エロゲーオブザデッド (仮)   作:にーと戦士

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2話

 

 

「それでは女子のパイチェックを始める!」

 

 

 

 そうほざきつつ、下半身を露出したまま歩く猥褻物。もとい田島。

 田島は右最前列にいる女子生徒から順番に乳を揉みしだきながら練り歩いていく。

 

 

 普通にキッショい。

 近寄られたくないし、触られたくもない。

 田島のゾウさんは興奮してパオン。

 俺は悲しくてぴえんだ。

 

 

 ……というか、クラス内で露出する必要、あったか? 

 

 催眠がもし失敗していたら渾名がフルチンになる事間違いなし。

 リスクがデカすぎて小規模な実験を繰り返してからじゃないと動かない気が……。

 

 

 俺でもそんな催眠能力を得ても、いきなりそんな大胆な行動は取らないな。

 せめて二人きりとかのシチュで脱ぐ。

 

 

 待てよ、実験……。実験か。

 

 ……そういえば先月から不審者の情報が上がって居たような。

 

 

 あれはどんな情報だったかな。

 システムログを漁っていると直ぐにヒットした。

 

 

 どれどれ? 

 

 身長百六十cm前後の、十代後半から二十代前半の男性が露出魔として現れた、とかで騒がれて居たらしい。

 

 

 思わず悠々と開放的な姿で練り歩く田島を見る。

 彼はあらゆるしがらみから解き放たれた、と言わんばかりに清々しい笑顔を浮かべていた。

 

 

 まさか、まさかね。

 流石の田島も大っぴらに外野露出なんて特殊プレイをやる筈がない。

 

 田島がそこまで低レベルなアホだとは思いたくないが。一応、念の為。確認だけはしておくか。

 

 

 

 田島の身長を見やる。

 ふむ、百六十cmくらいだな。

 

 

 ……身長だけだとまあ参考にならないよね。

 もっと具体的な特徴が無ければ特定は出来ない。

 

 

 つつつ、と情報をスクロールして行くとまた不審者の情報が発掘出来た。

 

 

 その不審者はツーブロックの髪型をしていたとの事。

 田島の髪型は……ふむ、ツーブロックだな。

 

 

 ……まあ、うちの学校は規則が緩い方だ。

 ツーブロックなんて髪型は田島以外にもそこそこしている人がいる。

 

 

 それでなくとも、まだ不審者が学生と決まった訳では無いしな。

 春の麗らかな日差しに頭をやられた大学生、または社会人かも知れない。

 

 これが探偵漫画なら一転二転して衝撃の真実が明かされる、となっても不思議では無い。

 

 

 人の持つ可能性を俺は信じたい。

 追加でシステムログを漁っていく。

 

 

 一番の特徴として不審者は顔に三角に見えるような黒子があるらしい。

 

 田島の顔には……ふむ、三角に見える黒子があるな。

 

 

 

 ーー完全に田島じゃねえか! 

 

 

 

 こいつ外で露出実験繰り返してやがった! 

 

 これだけでもう黒確定。議論の余地なし。

 死体の近くにナイフを持って返り血がべっとり付着した状態で無罪を主張する位には有罪である。

 

 

 わざわざ露出というワンクッションを置かなくても実験は出来るだろうに、あえて露出を行うのはそういう性癖なのだろう。

 

 クラスメイトのそういう性癖、知りたくなかったでござる。

 

 

 というか、良く逮捕されなかったな。

 いや捕まっても催眠でどうにかして来たのか。

 

 

 だがあいつの催眠もそう万能ではないようだ。

 

 

 少なくとも、不審者の情報が広まって居るのを鑑みるに、能力に何らかの範囲制限または人数制限があるのだろう。

 催眠が完全無欠のチート能力なら不審者情報すらも出回らないよう情報封鎖だって可能な筈だ。

 

 だが現に不審者情報として田島の外見的特徴が出回っている。ならば、彼の能力には欠点が存在する事が分かる。

 

 

 

 しかし、それはあくまでも田島の認知外での範囲だ。

 

 既にクラスメイトがかかっている催眠をどうこう出来るものでは無い。

 

 

 確か……常識変換催眠攻撃、と言ったか。

 

 

 クラスメイト達が田島に胸を触られながらも無言を貫き通すのは田島に都合が良い様に常識を弄られているのだろう。

 今攻撃を仕掛ければ、田島の号令によりクラスメイト達全員が俺を仕留めに向かってくるのは容易に想像出来る。

 

 

 オリンピックに出場すれば金メダルを総ナメ出来る程のチートを持っている俺だが、流石に多勢に無勢。

 

 多人数との立ち回りなんて学んでいないし、数に押されてしまうかも知れない。

 

 

 だからここは大人しくしておくのが賢いのだが。

 

 

 ちら、と後方を流しみる。

 相も変わらず田島はいやらしい手つきと気持ち悪いニヤケ面で女子達の胸を揉みしだいて行く。

 

 虚ろな目で抵抗しない相手に味をしめたのか。

 大胆にも制服のボタンを外し、ブラの中にすら手を突っ込み始めた。

 

 

 うん、無理。

 我慢出来るかこんなもん。

 嫌悪感と忌避感で俺の情緒がぶっ壊れちまうぜ。

 

 

 よって求めるのは即効性。

 相手に何もさせずに蹂躙しなければなるまい。

 

 

 

 その間にも田島は順調に女子の胸を揉みしだいて来たようで、すぐそこまで迫ってきていた。

 

 

「やっぱA、Bカップは揉みごたえが無くてつまんねーな。最低Cは無いと女に人権ねぇわ」

 

 

 

 うっわ。うっわぁ。

 ドン引きである。

 

 内心人には晒せない本性があると言えどもそこまで薄汚いレベルだと救いようがない。

 

 良くもそこまで調子に乗れるもんだ。

 

 

 ーーだが田島よ。

 古来より悪は栄えた試しがないんだぜ? 

 

 

 お前の天下はここで終わりだ。

 敗因はただひとつ。

 テメーは俺を怒らせた。

 

 

 行くぜ! 俺のターン。ドロー! 

 ポケットの中に入っていた消しゴムを掴み握り込む。

 

 俺は有り余る身体能力を駆使して、肩から腕、腕から手、手から指先へと運動エネルギーを減衰させることなく伝えていく。

 

 それを俺は地面に向かって力を解放した。

 狙いはただ一点。

 

 消しゴムは跳弾し、接近していた田島のゾウさん。

 つまり男の象徴へと着弾した。

 

 

 

「びぁ、……ッッッ~~~!」

 

 

 飛んできた消しゴムが急所に当たり蹲る田島。

 

 

 大胆にもさらけ出していた弱点だ。

 そりゃ狙うしか無いだろ。常識的に考えて。

 

 上げてて良かった狙撃スキル。

 

 このスキルで投げたものは狙った地点に飛ばす事が出来るのだ。

 

 さて隙は出来た。

 後は普通に気絶させるだけだな。

 

 

 ガタッと椅子から勢いを付けて立ち上がり、田島の元へと全力で向かう。

 

 あいつはまだダメージが抜けきれていないが故に股間を手で圧迫したままだ。

 

 

「藤村……ッ!? おま、なんで動いて」

 

 

 問答無用。

 四つん這いになっていた彼の顎先を撃ち抜くようにして俺はキックを放ち、脳を揺らす。

 

 すると田島は尻を天高く突き上げたまま崩れ落ち気絶した。

 

 

 制圧完了。

 

 

 これが一過性の催眠ならば術者である田島が気絶すれば解けそうなものだが。

 

 さて。

 

 

 

 しかし我がクラスメイト達は無反応。

 相も変わらず沈黙を貫いている。

 

 

 

 うーん、ダメだったか。

 なら直接この露出魔に解除させる他ないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う、うぅ」

 

 

 

「お、目が覚めたか?」

 

 

 場所は変わって体育倉庫。

 誰の目にも付かない場所、と言ったらここくらいしか思い浮かばなかった。

 

 こいつを運搬する最中、誰かに見つかるかも、と心配したがどうやら学校全体に催眠をかけていたらしく誰もが虚ろな目で動きを止めていた。

 

 そら教室でヤろうと思ったら見回りとか音とか怖くて出来ないか。

 

 ……その懸念があるなら露出は辞めればいいのに。

 

 

 

「さて、俺の言いたいことは分かるな?」

 

 

 その言葉に悔しそうな顔で睨む田島。

 だがその両手両足は縄で縛られて動けそうにない。

 

 

 勿論、俺が自前で用意した物ではなく田島の鞄をあさくったら出てきたものだ。

 他にもボンテージ衣装やら鞭やらが出てきたがそっと元に戻して置いた。

 

 露出魔でSMプレイ好きとか業が深過ぎない? 

 

 

「ああ、……先月から騒がれてる露出魔。それは俺だ」

「そっちじゃねーよ」

 

 

 そんなこと既に知ってるわ。

 今更自白されてもなぁ。

 

 

「俺が知りたいのは」

「分かってる。俺がどうやって催眠能力を手に入れたか、だろ」

 

 

 分かってるなら要らない茶々を挟むな。

 そう突っ込みたいのは山々だが折角お喋りしてくれるのだ。

 

 臍を曲げられてはたまらない。

 完全にスルーして話を進める。

 

 

「とある古本屋である本を買ったんだ」

「本?」

「ああ。猿にも出来る。簡単催眠術! って奴」

「良く買おうと思ったなそんなもん」

「ノリで」

 

 

 んで、それが偶然本物だった、と。

 それじゃあこれがそうなのかね。

 田島の鞄を調査した際に見つけた本を取り出す。

 

 

「藤村、俺のバッグを漁りやがったな」

「お前の私物ロープで縛ってる時点で分かりきっていただろうに」

 

 

 それもそうか、と頷く田島。

 こいつ性格はクズだが話してみると面白いな。

 

 まあ内面を知った以上、関係を持ちたいとは思わないが。

 

 

「試しにお前で実験してみてもいいか?」

「ふん、それを解読するには俺は一年をかけた。そう易々と使えるはずがーー」

 

「『全力で変顔しろ』……っと、ほう。これは中々」

 

 

 目をかっぴらき、口元を歪めて舌を上向きに出す田島。ちょっと笑った。

 

 

 どうやらこの本は本物みたいだな。

 どっちかと言えば催眠ノウハウではなく、いかにして特定の周波数の音域が出せるかが主に書かれた練習本みたいだ。

 その周波数によりトランス状態にさせて催眠術をかけられるようになる、との事。

 

 まあ俺のチート能力によれば会得するのも一瞬だ。

 

 先程解読するのに一年をかけた、と言っていたが実際には技術を会得するのに一年をかけたのだろう。

 内容も日本語で書かれているから普通に読む分には困りようがないしな。

 

 

「ふしゅみゅら」

「おっと悪い悪いもういいぞ」

 

 

 フィンガースナップを鳴らし催眠を解く。

 口頭でも構わないが、こういうのがカッコよかったから試してみただけだ。

 

 実際、口頭の方が催眠難易度は低い。

 指パッチンは音の調整が難しくて一生の内に体得しえるかどうか、ってレベルらしい。

 

 肉体を1mmのズレもなく精密操作出来る俺でなければ出来ない荒業だ。

 

 

「それじゃあお前の記憶を消させて貰うか」

「ま、待て! 俺の記憶を消したら学校中にかけた催眠はどうするつもりだ? この催眠はかけた術者にしか解けないんだ」

「ああ、それ?  確かそんな事書いてたな」

「だろう? だから俺を見逃してーー」

 

「だが却下だ。『催眠に関すること全て忘れろ』」

 

 

 再び意識を失い忘れる田島。

 こいつが新たに催眠をかけて俺を襲わせないとも言いきれないしな。

 

 実際、目が覚めた途端に催眠をこっそり仕掛けて来ていた。無論全部レジストしたが。

 

 こいつに許可を出そうにも危なくて使えねーわ。

 

 ……あ、催眠を解く以外に行動を何もしないよう制限すれば良かったのか? 

 

 

 しまったな。けれどもう後の祭りだ。

 既に催眠をかけてしまった以上、田島の記憶を再び取り戻すのもなあ。

 

 ま、声帯模写くらいなら出来るし何とかなるだろ。

 最悪また記憶を取り戻させばいいし。

 

 

 これで一件落着、って事で。

 

 

 

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