突如超神龍が目の前に現れた名無しの少女
状況を判断する間もなく、彼女は見慣れぬ地へと飛ばされてしまった
そこにいたのは、かつて自身が愛してやまなかった少女だった
「――はぅあ?!」
い、いけない。気を失っていたみたいだ
あたりを見渡すとちょっとした雑木林の中に横たわってるみたい
「ここはいったい…というか自分は誰…?」
何も思い出せない、あの超神龍と出会った時より前のことは何一つ
(え?なに?記憶喪失?それも普通の記憶喪失じゃない、ド級の記憶喪失『ド記憶喪失』なの??)
超神龍と出会ったことや今いる場所がどこかわからない以上に、自分が何者なのかを思い出せないことがショックすぎた
(と、とりあえず落ち着こう…焦って何かしても意味はない…深呼吸、そう深呼吸だ…)
自分のことが分からないのは仕方がない(本当は仕方なくないけど)、現状自分が置かれている状況を整理しよう
服装を見てみるとなんかカンフーやってる人が来ている長袖の白い服*1を着ている…っていうかなんか重?!袖とか裾に重り入ってるじゃんこれ?!ナンデ?!
ちょっと立ち上がってみると、ほ、本当に重い…立ったり歩いたりする分には問題なさそうだけどこれ走るの大変だぞ
上着の下は…道着?というかこれ
「亀仙流の道着?」
黒い半そでのインナーに(これにも重りが入ってる)白色の道着の上下、黒色の帯を巻き付け、重りの黒いリストバンドとブーツも着用している
上着でよく見えないけど胸元には黒淵の白マークが…あれ?「亀」って入ってない?
あれぇ?なんで?ここまで寄せた服着せるなら亀の字は入ってないとおかしくない?いや自分は亀仙流の人間じゃないから入ってないほうが正しいんだけどさ
しかしこれはどういうことだ?私はなぜ色違いの亀仙流道着を着ているのか?…はっ?!
「これはまさか…異世界転生…?」
今流行りの(10年位前から流行ってる)漫画やアニメの世界に転生しちゃう的なあれか?
ということはここは…ドラゴンボールの世界?!一般人はすぐ地球ごと消えてなくなっちゃうというあの?!
ハードモードがかわいく見えてくる…地球が消えてなくならなくてもテロリスト*2とか悪の大魔王とか*3宇宙人の襲来*4とかマッドサイエンティストと人造人間*5とか暗黒魔界の魔術師と魔人*6とかとかとか…
極めつけに別宇宙から人間だけ滅ぼしに来る自称神*7までいる、ドラゴンボールの世界一般人には辛すぎるのだが?
だがこういうのはお約束というものがある、そう「チート」だ
原作主人公以上のパワーを持っていたりなんかご都合展開が繰り広げられたりして、なんやかんやあって最後はハッピーエンドになるんだ私は詳しいんだ
というかそれなかったら私この先生きていけないよ?地球人最強と名高いクリリンに一般人レベルで追いつける気がしないよ?
「ひとまず、ここがどこか確認しなければ…」
そもそもここが地球なのか確認しなければ、惑星ベジータとかだったら原作始まる前に宇宙の塵になってしまう
そう思いとりあえずこの雑木林の外に向かう、近くに人がいればいいんだけど――
――木々の間から顔を出した時、その人はいた
若干長めの金髪をお団子型の髪留めでツインテールにして
その場にいた数多の男たちを次々とのしていく少女
あぁ、なんで、なんでここにあなたが――
わたしの最推し、とある作品でその強さと健気さにひかれずっと応援していたキャラクター
主人公に選ばれることはきっとないと思いながら、その恋が成就することをずっと願っていたヒロイン
古菲――彼女が今わたしの目の前にいる
(ヘハッハァハアアアッアハァアアアア、アハァア゙ア゙ア゙ア゙アアァアァアァ、ア゛ー! オシノトウトサヲ… ウッ…ガンジダイ!)
そしてわたしは脳が理解するよりも早く限界オタクと化した
推しが目の前にいるのに尊み感じねぇ奴はいねぇよなぁ?!
――――――――――――
ふぅ…失礼取り乱しました
突然推しと出会ったことで脳のキャパシティが限界突破してしまい、結局彼女がその場にいた挑戦者全員をぶっ倒し終えるまで一歩も動けませんでした
ひとまずあの場にいると色々ややこしいことになりそうな予感がビンビンしたので、走って近くの森の中に駆け込んだ
走ってみて思ったけど服が重いのに走るの余裕なんだけど?重いと感じるのに体は平気なのか…
人気のないところで腰を落ち着かせはしたものの、今自分の身に起こっている事態を改めて考えると頭が痛い
つまりこの世界は『ドラゴンボール』ではなく『魔法先生ネギま!』なのである
つまりクロスオーバー型異世界転生なのである!!ネットでよく見たやつだ!!*8
…いや、わたしはあくまで亀仙流道着を着ているだけでクロスでも何でもない可能性もあるけど
仮にわたしがドラゴンボール世界のキャラクターという体でこの世界にやってきたのであれば話はややこしい…というか非常に面倒くさいことになる
なぜかと言えばネギまの世界にも存在するのだ…そう!!『戦闘力』という概念が!!
…まぁドラゴンボールの戦闘力がフリーザ編の時点で1億とか突破していたのに比べ、ネギまの戦闘力は後半になっても
(あるいはドラゴンボール世界の1億2千万=ネギま世界の1万2千みたいな戦闘力レートなのかもしれないが)
もしドラゴンボール世界の数値がそのままこの世界に反映されてしまったら、ネギ君たちが必死になって倒してきた敵全員を片手で倒してしまってもおかしくない
ま、まぁあれはサイヤ人という特殊な生命体だからできたことであって、一般人だったらきつい修行しても4桁行けるかどうかってレベルだし大丈夫でしょ
…一般人がハンマーで10㎝の石砕く戦闘力が『5』なのに、こっちでは一般的な魔法世界の住民の戦闘力が『2』なので一般人でも俺ツエーできるかもしれないケド
「…いや、そんなことを心配する前に考えなければいけないことがありますね」
わたし、今家無し金無しなんすよね…ってなんか心の声と出てくる声のギャップが…まあいいか
このままだと野宿しながらどっかでアルバイトしないと生きていけないよ
んーそれも選択肢としてはありだけど(普通はない)、できれば雨風凌げる場所が欲しい
何か持っていないかと上着の中をごそごそ…いや裏地にも重り付けてるとかどういう服なのこれ?
ってあれ?何か箱みたいなものが
「これは…『ホイポイカプセル』?」
ドラゴンボールの登場人物ブルマの父親であるブリーフ博士が社長を務めるカプセルコーポレーションの発明品の一つ、『ホイポイカプセル』の入った箱だ
なんでも出てくる、というかなんでもカプセル化できるってあの人本当にすごいなぁと思いながら見てたな
でもこれがあるなら家の心配はしなくて済む、何故ならこれには『カプセルハウス』という家電付きの家も入っているからだ
えぇっと…どれだ?
さ、さすがに番号だけじゃどれに何が入っているのか分かんない…適当に開けていくか
「これは冷蔵庫…これはオートバイ…これは銃…」
…作中でも結構な数出てきたが今手元にあるのだけで100本は超えている、これ見つかるまでに時間がかかるぞ…
「これは掃除機…これ、は…あ…?」
――『7777777』と書かれたカプセルを何の気なしに開けて、わたしはマヌケな声を出した
ゴロンという音とともに飛び出してきた『7つのオレンジ色のボール』
それぞれに1から7までの星のマークが刻まれていた
この世界に存在するはずのない、神によってもたらされた奇跡の『願い玉』
「ドラゴン、ボール…」
――どうやらとんでもないことになってしまったようだ
――――――――――――
いやーどうしたものかねこれ
ドラゴンボールが出てきてしまい、それまでのんびりやっていた開封作業を大急ぎで終わらせたが、うん
ドラゴンボールがかわいく見えるものまで出てくるとは思わなかったね
まずは『タイムマシーン』
DB原作でトランクスが乗ってやってきたあれ、ご丁寧に燃料付き、なぜか3本セット
あれですかなんか原作ブレイクやらかしちゃったらこれ使って戻して来いってことですか
…場合によっては必要になるかもだけど
そして、えーっと、緑色に輝く宝石のような球の付いたイヤリング…
…『ポタラ』じゃねーか
ご丁寧に箱に入っていやがるが、あんたは界王神が付けてなきゃダメな代物だろ?!
なんだよおい?!わたしに界王神やれってのか?!いやだよあんな中間管理職!!破壊神からのパワハラとか耐えられる気がしないよ!!
んでもってポタラがあるんだから自分もみたいな顔して、玉手箱状の箱の中に入っている銀色の指輪
メビウスの輪みたいな趣向を凝らした、DB原作では文字通り世界を滅ぼすきっかけを作ったやべーやつ
――『時の指輪』、お前もか
思わず天を仰いだわたしは悪くない
唯一の救いは時の指輪が1つだけだったことか、万が一2つ以上*10入っていたら卒倒してた自信あるよ
それ以外にも悟空が子供のころよく使っていた筋斗雲*11に如意棒*12、サイヤ人が着ていた戦闘服一式、ドラゴンレーダー、仙頭入りのツボなどなど
…DB原作に出てきた道具一式入ってね?でも未来トランクスが使っていたあの剣*13とかは入ってない、どんな基準なんだ?
でも『1人用のポッド』を入れておくのは何か、ギャグ要素にしか見えないんだけど…使いどころあるのかこれ?
ひとまず全部の道具をカプセルに戻し紛失したらやべぇ奴は自分の懐に、それ以外はよく使いそうな奴とそうでない奴で分けておく、潜水艦やら輸送機なんて絶対使わないだろう
カプセルハウスに入り考える、この世界でわたしはなにをするべきなのか
主人公のネギ君たちと一緒に世界を救う――ダメ
ほぼほぼ原作が崩壊するし、それをわたしがリカバリーできる自信がないし、何より推しとの距離が無理すぎる(最大の理由)
逆に敵対者の誰かに肩入れ――推しと戦えと?わたしに死ねと申すのか?
沈黙――やはりそれが正しい答えか…
どういう形で介入しても推しとの接触は避けられない、会話どころか見るだけでも尊みで限界オタクになるのだが?
推し活をする時はね、推しの邪魔をせず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ、独りで静かで豊かで……
遠くから推しの活躍を眺めながら、理由も分からずやってきたこの世界で第二の人生を歩むことにしよう
――それはそれとして自分の実力を把握しておくのは大事か
ベッドに横になりながら、明日からの予定を思い浮かべわたしは眠りについた
…あ、名前思い出せないの忘れてた
~次回予告~
オッス!オラ…まだ名前なかったわ
いやーとんでもないことになっちゃったけど、家があるなら何とかなるよねきっと
第二の人生ってことは推しを眺めながら平和に生きるのも許されるはずだし、のんびりいこう
しかしここはネギまの世界、何が起こるかわからないしいっちょ修行といきますか
次回ドラゴンボールNEGIMA『驚異の戦闘力!!新生サイヤ人?!』
名前、決まるといいなぁ