ネコとヒーロー   作:なんとほくと

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独自設定もーりもり


出会いと別れと出会いと

 

 

 

 

 

 いつも通りの日常を送っていた夕方のある雨の日、鼻唄を歌いながら歩いているといつもの公園の遊具のところで泣いている同年代の女の子を見かけた。

 こんな時間にいったいなぜ、と母親譲りの世話焼きが発動し、女の子に駆け寄る。

 ここらじゃ見かけない、蒼い綺麗な髪をした女の子だ。

 怪我してたら大変だ、と思い声をかける事にした。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 遠くの場所に出かけていた夕方のある雨の日、両親と離れ離れになって迷ってしまって、土地勘もなくさまよっていたら、膝を擦りむいて泣いてしまった事があってさ。

 ただわんわん泣きじゃくることしかできずに、雨宿りに公園の遊具の中で固まってたの。

 

 「こんなところでどうしたの?大丈夫?」

 

 そこに彼がやってきたんだ。

 

 「ほら、かわいいでしょ?ネコたちは触ると意外ともちもち触感だからね」

 

 「「にゃ?にゃにゃ!」」

 

 「もう大丈夫だよ〜、泣かなくていいんだからね〜」

 

 「こっ、こども扱いしないで!」

 

 まるで赤子をあやすかのように頭を撫でてもらって、少し恥ずかしくなって反発しちゃったんだ。

そんな見ず知らずのわたしに本当に良くしてくれて、不思議だよね〜?

彼の不思議なネコたちと一緒にわたしを慰めて、落ち着かせて、怪我をしてた膝をどこからか取り出した絆創膏で応急処置をして

 

 「うん!傷はこれでよしと」

 「そんなに泣いてたらせっかくのかわいい顔が台無しだよ?」

 

 なんて言うんだよ?

 それで傘を差して、背負いながら両親の元に連れて行ってくれて。まるで小さい頃よく読んでいた絵本の中のヒーローのようだった。

 それが私の原点(オリジン)、彼のおかげで私はヒーローを目指さずようになったんだよ?

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 


 

 

 

 

ーウルトラソウルズ が 解放されました。

 

 

 

 


 

 

 

 

 公園で泣いていた女の子を無事送り届けた後、あなたは脳内に響く頭痛と激しい目眩とともに謎の声を聞いた。

 

 「っぐぅ!なんだこれっ、頭がガンガンする...」

 

 それは次第に治り、だんだんと視界が回復していくとそこには

 

 「にゃ!」

 

 昔話に出てくる桃太郎のような格好をしたネコがいた。

 いや、桃太郎のようなネコだけではない、笠を被ったネコや火炎放射器を振り回すネコに燃やされているタヌキ、竹を持ち着物を着たネコやそれで鶴のつもりなのであろうか鶴の被り物をしたネコなど様々だがどれも昔話モチーフという共通点があるネコたちが勢揃いだった。

 そして意外と図太いメンタルをもつあなたは彼らに問いかける。

 

 「君たちが、ウルトラソウルズ...なの?」

 

 「あぁそうさ、僕たちこそ超古代より甦りし勇者、ウルトラソウルズさ。」

 

 と彼らの後方にいた虹色の布が舞い、リコーダーを手にする浮世離れした雰囲気の違うネコが話す。

 

「申し遅れたね、僕の名前は「うしわか丸」これから長い付き合いになる。よろしくたのむよ」

 

問いかけに返答が帰ってくるとは思っていなかったあなたは思わずギョッとする。

 

 「き、君話せるの?!」

 

 「あぁ、ネコ型では僕のような限られたもののみ会話することができるんだ。」

 

 「驚いた...会話できるネコだなんて、君たちも僕の個性の一部なんだろう?...なんだかすごいことになってきたなぁ」

 

 「そうとも!僕たちは君の一部、存分に使ってくれたまえ、ご主人様?(マスター)

 

 

 そうして彼らを回収した後、あなたは彼らの事を両親に報告することにした。

 そうしなければ変な格好をした喋る不思議生物がいつのまにか家に住み着いていた、なんてことになるからだ。

 今日はどっちとも家にいるはずだ、といつものように鼻唄を歌いながら帰路に着く、その背中に一心に向けられた悪意に気づくことなく......

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 それから数ヶ月たったある日の下校途中、あなたは違和感に気づく、妙に騒がしいのだ、街も静まり返るような時間になるというのに耳を澄ますと喧騒や怒号が聞こえてくる。

 胸騒ぎがする。そんなはずはない、認めたくない、我が家のある方向に煙が上がっているのが見える。そんなはずはない、認めてやるもんか、あなたは気付けば駆け出していた。

 耳鳴りがする、足元が朧げだ、この坂道を下って、交差点を右に曲がればすぐ我が家が

 

 

 燃えていた。

 

 

 

 

 

 頭をガツンと殴られたような衝撃が襲う。心臓がキュッと締め付けられるような感じがする。

 

 そうだ、まだかあさんたちはひなんしてるかもしれない。きっとそうだ。ぼくがはやくかえらなかったからしんぱいしてるはずだ。

 

 あなたがどれだけ現実逃避をしようが、この両の眼から伝わってくる現実が、あなたにしがみついて離してくれない。

 あなたにはもうこの溢れ出る感情を、どうすればいいのか分からない。

 怒り?悲しみ?苦しみ?痛み?それとも...狂気?

 

 あなたはいつのまにか家とは真反対に、駆け出していた。

 この到底受け入れられない現実を押し付けてくる場所から逃げたかったのか、はたまたまだそれでも、と蜘蛛の糸よりも細い希望に縋ったのか。

 

 


 

 

ー狂乱の波動シリーズ が 解放されました。

 

ーそれに伴い、狂乱のネコムート が 眠りから目覚めます。

 

 


 

 

 深淵 が こちらを見つめています....

 

 


 

・・・・・・・・

 

 

 

 あなたは気付くと学校からの帰り道の近くにある長いトンネルの端で座り込んでいた。

 辺りはすっかり静まり返り、あなたのえづく声や乱れた呼吸しか聞こえてこない。

 あなたはただ泣き腫らし赤くなった目で、あなたを見つめたまま微動だにしない異様な雰囲気を纏った黒い ネコたち をじっと見つめるだけだ。

 

 一言も発さない、瞬きすらしない彼らの目が語りかけてくる。

 

 ー身を委ねろ。その内から湧き出てくる狂気に身を任せるのだ。ーと

 

 あなたは立ち上がる、その狂気を泣き腫らし赤くなった目で見つめる。

 ただ、その目は 光を持って 闇に挑む 勇者の目のようで。

 

 「ぼくはそっちにはいかない。そっちに行ったら、

 

 かあさんたちがもっと悲しむと思うんだ。

 

 友達のみっくんとかりっちゃんも悲しむと思う。

 

 だから行かない。

 

 僕にはネコたちがいるんだ。

 

 だから

 

 内から湧く狂気なんて、全部飲み込んでやるもんね。」

 

 

 あなたは、狂気を受け入れ乗り越えなければならない。

 

 

 「よく言った!我がご主人様!うしわか丸、ここに見参!」

 

 「うしわか?!なんで勝手に?!」

 

 「今はそんなこと言うてる場合ちゃう!!やつら仕掛けてくるぞ!」

 

 そうして戦闘体勢になったあなたはネコたちを左手で召喚し、指示を飛ばす。

 

 「ウシ、巨神、ドラゴンはうしわかの援護!それ以外は僕と!」

 

 「「「「「にゃにゃ!!!」」」」」

 

 微動だにしなかった 狂乱のネコ たちも動き出す。どうやら狙いはあなたらしく、うしわか丸の方には目もくれていないようだ。

 

 「うしわか!こいつら僕が狙いだ!」

 

 「わかっとる!おんどれぃ僕を無視するんじゃなぁい!」

 

 と叫ぶといつのまにか兜を被っていたうしわか丸が巨大な機械の手で薙ぎ払う。

 それでも彼らの猛攻は止まらない。

 タンクが鉄壁の守りを見せ、ウシが全てを蹴散らし猛進し、キモネコが波動で蹴散らし、トリが縦横無尽に駆け回り、クジラが暴れ尽くし、ドラゴンが炎を垂らし戦場を支配し、巨神がその破壊力で壊す。

 どんどんとこちらの戦力が減らされていく。

 

 「ハハっ!うしわか!切羽詰まってると口調おかしくなるんだねって危なっ!」

 

 「ご主人様はえらい余裕あるみたいでうらやましいですわっ!」

 

 「これでもっ!全然避けるので精一杯なんだけどねっ!」

 

 「ぐっ!」

 

 うしわか丸ももう満身創痍、あなたはもはや避けるのすら難しくなっていた。

 すると何かを思いついたのかあなたはうしわか丸に提案を投げかける。

 

 「どうっ!これなら行けるんじゃないっ!」

 

 「やってみるしかないっ!」

 

 

 

 彼らは隙を見てネコキリンに乗り、トンネルからの脱出を図った。もちろん絶対逃がさないとばかりに狂乱のネコたちも追ってくる、速度はあちらの方が上手のようでどんどん距離が縮まってゆく。

この山のど真ん中にできたトンネルはまだ工事中、トンネルに入ってしばらく行くと工事中となっている。

 あなたは彼に指示を出す。

 

 「今だうしわかっ!頼んだ!」

 

 「おうともよ!ふんッ!」

 

 うしわか丸は巨大な機械の両手を出現させ、トンネルの天井に指をめり込ませ、思いっきり引っ張る。するとトンネルを支えていた基盤が崩れ、トンネルが大きな音を立てながら崩れていく。

 狂乱のネコたちも埋もれまいと抗っていたが、抵抗空しく瓦礫の山に消えていった。

 あなたたちは瓦礫から何も反応がないことを確認すると崩れるように寝転がり、勝利の喜びを分かち合う。

 

 「ははっ!やった!僕たちやったようしわかっ!」

 

 「やりました!あなたのうしわか丸がやりましたぞ、ご主人様!」

 

 と勝利の余韻にも浸れぬ内にどこからか乾いた拍手が響く。

 

 それは、ガスマスクのようなものをした、顔のない、この世のものとは思えない雰囲気をまとった様子の、まさに、魔王で。

 

 その男が指を振ると衝撃波でうしわか丸が破壊され、魂となった。

 

 あなたはその威圧感に指一本すら動かないほどすくんでしまっていた。

 

 「すばらしい。近くで見させてもらったよ?君の個性、いい個性じゃないかぁ、是非とも僕のものにしたい。どうかな?大人しく従うなら命までは取らない。」

 

 「....っ!ふぅっ!ふぅっ!ふぅっ!っだれがっ、あんたなんかにっ!渡すもんかっ!」

 

 あなたは隙を伺う、逃がしてくれるとは思わないが、諦めたくないのだ。

 個性を大人しく渡した所で、命の保障が約束されるわけでもない。個性を奪うついでに殺すだろうという確信があった。

 あなたはネコを使ってどうにか隙を作ろうとした瞬間

 

 「なっ」

 

 「おやおや、ダメじゃないか抵抗しようとするなんて」

 

 男の指先から生えた黒い枝のようなものに腕を貫かれていた。

 

 「_ぁああああああああああああああっ!!!!!!」

 

 あなたは痛みに叫ぶ。修羅場をくぐっていようがあなたはただの小学生だ。

 痛みへの耐性などあるわけもなく、ただ涙を溢しのたうち回る。

 

 「そうだ、知りたくないかい?両親の死の真相を」

 

 「教えてあげよう。君の家を燃やし、両親を殺害したのは僕さ。君を孤立させるために僕がやったんだ」

 

 淡々と、あなたにとって最悪の情報をこの男は知らせてきた。あなたの目頭が熱くなり、怒りが沸々と湧いてくる。しかし、力の差は歴然で、あなたに対抗する手段は何も残されていない。無力感に包まれていると男は話を続ける。

 

 「君は僕の予想通り周囲から孤立し、このトンネルにきた。あの得体の知れない黒い生き物は予想外だったけど、勝手に消耗してくれたし結果オーライだったかな?」

 

 「さぁ、僕に身を委ねるんだ。君には有り余るその力を、僕が存分に使ってあげようじゃないか。」

 

 だんだんと男の掌が近づいてくる。明確な死があなたに急接近する。あなたは自分でも驚くほど冷静だった。これが走馬灯ってやつか、と半ば諦め瞳を閉じたその時ー

 

 

 ドゴォオン!

 

 

 と轟音が鳴り響いた。

 

 あなたはゆっくりと目を開く、そこには

 

 

 

 「もう大丈夫だ少年、なぜって? 私が来た!」

 

 

 

 そうして、あなたの意識は闇へと落ちていった.....

 

 

 

 

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