脳筋がハリー・ポッターの世界に転生した話   作:ディディエ

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ホグワーツ特急&ハーマイオニーとの出会い

翌日の午前中、ホグワーツ入学の準備を整えたルーカスは、見送りに来た両親と共に、キングズ・クロス駅にやって来た。

 

両親は「何でこんなマグルだらけの移動手段を」と、自分達が学生時代にも使用していた移動手段に文句を言っているが、前世で満員電車に乗った事のあるルーカスからすれば、そこまで不快感を覚える物では無かった。

 

むしろ、ルーカスは純血の家系だった為、両親がマグル界……魔法族では無い人々が住む場所へいく事を良しとせず、前世で慣れしんだ様な場所へ来られた事で、少しばかりの喜びさえ感じていたのだ。

そして、ホグワーツ行き特急のホームに辿り着いたルーカスは、両親から別れと激励の言葉を次々に投げかけられる。

 

「ルーカス、昨日言った事は覚えているな?」

「はい、覚えています。父上」

「しっかりやるのよ、ルーカス」

「母上、ご心配なく」

 

ルーカスは両親に、笑顔を向けながらも適当に返事を返した。

 

 

これから通うホグワーツには、4つの学生寮が存在する。

 

勇気、勇敢さ、決断力が特徴の「グリフィンドール」

知性と創造力、機智が特徴の「レイブンクロー」

忍耐強さ、勤勉さ、堅実さが特徴の「ハッフルパフ」

手段を選ばず野心的で、誇り高さが特徴の「スリザリン」

 

両親はルーカスが自分達と同じ「スリザリン」に入る事を熱望しており、事ある毎に激励という名の圧力を掛けてくるのだが、ルーカスにとっては正直どうでも良い事だった。

 

これはルーカスが、屈強な肉体を手に入れる事……すなわち「寿命まで生き延びる事」を最重要視しているからであり、寮に入ろうとする度に面倒なクイズを出される「レイブンクロー」にさえならなければ、正直どこの寮になろうが関係無かったのである。

 

もし、前世の記憶を保有していなければ、両親の教育によって純血家系特有の排他的思想に染まっていたのだろうが、今のルーカスは前世の価値観を色濃く残している為、そういう意味でも組み分けは重要では無かった。

 

「行ってきます! 父上、母上!」

 

少し過保護気味かな?とルーカスが思うぐらいに、その後も色々と言葉を掛けてくる両親に笑顔を向けながら、ルーカスは汽車に乗車した。

 

 

車内へと乗り込むと、ルーカスは空いているコンパートメントを見つけ、そこに入ろうとすると、偶然にも昨日オリバンダーの店で会った少年……ハリー・ポッターがいた。

 

ハリー・ポッターはルーカスの姿に気付くと、少し気恥しそうにしながらも声を掛けてきた。

 

「やあ、ルーカス。また会ったね」

「お前はハリー・ポッター……偶然だな、この車両にいるとは思わなかった」

「ハリーでいいよ、それよりルーカス……」

 

ルーカスとハリーは汽車が出発してからも、とりとめのない話を続けていたが、その内自然と話題は筋肉へと移り変わっていた。

ルーカスは「生き残った男の子」であるハリー・ポッターが、なぜやせ細った姿をしているのかに興味があったので、当然といえば当然である。

 

そして、こちらも当然の様にルーカスは激怒した。

 

「なにぃ!? マグルの家の狭い空間に閉じ込められて、食事すら満足に与えられずに、ダドリーとかいう両親の影響でただ太っているだけのやつに、毎日虐げられていただと!? よし、任せろ。俺が父上に頼んで……」

「まってルーカス!! 早まらないで!僕は大丈夫だから……あと、声大きすぎだよ!!」

「あ、ああ、すまない……柄にもなく取り乱してしまった様だ。しかしそれならば、お前の意味の分からない程に貧弱な体格にも説明が付く」

 

ハリーが慌てた様子で、ルーカスを止めようとする。

 

ルーカスは肉体トレーニングの過程で、肺活量も一般魔法使いを遥かに上回るものになっていた影響で、声を張り上げると物凄い声量になってしまうのだ。

ルーカスが声量を落として謝ると、ハリーは「冗談だよ」と言って笑った。

 

その後もしばらく話していると、コンパートメントがガラガラと音を立てて扉が開き、入って来た茶髪の少女がルーカス達に話しかけてきた。

 

「ねえ、あなた達ネビルのヒキガエルを……あなたね!さっき、何か叫んでいたのは! 私の所まで響き渡ってきたわよ」

 

ハリーが『やっぱり、響いていたよね……』と隣でぼそっと呟いているのを横目に、ルーカスは少女を観察すると、少女がかなり整った顔立ちをしている事に気付いた。

 

髪は肩まで伸ばしており、少しそばかすがあるものの、それが逆に彼女の魅力を引き立てていたのだ。

ルーカスは前世では恋愛経験など皆無に等しかった為、異性を容姿で評価する事に慣れていなかったのだが、その少女がとても可愛らしい事は分かった。

 

「ハリー、ヒキガエルを見たか?」

「ううん、見てないよ」

「ハリー……あら、びっくり! あなたハリー・ポッターね! 私はハーマイオニー……お隣の声も体の大きなあなたの名前は?」

「ルーカス・ウィリアムズだ……それで、ヒキガエルだったか?俺に任せろ」

 

『任せろ??』と言わんばかりの様子のハーマイオニーを無視しながら、ルーカスはゆっくりと席から立ち上がると、杖を取り出す事も無く呪文を唱えた。

 

「エコーマンティス!」

 

これは魔法の練習をしていた際に偶然生まれた、ルーカスのオリジナルであり、体から超音波を出す事で反響音を利用し、周囲の状況を把握する事が可能な魔法だ。

これにより、余程小さい物以外は探知する事が出来るのである。

 

「見つけた……あそこだ!」

 

ルーカスの魔法で位置が判明したヒキガエルは、なんと天井近くの荷物棚にしがみついており「「あ」」と、ハリーとハーマイオニーが同時に声を発した瞬間、ヒキガエルは荷物棚から落ちてしまった。

 

しかしルーカスは、持ち前の身体能力を活かして、瞬時に荷物棚まで移動すると、床に落ちる寸前に、見事ヒキガエルを捕まえたのである。

 

 

手の中でジタバタするヒキガエルを押さえつけながら、ネビルを探してヒキガエルを返し、自分のコンパートメントに戻ると、案の定、ハーマイオニーの質問攻めが始まった。

彼女の第一印象から、好奇心や知識欲が旺盛そうだと、ルーカスは判断していたのである。

 

「ねえ、あなた今、杖を使わずに魔法を使わなかった!? それにエコーマンティスという呪文は聞いた事が無いし、それに……」

「落ち着け、ハーマイオニーも杖を使わずに魔法を使った事があるだろう。君が使い方を忘れてしまっているだけだ。それにあの呪文は、身体強化魔法を習得する際に偶然生まれた副産物に過ぎない」

「身体強化魔法!? そんなもの覚えてどうするのよ??」

 

ハーマイオニーが眉をひそめて、ルーカスを見る。

 

(よく知っていたな……かなりマイナーな魔法なはずだが。)

 

やはり、初対面のルーカスに遠慮無く質問責めをしてくるだけあって、日頃から様々な知識を吸収しているのだなと、ルーカスは改めて思った。

 

身体強化魔法は魔法界に存在するが、習得している魔法使いはゼロに等しい。

 

理由は単純で『杖を構えながら』というかなり動き辛い体勢のまま、自らの足を使って高速移動し、その高速移動中に身体強化魔法を維持しながら他の魔法を使うというのがかなり難しい……というよりも、実質不可能だからである。

 

また、純粋な体力や運動神経が求められる為、日頃から肉体トレーニングを行っていない大多数の魔法使いにとっては、魔法との相性そのものが非常に悪く、それでいて制御を誤って大けがを負うリスクもある為、いわばネタ魔法の様な扱いになってしまっているのだ。

 

しかし、ルーカスは違う。

 

杖を必要としないルーカスは、当然杖を構える必要がない為、自由自在な体勢で移動する事が出来る上に、仮に他の魔法を併用出来なくとも、鍛え抜いた体で物理的に相手を攻撃すれば良いだけの話なので、特にデメリットは無いのである。

 

強いて言えば、制御を誤るリスクは常に存在しているが、魔法を再発動して対処すれば良いだけの話なので、その点に置いても懸念事項は無かった。

 

ルーカスは第二の生で、ホグワーツ入学前にも関わらず、トラック程度になら勝利出来る程の能力を身に付ける事に成功したのだ。

 

「そういう事だ、ハーマイオニー。そうだ、これはハリーにも言ったのだが、この世界の魔法使いは肉体が貧弱だという事のリスクを誰も理解しておらず……」

「そ、そうなの、考えておくわ……あ! それにしても、ハリーの実家での待遇は本当に酷いわね!」

「その通りだ! それについても先ほど……」

 

ルーカス、ハリー、ハーマイオニーの3人は筋肉と、それに関するハリーの実家話に華を咲かせながら、ホグワーツに着くまでの時間を過ごした。

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