ガンダム ヘッドクオーター   作:白犬

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第15話 「ヘッドクォーター」

 本来なら、行き交う人々で埋め尽くされているはずのメインストリートも、今は人影ひとつ見あたらない。

 無人の市街地に、林立するビル群に劣らぬ巨躯をほこる2体の巨人がにらみ合うように

対峙していた。

 ひとつはツカサのHi-νガンダムHQ、そしてもうひとつはコウタのガンプラ。

 

 タマサブローのせいで、コウタの一回戦を見逃してツカサにとっては、コウタのガンプラを目の当たりにしたのはこれが初めてだった。

 

「コウタのガンプラ……新型か?」

 

 ツカサはモニターに映し出されたコウタのガンプラを見ながらつぶやいた。

 明るめのグリーンに淡いグレーで塗装されているという点のみ同じだったが、肝心のガンプラはサンダーボルト版のジムから、ジム・カスタムへと変更されていた。

 

 

 RGM-79Nジム・カスタム。一年戦争終結後に量産された本機は、量産型と銘打たれたが、実際は従来のジムタイプに倍する推力とガンダムタイプに匹敵するジェネレーター出力を与えられ、テラーズ紛争以前の連邦製量産機としては最上位機種に位置付けられる名機といえた。

 

 眼前のガンプラは量産型のジムを凌ぐ精悍なプロポーションに加え、左右に大きく張り出した肩パーツと、背後のバックパックに取り付けられた『盾』が、ジムとは異なる印象を見るものに与えた。

 

「よかったな、ツカサ」

 いきなり話しかけられツカサは驚くが、それを悟らせないためかいつもより声のトーンを落とす。

「何が?」

「今回のバトルステージはただの『市街地』だ。ここなら前みたいに穴が開いても宇宙空間に吸い出される心配はないだろ?」

 

 ツカサの頬が微かにひきつる。

 

「ぼくは残念だよ。今回こそ、コウタを宇宙空間に放り出してやれると思ったのにさ」

 コウタからの返事はなく、マイクから微かに含み笑いが聞こえた。

 

(落ち着け、これがコウタの手口なんだ)

 

 ツカサは大きく息を吸うと、自分を諫めた。

 コウタは一見すると、軽薄であまり物事を深く考えないタイプに思われがちだが、

ツカサはそれが大きな間違いであることを身を持って学んでいた。

 

 現に初めてコウタとバトルをしたときに、コウタはツカサの冷静さを欠くような発

言を繰り返し、常に一手先を読むようなバトルを展開しツカサに初めての敗北を味合

わせた男だ。

 

 自分が得意とする心理戦というお株を奪われたうえでの敗北。

 

 顔にこそ出さなかったが、ツカサはそれ以来内心コウタに対して激しいライバル心を抱いていた。

 

「いいね、その気迫。 んじゃ、はじめっか?」

「うん!」

 

「ジョウジマ・コウタ、ジム・カスタム『アイギス』」

「アマノ・ツカサ『Hi-νガンダムHQ』」

 

 2機のガンプラがわずかに身を屈める。

 

「「いざ尋常に……勝負ッ!」」

 

 ツカサとコウタの叫びとともに、ふたりのガンプラが一気に動いた。

 

                   ※

 

「……前の戦いの時とはまるで違うな」

 アイギスから距離を置くようにHQを後退させながら、ツカサはモニターをのぞき込む。

 以前のバトルでは、コウタのガンプラはすべて種類こそ違えど防御を重視したシールドばかりだった。

 だが今回アイギスは背後に取り付けられたシールドにジム・カスタムとケルディムガンダムのGMシールドビットが、両肩にはギャンのシールドが装備されていた。

 

 

 

「一回戦とは装いをがらりと変えてきましたね」

 スクリーンを見上げながら、顎に手を当てレンは隣に向かって話しかけた。

 アイギスは一回戦ではアドバンスド・ヘイズルのシールド・ブースターで機動力を高め、トールギスⅢのシールドとガンダムXのディバイダーで攻撃力を増し対戦相手を圧倒していた。

 

「相手の戦闘スタイルに合わせ、シールドの交換という最小の調整でいかなる戦闘にも対応させ得ることができる……これがコウタのガンプラの最大の長所だからな」

「では、あれはアマノくん、いえ、対HQ用の装備だということですか?」

 

 レンの質問に答えることなく、腕を組みながらスクリーンを見上げていたカーネルが口を開く

 

「答えは見ていれば分かる……」

 

 

 

 

「見ているだけじゃ答えはでないか……T-ファンネル!」

 ツカサの叫びとともに、HQの背後から9基の小型ファンネルが射出される。

 

 上空を飛び回るファンネルを見上げながら、コウタの口元に笑みが浮かぶ。

 

「団体さんのお出ましか。んじゃ、さっそくこちらもお出迎えの準備をしなきゃな」

 アイギスの背後から一枚のシールドに見えた物が複数のビットに分離すると、T-ファンネルめがけて襲いかかる。

 

 たちまちHQとアイギスの頭上で、ファンネルとビットが激しいドッグファイトを繰り広げる。

 放たれるビームをかわし、相手の背後を取ろうと旋回を繰り返すT-ファンネルを見ながらツカサは舌打ちを放つ。

 

「くそ、埒があかない、F-ファンネル!」

 ツカサが武器スロットにカーソルを合わせると、HQの背後からさっきとは別のファンネル1基が動き出した。

 

「お次は見ないファンネルか──だが、すでにこっちは対策済みだ」

 コウタのつぶやきに、ツカサはアイギスの両肩に装備されたギャンのシールドがこちらが睨みをきかせているのに気づき、慌ててHQに回避行動をとらせようとしたが、すぐにサブアームに接続されたギャンのシールドは、元の位置に戻ってしまった。

 

「どういうつもりだ?」

「どうもこうも、こっちは細工は流々仕上げを御覧じろってやつさ。さあ、どうする?このままお見合いを続けるか?」

 コウタの真意が計りかねなかったが、どの道このままにらみ合っていても状況がよくなるとは思えない。

 

(コウタがどんな策を講じようと、一度動き始めたF-ファンネルをそう簡単に補足できるはずがない……)

 

 ツカサは意を決し、F-ファンネルに攻撃を命じた。

 全てのスラスターが咆哮を放ち、見えない刃と化したF-ファンネルがアイギスめがけて突き進む。

 

 ファンネルとビットが互いの主の元に戻り、緊迫した空気に包まれたHQとアイギスの

ちょうど中程、何も無い空間でいきなり小さな爆発がひとつ起こった。その直後小さな

爆発が立て続けに起こり、それは大きな火球へと変じた。

 

「馬鹿な、F-ファンネルが落とされた?」

 

 バトルを観戦していたギャラリーたちは、眼前の光景が理解できずざわめいていたが、ツカサだけは火球の正体が自分が攻撃を命じたファンネルのなれの果てだと気づいていた。

 

「でも何故? F-ファンネルはアイギスから何も攻撃を受けて……」

「したさ、攻撃ならな」

 ツカサのつぶやきを遮ると、コウタがアイギスに宙の一点を指し示めさせる。

 

「……あれは、機雷?」

 モニターをズームさせると、小型の機雷のような物が宙を漂っていた。

 

「ギャンのシールドにはミサイルのほかに『ハイドポンブ』っつう小型の浮遊機雷を内蔵してんのさ。まだまだ勉強不足だな』

 

 F-ファンネルは肉眼での視認が難しいほどの超高速で移動できるが、その速度故に直線的な攻撃しかできない。

 そのことに気づいていたコウタはアイギスとHQの間にハイドポンブを敷設し、まんまとF-ファンネルを攻撃ポイントにおびき寄せたのだ。

 

「一回戦で、あのアイザックにならT-ファンネルで充分勝てたのに、わざわざF-ファンネルまで使っちまった……お前は調子にのって手の内明かしすぎたんだよ!」

 

「……手の内を、明かす? ぼくが今まで見せたのは、ただのHQの武器だよ?」

 勝ち誇ったようなコウタの叫び。だが、その高揚感もツカサの落ち着き払った態度

に、みるみる萎んでいった。

「へ、へぇ。じゃあ、お前はまだ手の内は見せてないっていうのか?」

「ああ」

「だったら、もったいぶらずにさっさと出した方がいいんじゃないのか? こないだみたいに負けてからじゃ遅いぜ」

 

 たっぷりとスパイスを効かせたコウタの嫌味に、ツカサの額に青筋が浮かぶ。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて、そうさせてもらうよ」

 

 

(できればリョウゴさんとのバトルまで使いたくなかったけど……今出し惜しみしてたら

コウタには絶対勝てない!)

 

 

 ツカサは両手で握っていた操縦桿から手を離すと、コンソールに設置されたキーボードに軽く指を乗せる。

 

「……現在までの損失、T-ファンネル3。F-ファンネル1。消耗は全体の3割弱だが作戦継続に何ら問題は無し……」

 

 ツカサは言葉を区切ると、大きく息を吸った。

 

「ミッション『ハンマー・アンド・アーンヴィル』始動!」

 

 キーボードの上を、ツカサの10本の指が走りはじめる。

 

「何だツカサのヤツ、さっきのはハッタリか?」

 目の前の異変にコウタは戸惑っていた。ツカサの口調から何らかの反撃を予想していたが、HQはがっくりと首をうなだれ、両腕も力無く垂れ下がってしまったまま動きを止めてしまったのだ。

 

「まさかとっておきは『死んだふりなんDEATH☆』、なんてオチじゃ……うおっ!?」

 おそるおそるアイギスは前進するが、HQの背後からT-ファンネルが射出されると、慌ててスラスターを吹かし後退する。

 

「ちっ、何かと思えばまた小っちぇファンネルかよ。撃ち落とせ、シールドビット!」

一直線に向かってくるT-ファンネルを迎撃すべく、シールドビットが飛び立つ。

 最悪勝てなくても乱戦になればさっきと同じく、こちらに攻撃を仕掛ける余裕などないはず。

 

 そう踏んだコウタだが、そうは問屋が卸さなかった。

 

 T-ファンネルたちはシールドビットの鼻先まで接近するといきなり四方八方に展開した。

 慌てて追いすがるシールドビットだが、先ほどまでとは打って変わったように統制された動きを見せるT-ファンネルの前に、翻弄され一方的に破壊されてゆく。

 

 数を減らされたシールドビットの間隙を縫う様に、数基のT-ファンネルがアイギスに襲いかかる。

 アイギスは専用ライフルで迎撃を試みるが、銃口が向けられるやT-ファンネルはスラスターを吹かしビルの後ろに隠れてしまう。

 その変わり身の早さに唖然としていると、アイギスの手にしたライフルに一条のビームが直撃した。アイギスは咄嗟にライフルを手放しながらシールドで防御する。

 シールド越しに閃光が漏れ、機体に衝撃が走る。

 

 コウタは鳴り響くアラームに舌打ちしながら横のモニターを見る。そこには、さっきと別のT-ファンネルがビルの陰から砲口を覗かせアイギスを攻撃していた。

 

「なんだ、あのファンネルの動きは……まさか」」

 縦横無尽に動き回るT-ファンネルを唇を噛みしめながら見ていたコウタの脳裏に、自らに投げかけた問いに対する答えが浮かぶ。

 

 

 

「あのファンネル……アマノくんが操縦しているのか?」

 スクリーンに映し出されるHQとアイギスの戦いを見ながら、レンはぽつりとつぶやいた。

「HQの状態を見れば確実だな」

「しかし!」

「ルール的にはなんら問題はないはずだが?」

 どこか達観したようなカーネルの口振りにレンは押し黙ってしまう。

 

 ファンネルやビットのような特殊兵装は、オート、マニュアルと操作を選択できるが、通常は敵からの攻撃を警戒し、ファイターはガンプラの操縦に専念し、ファンネル等はオートで攻撃するのが一般的だった。

 

 

 

 自身のガンプラを危険な立場に立たせようと意に介さず、敵を倒すことのみを念頭に置きバトルをする……ツカサのような戦い方をするファイターは、極めて希といえるだろう。

 

 

 

「それにしても見事な動きだ。まるで優秀な指揮官に率いられる熟練の兵たちのようだ」

 常に連携し、相手の動きを読みながら戦いを繰り広げるT-ファンネルを見ながら、レンは唸るようにつぶやく。

 

「ふふ、なるほどな。だから『HQ』なのか」

 何か思い当たるものがあったのだろうか、カーネルはひとりほくそ笑む。レンはそんなカーネルを不思議そうに見ている。

 

 

「くそ、一方的じゃんか、ん!?」

 みるみる数を減らしてゆくシールドビットを見ながらコウタは歯噛みするが、モニターにHQが棒立ちになっているのに気づくと笑みを浮かべる。

 

「あいかわらず詰めが甘いな。肝心のガンプラが、がら空きじゃないか」

 すかさず背後のギャンのシールドを前面に展開させるとミサイルを一斉に発射した。

 

「……そう、うまくはいかないさ」

 迫りくるミサイルに動じることなく、ツカサの指が猛スピードでキーボードの上を走る。

 HQめがけて飛来するミサイルめがけて、左右からビームが放たれる。

 密集していたミサイルの先頭にビームが直撃し爆発する。後から続いたミサイルも火球に飛び込み次々と誘爆を起こす。

 

 コウタは眼前の光景に一瞬我を忘れるが、すぐに視線を上に向ける。

 つい少し前まで全てのシールドビットを撃ち落とし、悠然と頭上を旋回していたT-ファンネルの姿がいつの間にか消えていた。

 

「くそ、あのファンネルどもか?」

 アイギスの放ったミサイルを迎撃したのがT-ファンネルだと気づき、コウタは悔しさに顔をゆがめる。

 

「しかしこの煙じゃ、ツカサも攻撃どころじゃ……うお!?」

 視界を遮っていた煙も薄くなり、その向こうに見えた朧気なHQの姿を確認するや、コウタは悲鳴に似た声を上げる。

 完全に煙が晴れ、HQの両脇に並び立つように巨大なファンネルが浮かび、その砲口がアイギスに照準を合わせていた。

 

「嘘だろ、アレもファンネルだったのか?」

他のファンネルと違いグレー単色で塗装され、装備されていた場所のせいで強化型の

プロぺラント/スラスターユニットかと思っていた物がまさかMSの身の丈に匹敵する巨

大なファンネルだったなど、コウタの予想の範疇を超えていた。

 

 コウタの口から乾いた笑いが漏れる。

 

「T-ファンネルは強固な《金床》のことを、H-ファンネルは何者をも打ち砕く《鉄槌》を意味する……これが『ハンマー・アンド・アーンヴィル』(鉄槌と金床)だ!」

 ツカサの声に呼応するように、チャージを終えていたH-ファンネルの砲口から、目を

覆うような光の束が放たれる。

 

 アイギスは、とっさにギャンとジムカスタムのシールドを展開させ防御態勢に入るが、その直後に巨大な光に飲み込まれてしまう。

 

「……コウタのガンプラの防御力でも、今の一撃を受ければ……」

 モニターから溢れでる光を手をかざしながら、ツカサはつぶやくが ようやく光も消え、回復した映像を見るやツカサは愕然とする。

 

 

 H-ファンネルの高出力のビームのためビル街や大通りは溶け崩れていたが、その中に

うずくまるように身を丸めたアイギスの姿を見つけたのだ。

 

 全てのシールドを失い機体もあちこち溶けたような跡が見うけられ、見た目にもかなりのダメージを受けたようだったが、アイギスはゆっくりと立ち上がる。

 

「こんなこと……あり得ない」

 

 ツカサは大きく目を見開くと、首を左右に振った。 

 H-ファンネル2基分の一撃は、バスターライフルやサテライトキヤノンを凌駕するほどの攻撃力を持っているはずだった。

 

 アイギスが受けた攻撃を考えれば、眼前の光景は信じられないものだった。

 

「やってくれるな、ツカサ。まさかこんな隠し玉を持ってたとは驚きだぜ」

 コウタは不適に笑うと操縦桿を動かす。アイギスのメインスラスターが爆音をあげる。

 

「くっ!」

 受けたダメージを物ともせず突っ込んでくるアイギスに、ツカサは我に返る。

 2基のH-ファンネルは放熱作業中のため再度の攻撃は間に合わない。ツカサは慌てて

キーボードを叩く。

 

 慌ただしく動き出したT-ファンネルを見るや、アイギスは両腕を身体の前で組み合わせさらに機体を加速させた。

 

「シールドの無いアイギスが、T-ファンネルの攻撃に耐えられるものか!」

 ツカサの叫びに、コウタの口の端が持ち上がる。

 

「まだあるぜ、おれの『盾』は……」

 

 アイギスの両腕からビームが放出され、一瞬にしてそれはある形を成した。

 

「……ビーム・シールド……」

「ピンポ~ン、大正解!」

 

(そうか、アイギスはこのシールドも防御に使ったのか)

 

 ようやくH-ファンネルの攻撃を防いだ訳を知ったツカサ。だが、それに感心している

暇はなかった。眼前には発生させたビーム・シールドでT-ファンネルの攻撃をかわした

アイギスの姿があった。

 

 アイギスはHQに肉薄すると、両腕のビーム・シールドを振り上げる。

 

「さて、見事正解したツカサくんには……もれなく『敗北』をプレゼント!」

 勝利を確信したコウタの声を聞きながら、ツカサはキーボードを幾つか叩くと、素早く操縦桿を握りしめた。

 

 カメラアイが光りHQの首が持ち上がるが、ツカサが次の行動をとる前にアイギスのビーム・シールドがHQの肩の付け根に突き刺さる。

 

 盾の形をとっていても、もとはといえばビームである。モニター越しに激しい衝撃がHQを襲う。

 

 HQはアイギスの両腕を掴みなんとかビーム・シールドの一撃を止めようとするが、刃と化したビームはじりじりと食い込む一方だ。

 

「勝負ありだ! 観念しろ、ツカサッ!!」

「まだミッションは……続行中だ!」

 コウタに劣らぬほどに声を張り上げ、ツカサは両手で握った操縦桿を力のかぎり押し込んだ。

 

 HQの背後のスラスターが、爆発したのかと錯覚させるような轟音を放った。

 輝く光の球を背負いながら、HQが凄まじい勢いで前進をはじめる。その加速の助けもあり、ビーム・シールドは勢いよくHQの両腕を切り落とす。

 

 路上にめり込むHQの腕に気を取られたコウタは、なおも加速を続けるHQ本体に気づくのが遅れてしまった。

 両腕を失ったHQは、そのままアイギスに体当たりするとスラスターを最大出力で噴射しはじめる。

 

「馬鹿な、何考えてんだ! 特攻でもするつもりか?」

 猛烈な勢いで左右のモニターを流れてゆくビル街を横目で見るコウタの額に、球のような汗が浮かぶ。

「特攻? とんでもない。ぼくは向かっているだけだよ」

「あっ!? 何処にだって?」

「攻撃ポイントさ!」

 

 ツカサの声音は凜とした力強さが感じられ、自棄になっているような素振りは感じられなかった。

 HQとアイギスはもみ合うような形で大通りを疾駆する。現状を打破しようとコウタが操縦桿を握る手に力を込めたとき、耳をつんざくような音が聞こえた。

 

 その音がビルとビルの間から轟いてきたと気づいた瞬間、モニターいっぱいに映って

いたHQの姿が消え、轟音とともに画面が激しく揺れ動いた。

 

「くそ、ど、どうした、動けアイギス!」

 いくら操縦桿を動かそうとしても、アイギスはコウタの意志に反してぴくりとも動かない。フィールド全体を見渡せるスクリーンに目をやったとき、コウタの動きが止まった。

 

「F…ファンネル」

 

 画面には、槍と化したF-ファンネルに横っ腹を貫かれ、ビルに機体の大半をめり込ま

せたアイギスの姿が映っていた。

 

 アイギスはしばらくもがいていたが、やがて機体各所から激しいスパークが起きると、巨大な火球に包まれた。

 

 

 モニターに映ったアイギスの爆発に巻き込まれ倒壊するビルと、アイギスという支えを失い、倒れ込んだまま数十メートルもアスファルトを削り取ったHQを交互に見ながらツカサはため息とともに小さくつぶやく。

 

 

 

 

「ミッション『スピアヘッド』(槍の穂先)……終了」

 




次回予告

親友でありライバルでもあるコウタとのバトルを制し、三回戦進出を決めたツカサ。
激戦を終え、戦士たちに憩のひと時が訪れる。

次回「ガンダム ヘッドクオーター」

第16話「らんちたいむ」


この世には、忘れてはならないものがある!







◆「登場ガンプラ紹介 その4」
『アイギス』

{IMG6601}

武装
ジム・ライフル×1
60ミリバルカン砲×2

特殊兵装
各種シールド

解説
普段はサンダーボルト版ジムでバトルをするジョウジマ・コウタが、ここぞという時に用いる勝負ガンプラ。
全身に施された塗装こそ同じだが、ベースにRGM-79N ジム・カスタムを使用し、すべての基本性能が底上げされている。

またバックパックと肩の部分が改造され展開式のサブアームを持ち、各種シールドをマウントできるようになっている。

{IMG6602}

{IMG6603}

これらに加え腕部にビームシールドを搭載し、サンダーボルト版のジムを凌ぐ防御力を持つに至っている。

{IMG6604}

また、すべてのシールドを同時に使用した際には、バスターライフルやサテライトキャノンを凌ぐといわれたHQの一撃を防ぎきるなど、さらに防御に特化したガンプラとなっている。

基本的にはバトルで防御力を重視するアイギスだが、長い歴史を持つガンダムシリーズには多種多様なシールドが存在しており、本機は専守防衛に特化したガンプラというわけではない。

{IMG6605}

上記の画像は、トーナメント一回戦の時のアイギス。
アドバンスド・ヘイズルのシールド・ブースターで機動力を高め、トールギスⅢのシールドとガンダムXのディバイダーで攻撃力を増強している。

このように、シールドの交換という最小限の作業であらゆる局面に対応できるアイギスは、本作においてもっとも汎用性に優れたガンプラといえるだろう。





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