摩訶不思議な物語というのは、別にどこにでも転がっているようなものではない
普通に生きているだけの人間が世界を揺るがすような問題にそうそう遭遇しないのと一緒で、大半の人はありふれた人生を送って最期を迎えるだろう
空想の中でどれだけ華やかな人生を想像しても、結局は自分の頭の中で完結してそれっきりだ
だから、まあ、あれだ
『――――――』
――ドラゴンなボールを集めるアニメに出てきた
――――――――――――
状況を整理しよう
私は…私は誰?
え?そこから?そこから思い出せないの?
…とりあえず名無しと名乗っておこう
そんな名無しの私は今――超神龍と2人…2人?きりで対峙しています
超神龍って何かって?いちいち説明するのも面倒だ、アニメドラゴンボール超を見て勝手に想像しろ…
簡単に言うと凄い神龍ってところだ、アニメではそこまで凄さが伝わってこなかったような気がしないでもないけど…
とにかく、なぜか私はその超神龍の目の前にいるわけだ
なんで?(素朴な疑問)
だってあの超神龍だよ?第7宇宙と第8宇宙に散らばっているスーパードラゴンボールを集めて神の言葉で呼び出さないと現れない超神龍だよ?
いやまぁ第8宇宙に散らばったのは
誰かが呼び出した場面に偶然居合わせたの?巻き込み事故なの?
――いやそもそも私ってドラゴンボールの登場人物なの?という疑問が
自分が女でドラゴンボールのことを知っているくらいしか今のところ分からないが、現状一番可能性があるのがその仮説なのだから仕方ない
でも、ドラゴンボールかぁ…いや嫌いじゃないよ?嫌いじゃないけど、何というかあの世界死がすごく身近にあるというか…
ドラゴンボールがあるから気軽に、は無理でも死そのものをそこまで深刻には考えていないというか…
痛いのも苦しいのも嫌な私にとってあの世界はちょっぴりハードすぎるなぁ、と
(できればもうちょっと優しい世界がいいなぁ…推しがいる世界なら多少の苦労も飲み込むのに)
推し――それは生きる気力である
どんなに辛いことがあっても、推しを推せるというその一点のみで明日を生きることができる
私の推し、中国武術に長け、修行と強い男と肉まんを愛し、主人公最初の師匠として、そしてヒロインとしても大活躍した――
『――――――』
「はぇ?」
唐突に超神龍が光りだした
おいちょっとこれってもしかしなくてもあれか?!願いをかなえる感じのあれか?!
待って待って待って、私何もしてないよ?!他に誰かいるの?!いないよねぇ!?
というか何の願い叶えるの?!それが一番怖いんだけど?!
お願いちょっと話し合いましょう?!イヤほんとまっ――
願いもむなしく私の意識は眩い光に飲み込まれて薄れていった
意味が分からないよ――
――――――――――――――――――――
晴れ渡る青空の元、その青空に届くほどの巨木の傍ら
学生服、道着、ユニフォーム、各々得意とする武術の服装に身を包んだ数多の武人たちとそれに取り囲まれるように立つ1人の少女
さらにその周りには野次馬と思しき人だかりと、それ相手にトトカルチョを始めるディーラーも見受けられる
「今日こそ勝たせてもらうぞ!」
武人の1人が声を上げる、取り囲まれている少女は顔色1つ変えずににこやかに立っている
「中武研*1部長――古菲!!」
その一言とともに武人たちが一斉に少女――古菲に飛び掛かる
一対一の正々堂々の勝負とはとても似つかない数にものを言わせた戦い、常識で考えれば万に一つ古菲に勝ち目はないだろう
――次の瞬間、武人たちが誰一人として立っていない状況を見なければの話だが
周りの野次馬から歓声が上がる、いつも見る光景だがその美しい勝ち方に見惚れるものも多い
少し離れた木の陰から覗く白いチャイナドレス風の道着を着こなし、分厚い中国風上着を羽織った少女もまた――
(ヘハッハァハアアアッアハァアアアア、アハァア゙ア゙ア゙ア゙アアァアァアァ、ア゛ー! オシノトウトサヲ… ウッ…ガンジダイ!)
限界オタクらしく(心の中で)叫んでいた
始まったばかりでこの始末
はてさてこの先どうなりますことやら
~次回予告~
オッス、オラ孫煌香!
一体全体どうしてこうなったのかさっぱりだけど、私はネギまの世界に来てしまったみたい
混乱する間もなく目の前に現れた推し、もうこのままネギま世界の一員として生きていくしかないね!
次回ドラゴンボールNEGIMA『前途多難な新世界』
どうして私こんなもの持ってるの?!