばしてきた、そこに合わせてつるを柄で弾きすぐさま懐に入り込む

刃を立てて下から上へと腹を切る。反応できずにリトルペネントの体はダメージ表示で赤く染まって砕けた

 

(まず一体!)

 

その後も攻撃を避け一撃を入れ距離を取るという『ヒットアンドアウェイ』を繰り返していた

 

(これで、十体!)

 

後半分まできたところで左上のHPを確認する、私の体力はまだ半分を切っていない、まだ余裕はある。シンは表示はグリーンのままでほとんどダメージを受けていない。しかし、アスナはレッドゾーンギリギリでなんとか踏み止まっているがかなり危険だ

さらにアスナのHPが減りついにレッドゾーンに突入した

 

(アスナ!!)

 

しかし直ぐに半分まで回復した、おそらくポーションを使用したのだろう。

 

(よかった…)

 

しかし、胸を撫で下ろす暇などない、目の前にはまだ多くの敵が道を塞いでいる

 

「待っててアスナ、直ぐそっちに…」

 

攻撃のため足を踏み込んだ瞬間、私は宙に浮くような感覚を覚えた。足元を見ると地面にあったはずの左足は崖の外側にあった

 

天然トラップ《崖崩れ》

崖近くにいると低確率で起こり、プレイヤーの足場が崩れ崖の下へ落とすこのフィールド特有のトラップだ

 

私の体はゲーム内の重力に従い崖の下へ落ちていく

その途中で岩に何度もぶつかりHPが削れていく

その度、体に衝撃と不快感が走る

HPはレッドゾーンに突入し左端まで数ドットのところで止まり地面に落ちる

 

すぐさまポーションで回復し辺りを見るとリトルペネントが追いかけてきていた

すぐさま立ち上がって上を目指してて右にある上へ登るための坂道へ向かう

ふと仲間のHPをみる。そこには赤く染まった仲間のHPがあった

シンはHPの減少が止まっているが、アスナのHPは左へと進んでいく

 

「嫌だ…止まって…」

 

そう言葉にするも残酷にもアスナの命は削られていく、あと数ドットの所で頭の中にリトルペネントにやられて砕け散るアスナの姿が思い浮かぶ

親友を失う、仲間を失う、その見たくない現実が私の指を無意識に動かしていた

 

「っ…!!」

 

 

 

 

気づけば私は《パーティを脱退しますか》という問いに《yes》と答えていた

 

 




次回 英雄さん登場
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