エロゲーオブザデッド (仮)   作:にーと戦士

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11話

 

 

「おっはー。……なんか、ゲッソリしてるね」

「色々あってな……」

 

 

 そう。色々あった。

 

 壁尻状態の女の子を発見して驚き。

 我が友人である井上遥香。

 通称八股の遥香が心優しいおじさんを連行していったり。

 壁尻(︎︎♀)ちゃんを結局ローション使って救出したりと。

 

 早朝から濃ゆい時間を過ごして精神力を消耗したんだ。

 

 ちくせう。

 なんで俺がこんな目に合わなきゃならないんだ。

 ファッキンゴッド。

 

 確かに俺は非日常を望んだりはしたけども。

 R18指定の世界線は望んで無いのよ。

 

 ぐったりと机に顔を放り出してうつ伏せになる。

 

 

「じゃあ息ヌキに今日一緒に遊ぶ?」

「ああ、それは良いかも……待て、何か発音がおかしく無かったか」

「そんなことないってぇ」

 

 

 ゆるふわ笑顔で否定する童貞キラー明子(俺命名)。

 彼女の吐く息からは非常に爽やかなミントの香りがした。

 

 ……ちなみに、この女からミントの香りがする時は大体口淫を誤魔化す時だったりする。

 

 朝っぱらから盛るとか性欲猿かな? 

 人間らしく理性と自制心を持てよ。

 

 

「ちなみに何処で遊ぶんだ?」

「隣のクラスの関口くん家で棒倒しを」

「分かったもういい。その口を閉じろ」

 

 

 案の定、シモのお誘いだったのでポカリと頭をはたき黙らせる。

 

 明子はあいたた、とわざとらしく頭をさすり一言。

 

 

「乱暴な女の子はモテないよ」

「お前の言うモテは穴モテだろうが!」

 

 

 思った以上に声が教室に響き渡る。

 騒いでいた俺達はクラスメイトから注目を集め、教室中の注目の的となった。

 

 

「……おいこらボケコラ」

「今のはユリカの自爆じゃん」

 

 

 そんなじゃれあいをしていると、時間は過ぎ、ホームルームの時間となった。

 

 騒々しさを残しつつある教室に入ってきたのは、先日の乱癡気騒ぎで半休がぶっ飛んだ可哀想な男。

 もとい、我がクラスの担任の烏丸先生だ。

 

 

「えー、今から学年集会を行うので、各自並んで体育館に行くように」

 

 

 と、彼にしては珍しく端的にそう言い、廊下へと出ていく。

 

 

 ……これはあれだろうな。

 真田達の酒写真に対する性の乱れに関係する話だろう。

 

 あれから無期限停学となった真田達だが、彼らの痴態が映された写真については学年の垣根を超え、今では全校生徒の噂になっている。

 

 学校側としてはここいらでビシッと風紀の乱れに注意喚起をしていきたいところだ。

 

 まー学年集会になるのは時間の問題だったと言えよう。

 

 

 教室を移動中、制服の裾をクイクイと引かれる。

 ん、と思って振り返ると。

 

 沈痛な面持ちで此方を見つめている明子がいた。

 

 

「ねえ、イケメン童貞の室伏くんなら」

 

 

 誰が相手をグレードアップしろと言った。

 お前が楽しみに取っておいた童貞とか心の底から要らねーんだわ。

 

 

 

 

 そんなこんなで。

 体育館に移動した俺達。

 

 

 既に他のクラスは並んでおり、俺達は最後のクラスだったようだ。

 

 空いてある一角へ順番に座っていく。

 

 

 学年全員が揃った事を確認すると、実は学年主任も兼任している烏丸先生(押し付けられたらしい)がマイクを握った。

 

 

「えー、近頃校内の風紀が乱れています。学校内での飲酒、または不純異性交友などは禁止されているので、国の法律は勿論、校内規則などもキッチリ守ってください」

 

 

 名指しはされていないけど、明らかに真田達の事を示している内容だ。

 やはり学校側も先の件を重く受け止めているらしい。

 

 あれだけの不祥事が明るみになったら、そら内々に済ませる……みたいな穏当な処置は下せない。

 対外的にも注意喚起はしましたよ、というアピールは必須だ。

 

 うんうん。こういうので良いんだよ。

 こういうので。

 

 マトモで真面目に対応されると、普段通りの日常を感じられて非常にグッド。

 催眠術や時間停止や壁尻なんて俺の平穏な生活に要らないのだ。

 

 こういうカッチリとした場は苦手だったけれども。

 異常事態が連続で発生している現在、異常を正常に戻そうと奮闘している教師の頑張りは疲弊した精神にスーッと効いていく。

 

 おい明子。何もっともらしく頷いてんだ。

 校内の風紀を乱してるのはお前も一緒だぞ。

 

 分かっているならちょっとは自重しろ。

 

 

 そして暫く烏丸先生の注意喚起が為されたところで。

 

 

「ーー我が校はこの件を非常に重く受け止め、政府から性指導員を派遣してもらうことになりました」

 

 

 なんて??? 

 

 唐突に爆弾発言をした烏丸先生。

 

 ざわ……ざわ……と。

 そこかしこで生徒達が囁き合う。

 そんな生徒達の動揺は差し置き、烏丸先生は平然と。続けざまに次の台詞を言った。

 

 

「では、安田さん。どうぞ」

 

 

 烏丸先生が壇上の横に手を向け、暗幕の内側から出てきたのはーー果たして。

 

 スーツにネクタイをピッチリと決めた公務員の姿。

 

 ではなく。

 脂ぎった禿げたオッサンだった。

 

 

 うん、なるほどね。

 

 性指導員。政府から派遣。ハゲの脂ぎったオッサン。

 見事なまでの役満である。

 

 これだけの要素があればもう先の展開が読めた。

 観念して、一連の流れを見届ける。

 

 

 唐突に現れた彼。

 政府の指導員と言う割には服装がだらしなく、着古したヨレヨレのTシャツ、膝から下が見える七分丈パンツなどを着用している。

 

 歩く度にタプン、と揺れる贅肉腹を揺らしながら安田という男は壇上の中央に立った。

 

 

「『初めまして。私は政府から配属された性指導の安田と申します。この度、君達への性指導を任命されました。私の言うことは疑問を持たず、必ず従ってくださいね』」

 

 

『藤村ユリカは常識変換催眠攻撃を受けた』

 

※精神耐性Lv:MAXにより完全レジスト

 

 

 で す よ ね。

 

 

 なんだよぉおもおおお! 

 

 またかよぉおぉぉおおお! 

 

 

 なんでこうも頻繁に催眠術師がリポップするんだよぉ。

 しかも田島と同じく、機械に頼らず自力で催眠術を習得出来る天才馬鹿が。

 

 努力の方向性が間違ってるって! 

 歌手方向に舵を取れば一廉の人になれたろうに。

 

 

 烏丸先生の爆弾発言により、ざわめいていた生徒達が催眠術により一斉に沈黙する。

 急にシン、と静まり返った体育館。

 

 それで自分の催眠術が成功したことを確認したのか、安田はニチャア、と粘っこい笑みを浮かべる。

 

 

 最悪だ……。出来れば当たって欲しくなかった。

 なんで朝っぱらからエロ展開に二回も巻き込まれ無いといけないんだ。

 

 この世の不条理を嘆く。

 しかもまた性指導員って。田島と役割が被ってるんだよ。二番煎じなんて要らねーんだわ。

 

 いやそもそも一番目の田島も要らないけどな。

 

 

「では、さっそく“性指導”の見本を見せましょうか。そこの女子生徒は壇上に上がってください」

 

 

 憂鬱な顔をしていると、そんな俺が目に止まったのか。鼻息荒く指示を出してくる安田。

 まあ、俺は芸能界でも滅多にお目にかかれない美少女だから興奮する気持ちは分からんでもないが。

 

 だが、お前が選んだのはこの場で唯一の“不正解”だ。

 

 緩みきった顔を見るに、催眠術に抵抗出来る存在なんて想像だにしていなかった事だろう。

 しかし相手が悪かったな。目の前にいる俺は神様転生したチート転生者。

 

 即座にくだらない催眠術ごとねじ伏せてやろう。

 

 

 すくっと立ち上がり、壇上へと向かって歩いていく。

 

 一歩、二歩、と進む内に腹の中のイライラがドンドン貯まって来た。

 

 一体なんで俺がこんなオッサンに日常を侵食されなければならんのだ。

 最近過ごす内に出会った催眠術師やらエロゲーみたいな世界観に気付いて貯まりに貯まったストレス。

 

 それは解消されることなく、俺の中で貯まったままだ。

 

 俺が仮に催眠術師を倒した所でゲームのように貰える報酬なんてない。

 あるのは齎された不快感のみである。

 

 

 なら。ちょっとくらい、遊んでも……良いよな? 

 

 

 安田の元へと辿り着いた時、彼の鼻息は最大級に荒かった。

 

 ふっひゅーと匂いを吸い込むかのように鼻の穴をかっぴろげ、これ以上無いほどに性欲に満ちた顔だ。

 

 普通の女性なら、これだけでも嫌悪すべき状況。

 しかし俺は催眠術にかかっている……という演技をしているのだ。

 

 無言かつ、無表情でスルーを決め込む。

 

 

 そのままジロジロとねめつける用に俺の身体を見る。

 おいなんだその胸を見て残念そうな溜息は。

 

 これは敢えて貧乳にしてるんだよ。

 自分で胸の成長率を弄ったから貧乳扱いは無論受け入れるが、勝手に落胆されるとそれはそれで腹が立つな。

 

 来なさい、と手を引っ張られ、同じく壇上の中心に立たされる。

 

 

「これから私は彼女と実際に性行為を行います。そうすることで、正しい性行為を一緒に学んでいきましょう!」

 

 

 そう言うや否や、躊躇う様子もなく俺の胸を触ろうと手を伸ばす。

 大きく汗ばんだ手が胸に触れた瞬間、強い不快感を覚えた。

 

 ので、静電気スキルを最大出力で発動させた。

 

 

「ぁイッッヅぁぁぁッ!」

 

 

 弾くように腕を離し、手を擦る安田。

 

 

 だ、ダメだ……。まだ笑うな……。

 

 

 ピク、と頬の肉が痙攣するがまだ楽しみたいので、催眠術が効いてるフリを続行する。

 

 彼は十数秒程痛そうにしていたが、漸く痛みが引いたようだ。

 

 まさか俺が静電気を意図的に出しているとは思わず、単なる偶然と片付けたらしく。

 気を取り直して今度は俺のケツへと手をのばす。

 

 むんずと鷲掴みされる臀部。

 それに合わせて再び静電気スキルを発動させる。

 

 

「ホァッッあッ、あッ~~!!!」

 

 

 先程の焼き直しのように、痛みに耐えかねて苦悶の声を上げる安田。

 

 クソ催眠術師の悲鳴を聞くと気分爽快である。

 散々貯めていたストレスを発散出来て気持ち良い。

 

 また大人しく待機していると。

 この女! ぶち犯すッ。と苛立ったようにカチャカチャとベルトを緩め、ポロン、と逸物を取り出した所で、下の毛を伝わって静電気がバチり。

 

 オゥッ、アゥッ。と外人でしか見られないようなオーバーリアクションで股間を抑えて転げ回る。

 

 

 暫くすると漸くダメージが引き、プルプルと産まれたての小鹿のような足で立ち上がった。

 

 

「……つかぬ事をお聞きしますが、もしかして物凄い帯電体質だったりします?」

「精密機器は大体壊れます」

「ご協力ありがとうございました。お帰りはあちらです」

 

 

 と、安田が諦めた所で不意打ち。

 股間を蹴り上げ、素早く催眠術で無力化を行った。

 

 

 

 

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