ソードアート・オンライン 孤高の死神   作:AFGYT

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今回、鬱展開なので閲覧注意です
それでも大丈夫という方は読んでいってください


『白昼夢』

デスゲーム開始から約6ヶ月

浮遊城《アインクラッド》の攻略スピードは日を追うごとに早くなっており現在の最前線は34層

この5ヶ月の間に色々な事があった

キバオウ率いる《アインクラッド解放隊》通称《ALS》は25層ボス攻略で多数の死者を出し最前線から姿を消した

アスナとミトは現在の最強ギルド《血盟騎士団》通称《KoB》の団長『ヒースクリフ』に誘われ加入し俺たちのコンビは解散した

俺とキリトはお互いの悪評(根も葉もない噂ばかりだが)のこともあり目立たないようお互いソロになって活動していた

 

俺はある日、情報屋のアルゴから一つの依頼を受けた

 

 

数日前

 

俺は最前線の街でアルゴに呼び出され路地裏に来ていた

約束の場所に行くとマントのフードを被ったいつもの格好をしたアルゴがいた

 

「やぁシー坊、相変わらず変な格好してるナ。」

「うっせ…で、頼みってなんだ?」

「……《笑う棺桶(ラフィンコフィン)》って知ってるカ?」

「…ああ。」

 

笑う棺桶(ラフィンコフィン)》それはこのデスゲームの世界で殺人を繰り返す最悪のレッドギルド

低層のプレイヤーのみならず攻略組のプレイヤーも狙い、モンスターやトラップよりもプレイヤーの恐怖の対象になっている

 

「そのラフコフがどうしたんだ…」

「先日、あいつらが動き出すという情報を掴んダ。」

「…その調査に俺を?」

「……今回ばかりは危険すぎるし断っても構わないヨ。ただ、キー坊が忙しい以上頼れるのがシー坊しかいなくてナ。」

 

俺はしばらく考えた後

 

「……わかったその依頼受けよう。いつもお世話になってる礼だ。」

「いいのカ?」

「そのかわり、終わったら何か奢れよ。」

「ああ、約束するヨ。」

 

 

 

 

そうして俺はラフコフの情報があった24層のフィールドに来ていた。下層のフィールドに来るのは久しぶりだったので懐かしい気持ちに浸りながらも目的の場所へ向かった

その途中

 

「うわああぁぁ!!」

 

男性の悲鳴が聞こえた

背中から鎌を抜き声のする方へ走る。草むらをかき分けた先にはゴブリンの群に囲まれたパーティが戦っていた

近くを見るとモンスターを呼び寄せる宝箱のトラップを踏んでしまったらしく、今のところはなんとか対処できているが全滅は時間の問題だった

俺はすぐさまモーションに入りゴブリン達に狙いを定める

両手鎌ソードスキル《サイクロン》を発動しゴブリン達の胴体を切り裂く

回避したゴブリンは棍棒を俺に向け飛びかかるが《サイクロン》追加効果の旋風によって弾き飛ばされる

今の攻撃でゴブリン達のヘイトが俺に向いた

硬直から回復した俺はパーティに向かって話しかける

 

「おい!大丈夫か?こいつらは俺に任せて一旦下がれ!」

「え?!でもこの量じゃ…」

「いいから下がれ!」

「お、おう!みんな一旦撤退だ!」

 

パーティはゴブリン達から離れて回復を始めた

俺は鎌を握り直すとゴブリン達を切り裂いて薙ぎ倒していく

数分後、50はいたゴブリンは全て俺の経験値になった

 

「やっぱあまりレベル上がらないな…」

「あ、あの!」

 

ゴブリン達のドロップ品を見ていると先ほどのパーティのリーダーらしき人から声をかけられた。後ろには他のパーティメンバーが並んでいた

見た感じリーダ含めて男三人、女性二人のパーティーだろう

 

「さっきは助けてくれてありがとうございます!俺はこのギルド《白昼の夢》のリーダーのフェルです。」

「俺は…シン、ソロだ。」

「あ、あの失礼かもしれないんですけど…もしかして貴方って…」

「……ああ、俺が『死神』だよ。」

「…!やっぱりそうですか、そのローブと鎌を見て……」

「気にしないでくれ全部俺がやってきた事だ。それより大丈夫だったか?」

「はい、うちのメンバーは全員無事です。」

「そうか、ここらはああいった罠が多いから気をつけろよ。じゃあな…」

「…ちょっとまってください!」

 

俺が立ち去ろうとすると後ろにいた女性プレイヤーの内の一人が俺を呼び止めた

俺が振り返るとその子は戸惑いながらも

 

「よかったら…この後……」

 

 

 

 

第24層、ある酒場にて

 

 

『かんぱーい!!』

「か、かんぱい……」

 

俺はあの後「お礼がしたい!」という言葉が鶴の一声となってあれよあれよという間に酒場でパーティをしている

正直、こういうノリは昔から苦手だが彼らの好意を無下にはできずこうして参加しているわけだ

 

「今日は改めてありがとうございました。今回は俺が全て払いますので遠慮せずに飲んでってください!」

「ああ、ありがとう…でもお金は有り余ってるしここは俺が……」

「いやいや!お礼の為のパーティなんですから、シンさんが出したら意味ないですよ!ね!フェル!」

 

そう言ってフェルに抱きつく金髪のツインテールの女性は槍使いのハル。どうやら彼女とフェルはリアルからの恋人で、こっちでも付き合っているらしい

ハルに抱きつかれるとフェルは満更でもなさそうに頬をかく

 

「すいません、うちのバカップルどもが…」

「いえ、微笑ましくていいじゃないですか。上の層はこういう空気は皆無なんで二人を見ると新鮮な気持ちになります。」

「そう言ってくれるとありがたいです…」

 

謝罪をしている大柄な男はタンクのデルト。雰囲気は完全に親戚のおじさんだ、正直めちゃくちゃ話しやすい。エギルと同じような兄貴分といったところだろう

 

「あ、あの!今日はありがとうございました…シンさんがいなかったら私たち今頃…」

「お〜いエルル!飲んでるか〜?」

「ちょ…カイト…酔うの早い。うっ!?酒臭い…」

 

エルルはさっき俺を呼び止めた少女で、それにだる絡みするのがカイト。見た感じカイトは未成年だが酒飲んでいいのか?

扱うのはそれぞれ細剣と片手剣だ。デルトさん曰くワンチャンあるとのこと。2組のカップルに囲まれてデルトさんが不憫でならない…

 

「あの!シンさん!助けて貰った上、パーティにも来てくれた恩人になんですが…もう一つお願いがあるんです!」

「?」

「俺たちに…レクチャーを頼めませんか!」

「……」

 

レクチャー…要するに戦闘のコツを教えて欲しいということだろう

その頼みに俺は

 

「そうだな……今日だけならいいぞ。明日からはちょっと用事があるんだ。」

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」

 

 

目を輝かせて喜ぶ彼らに俺は少し救われた気がした、俺でも誰かの役に立てるのだと…

 

 

 

だが俺はこの決断を後悔することとなった

 

 

 

 

 

 

パーティも終わり外はすっかり暗くなったが3時間だけという条件で俺のレクチャーを始めることとなった

2時間後、飲み込みが早い彼らは着実に成長し危ない場面も少しずつ減ってきていた

 

「少し休憩しよう…そうだな、あの洞窟なんてどうだ?」

「了解です!みんなー、一旦休憩だ!」

 

俺はフェルがみんなを集めている間に洞窟の中を覗く、すると洞窟の奥には少しの明かりがありプレイヤーの話声が聞こえた

 

「…完了…そr……ス…ぎはどう…」

 

途切れ途切れだが会話が聞こえてきた、あまり盗み聞きもよくないと思いこの場所から移動しようとした時

 

「盗み聞きとは感心しねぇな…『死神』さん?」

「ッ!?」

 

突如背後から聞こえた声の主に向かって咄嗟に鎌を振る、しかしその鎌は受け止められ俺は一度距離を取る

そしてそのプレイヤーの姿を見て背筋が凍る

 

そのプレイヤーの右手には包丁のような短剣が握られ顔や体は闇夜のような黒いマントを包んだ彼の名は

 

「PoH!?」

 

PoH、それは《笑う棺桶(ラフィンコフィン)》の親玉であり最凶最悪の殺人鬼だった

 

「まさか…ここが隠れ場だったのか。」

「情報屋か…全く、あの鼠には困ったもんだ…」

 

俺がどうこの場を凌ぐか考えていると

 

「あれ?おーいシンさん…どうしたんですか?」

「!!」

 

メンバーを連れたフェルがやってきた、PoHの姿が見えていないのかこっちに走ってくる

 

「来るな!逃げろ!!」

「え?どうし…て…」

 

俺は必死に叫ぶが洞窟の方から何かがフェル達に刺さりその場に倒れてしまう

洞窟を見るとそこには《笑う棺桶(ラフィンコフィン)》のメンバーがもう一人立っており右手にはピックを持っており、その背中には片手剣が背負われていた

 

「ど、どうして動かないんだ…」

「ま、麻痺だと…!?」

「え…え…私達どうなるの?」

「あ、あいつら…まさか《笑う棺桶(ラフィンコフィン)》!?」

「そ、そんな…じゃあ私達…」

 

ラフコフのメンバーはフェル達の向かって走り始める、俺はそれを見て一歩遅れて走り出す

ラフコフを目の前にしてフェル達のの顔が絶望に染まる、そいつはフェルに向かって片手剣を振り下ろす

フェルに当たる直前、俺の鎌が片手剣を受け止め剣をはじくフェルを守るように間に立つ

 

「俺が君達を守る…だから麻痺が解けたら転移結晶で直ぐに逃げろ。」

「シン…」

「すまない…俺は元々、あいつらを追ってここに来たんだ。そして俺の不注意のせいで君達をこんな目に…」

 

俺は彼らに謝罪をするとPoH達に向けて鎌を構える

 

「へぇ…死神が人助けか。珍しい事も起きるもんだなぁ。まぁいいか…おい野郎ども!」

 

PoHが叫ぶと辺りから10人ほどのプレイヤーが姿を現す、彼らのカーソルはオレンジが大半だがグリーンのプレイヤーもいた

 

「な!?俺の索敵スキルにも引っかからないだと!?」

「驚いたか?死神さんよ。さて、俺はここでおさらばだ。お前らあとは好きにしろ。」

「ま、待て!」

「じゃあな…死神、生きてたらまた会おうぜ。」

 

PoHはそう言って転移結晶でその場から離脱した、どこに行ったのかは聞こえず追跡は不可能となった

PoHが居なくなったのを見てラフコフメンバー達は武器を構えると一斉に襲いかかってきた

 

「クソが!」

 

俺は鎌で四方八方から来るさまざまなソードスキルを防ぐ

 

(さすがに…捌ききれねぇ…)

 

幾らバトルヒーリングでHPを回復してもそれを上回るダメージ量によって俺のHPは確実に減らされていく

俺がラフコフの波状攻撃に苦戦していると

 

「うわあああぁぁぁ!!」

 

一つの悲鳴が俺の耳に響いた、俺はフェル達の方向を見るとそこには

 

「嫌だ!やめてくれ…死にたく…な……い…」

 

パァン

 

ラフコフのメンバーがフェルに剣を突き立ており、悲痛な叫び声を上げながらフェルはポリゴンへと姿を変えた

ラフコフはフェルだけで無くハル、デルト、エルル、カイトにも無慈悲に攻撃を与える

 

「ッ!どけ!くそ…邪魔すんな!」

 

俺はラフコフのメンバーを振り解こうとするがラフコフは道を塞ぐように立ちはだかり

俺は強行突破しとうと両手鎌ソードスキル《サイクロン・リーパー》を放ち竜巻のような連撃を放つ、しかしそれでもラフコフの壁は崩れずハル達のHPは減っていく

 

「いやぁぁ!?助けて!助けてよ!フェ……ル……」パァン

「やめろ!まだ死にたくねぇ!やめろ!やめろおおおお!!」パァン

「やめ…て…もう……あ…あ……」パァン

「うわあああ!!嘘だろ……エルル…そんな…エルルゥゥゥ!!」パァン

 

 

「あ、あ、あ……」

 

俺は散っていくポリゴン達に力無く手を伸ばす、先ほどまで元気に笑っていた彼らはもういない

俺の頭は空っぽになった

その様子を見てラフコフのメンバーは笑い転げた

俺は鎌に力を入れると無心に振り続けた、怒りに身を任せてただ鎌を振るった。

誰のかわからない悲鳴が聞こえた気がしたがそれも聞き流し、心が訴える罪悪感も押し殺した

 

 

 

 

 

 

どのくらい経ったのかはわからない、周りには誰もいなかった。大きな満月だけが俺を照らしていた

まるで夢を見ている気分だった、けれど空気の冷たさと自分の心に残る罪悪感と絶望だけは現実だった

草むらから声が聞こえた、そこには一人のプレイヤーがいた。俺の姿を見るなり怯えて逃げていった

そして俺はあることに気づき言葉を失った

 

 

俺のカーソルがオレンジへと変わっていたのだ





《サイクロン》硬直3秒
自分の周り360°に斬撃を放ちその後ノックバック効果がある突風を発生させる。



《サイクロン・リーパー》硬直4秒
鎌を高速で持ち替えつつ斬撃を放つソードスキル、最大で6連撃。《サイクロン》の上位互換。《サイクロン》同様技終了時にノックバックがある突風が発生する。作中のラフコフ達はソードスキルで防御する事でノックバックを防いでいる



という事で原作でいう『月夜の黒猫団事件』のような回でした。曇らせ鬱展開大好き作者なのでどうやって曇らせよう…と考えた時に仲間が殺されるシチュがいいな…と思い立ち、モンスターにリンチにされるだけじゃ同じ展開で面白くないな…せやここで殺しの専門家ラフコフさんの出番や!という考えのもと書きました。
いやー書いてて胸が痛いわー(棒)
こんな感じの回が今後あるかもですがご容赦ください。読んでくださりありがとうございました
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