渡世者のアーカイブ 作:誰かのサブ
なんか書けたから投稿、これの投稿が捗ってると言うことはメインで書いている小説がスランプで行き詰まっている証拠です
ナルミがキヴォトスへ来て約半年が経ち
ナルミの構えた事務所のあるブラックマーケットを含む各地の治安は悪化の一途を辿っていた
(揉め事があるんはアタシ等にも付け込む隙が生まれるけん、ありがたいっちゃありがたいっちゃけど…)
幸い上手く争い事に自身の身を滑り込ませて少しずつ勢力を拡大し
短い期間ながら事務所を構え、学籍無しで行く宛もないという部屋住みの組員を増やし現在構成員は四桁に迫ろうとしている
しかしここ一週間程前から連邦生徒会長なる人物の失踪が報じられてから元々最悪であった治安はさらに目も当てられない程となっていたのだ
(ばってん、人間が女の…しかも未成年しかおらん言うんはなんでなん??)
思わずナルミの口からタメ息が漏れ出ると、予定と言う予定が無いために事務所当番で掃除と電話番で残っていた二人の部屋住みの若い衆である少女がこちらを少し心配そうに見てくるため簡潔に「なんでもなか」とだけ答えて物思いに更ける
ナルミが構えた事務所、【月組】はその大まかな収入源は現在みかじめ料とその繋がりから用心棒としての収益
そして移動屋台での売り上げのみとなっている
本来であればヤクザという性質上、もっと悪辣な方法で収益を得ることだって楽に出来た
ナルミ自身が嫌いな為、扱う気は一切ないし売るのも使うのも即破門と部屋住みたちに口酸っぱく言っている違法薬物の売買や
売春や風俗経営、恐喝や金貸し等
楽に稼げるヤクザならではな商売は沢山ある
しかし組員が未成年である以上、どこまで行っても本当にヤクザな仕事はさせるわけにはいかないのだ
(ま、それでも事務所が出せるくらいにはシノギにはなっとうけど)
どちらかと言えば組員は本来の親御さん達からの一時預かりで、学籍を持たず食うに困っているのをナルミが生き延びるための援助をしているに過ぎないし
役職を与えることはあっても本気でヤクザをさせる気は無い、それこそ本人が望めば適当なタイミングで組から足を洗わせたいとすら思っていた
だからこそ組員の大人になった後を考えれば過激なシノギはさせられないというわけである
ついでに言えば治安が悪すぎて用心棒だけでも思ったよりは稼げている、組を立ち上げ事務所を建て
1000人近い組員達も一応は食うに困っていない
これが良いのか悪いのかとナルミ自身が頭を抱えたくなる理由のひとつでもあった
(ん──?)
ふと事務所内の電話が鳴り響き、ナルミの意識はそちらへ向く
すぐさま電話番の若い衆が受話器を取って対応を始めるが、なんとなしに電話から視線が離せなかった
「──はい、月組
…え?ナルミ姐さんですか?」
ちらりと電話番の若い衆がナルミへと視線を向け、目が合うとナルミがゆっくりと頷くと電話番は「少々お待ちを」と電話相手に断りを入れてから保留へと切り替える
「誰か?わし宛かいね?」
「えぇ、姐さん宛なんですが…」
少し言い淀むように言葉端が弱々しくなっていく少女になおさら誰からの電話であるかの検討がつかなくなりナルミは眉をひそめながら聞き返した
「まぁ良か、言え、誰か?」
「…その、連邦生徒会七神リン首席行政官からです」
「はぁ?」
電話番から返ってきた想像外の人物の名に思わずナルミは眉がハの字になるほどの困惑した表情を浮かべて再度聞き返す
「…七神の嬢ちゃんからと?」
「はい」
「…何て?」
「いえ…詳しくは直接話したい、と」
電話相手、連邦生徒会の七神リンはナルミにとって全く知らぬ相手というわけではなく
ここキヴォトスでヤクザ稼業をしている内に自然と会って話す機会が多少は会った程度である
しかし向こうは連邦生徒会の首席行政官という表舞台においてかなりの権力者…誤解を恐れずに言えばキヴォトスのNo.2とも言える存在である
そんな相手からすれば自分のような裏世界の人間、それもヤクザの組長等は本来煙たい相手であると言えよう
では一体、そんな自分になんの用があり電話を掛けてきたのか
少なくとも組員が未成年である以上そこまで悪どいシノギはしていないため、首席行政官自ら釘を指すようなこともしていない筈である
考えても答えは出なかったが、気だるげに片手で頭を掻きながらもう片手で電話番から受話器を受け取り
保留の解除ボタンを押した
「──はい、月島」
電話の受話器を戻し、安堵のタメ息を一つ溢してから
七神リンは書類を片手に足早に来た道を戻る
途中他部署や部下の少女とすれ違うが互いにやることは山のようにあるため、会釈のみに留めて歩みを進めていく
(…あまり期待はしていませんでしたが、一先ずの戦力が確保出来た事は僥倖と言えましょう)
先程の電話相手、最近ブラックマーケットを拠点にここ数ヵ月で急に勢力を伸ばしてきているヤクザ組織
【月組】組長の月島ナルミとの会話を思い出してはそう思考を巡らせる
電話内容については特にこれと言って特殊なものはない
ただ現在別室に待たせている、我らが【超人】連邦生徒会長が失踪する際にこちらへ呼び寄せていたと言う『先生』という大人にこれから不良に占拠されたサンクトゥムタワーの実権を取り戻しに行って貰う際の補助になればと電話をかけた
何せ彼女たちはヤクザという反社会的勢力ではあるものの、そのシノギはキヴォトス基準においては大して悪どいとは言えないものであり
また用心棒もシノギの一つであることからかなり急ではあるが依頼の電話を掛けたのだ、構成員はいざ知らず組長であるナルミ本人とは数は少ないが直接会って話したこともある
彼女がどういった人間かは、多少なりともわかっているつもりだ
(まぁ、依頼にあたってまさかこちらが心配されるとは思いませんでしたが)
用心棒を頼みたいという依頼自体はすぐに容認された
しかしその上で、表舞台の権力者であるリンが裏世界の人間である自分に依頼を出して大丈夫なのかと少し呆れたように言うものだから
界隈の不良たちに【悪魔】とまで畏れられる人物が随分と優しいものだと思わず笑いそうになってしまった
(確かに彼女の言うことは正しい、しかしこちらも
もはやなりふり構ってられないのです)
本来はいくらシノギが悪どくなくとも、ヤクザという名目で活動している組織に依頼をすることなどない
それでは清く正しい連邦生徒会のメンツが保てないからだ
しかし…
「戻りました──おや」
『先生』を待たせた部屋の前まで戻り、ノックと共に戸を開けると中では余程ここへ来るまでに疲れてしまったのか机に突っ伏して寝ている若い男性の姿が目に入った
「…起きてください、先生」
熟睡を決めんでいた先生を起こしたり、外の世界と勝手の異なるキヴォトスについてのことを説明すること自体にそれほど時間は掛からなかったが、その後各校を代表し乗り込んできた4人の少女達の対応にリンの神経は自然と苛立ちを覚えた
権限が宙へと浮いてしまったサンクトゥムタワーを取り戻さなければ話しは始まらない、そのためにはまずS.C.H.A.L.Eの部室を奪還する事から始めなくてはならず
ここで油を売ってる暇など無い
リンの口が悪くなるのも仕方がないと言えば仕方がないかも知れなかった
「──
いささか皮肉が強すぎる面も無くはないが、「行きましょう」と続けて一人足早に外へと向かうリンへ表情をひきつらせた4人と先生は渋々ついていくことになった
◇◆◇◆
外へ出て少し歩くと、遠くの方から三台の車が高速で近づいてきたのを視認し
先頭のリンは足を止める、その事を不思議に思って首を傾げたのは先生以外にも各学園
ゲヘナ学園を代表し【風紀委員会】から来た火宮チナツやトリニティ総合学園【正義実現委員会】の羽川ハスミ、【自警団】の守月スズミ
そしてミレニアムサイレンススクール【セミナー】の早瀬ユウカも同様だった
「あれは…?」
「安心してください、あれは敵ではなく…こちらが用意した先生の護衛です」
困惑の表情を浮かべて呟いたユウカへ今となっては必要だったかどうかまではわからないが、とリンはそう付け足した
自分がついているとは言え、さすがに先生と二人で現状を打破出来るなど甘い見立てはしていなかった
その為に雇った護衛であったが、何だかんだ各学園からのトップクラスの人材が勝手に着いてきてくれたのだから頼まなくても良かったのではないかとリンは考えていた
キィッとブレーキを鳴らしながら一行の目の前で止まった三台は車に詳しくなくとも高級であろうことが一目で見てとれ
他二台が新し目の国産の黒塗りのセダン車である反面、先頭の車は真っ白なスポーツタイプのオープンカー
それも少し年式の古い物であることがどこか異様な雰囲気を醸し出していた
"…護衛、の割には…随分と物々しいような"
思わず苦笑いと共に呟いた先生にリン以外の4人が無言で首を縦に振った、程なくして三台の後ろの二台のドアが開くと中からはネクタイのない男物の黒スーツに身を包んだ少女が8名降りてきて
一尺遅れて白いオープンカーの運転席からも同様の格好をした少女が降りてくる、が他8名は直立のまま微動だにせず
オープンカーから降りた少女のみ、車の助手席へ回ってゆっくりとドアを開けた
「──どうぞ、姐さん」
「おぅ──」
白いオープンカーの助手席に座っていたのが、恐らくはこの集団の中でもっとも偉い人物なのだろう
各校の4人は緊張で指先に自然と力が入り、いつでもそれぞれの獲物に手が触れるように準備を整えたのとほぼ同時に
助手席から──声からして女性が降りてきてその場にいた4人も、なんなら先生でさえも呆気に取られた
「こ、子供?」
「本気でキレられますから、本人の前では言わないようにしてくださいね?」
降りてきたのは集団の中で一番、いや少し離れていてもわかるがこの中で一番背の低い
一見すると誰よりも年下に見える幼い顔をした女だった、恐らくは彼女の部下と思われる9名と同じくネクタイの無い男物の黒スーツ姿だが
他と違ってスーツに合わせた黒いボルサリーノのフェルトハットを被っていた
一連の流れの中から、やはりユウカが疑問符を浮かべたように呟くが、目の前の人物を呼んだ張本人であるリンは釘を刺すようにそう続けた
フェルトハットの女は何も口にしないが部下は流れるような手付きで口にタバコを加えさせて火をつける
「…七神の嬢ちゃん、約束通り来たったい」
そうして火の着いたタバコをゆっくりと吸って煙を吐き出してから、片手を上げてこちらの
一番先頭に立つ七神リンへと手を振った
"彼女は…?"
「──あぁ見えて成人済みの女性、とのことです
先生と同じく、外から来た方のようですが」
見た目だけでいえば思いっきり未成年の喫煙である
少しひきつった表情で尋ねた先生に、リンは声をかけてきた女へ軽く会釈してから続ける
"…なるほど、確かに
あの人には皆の頭の上にある輪のようなものがないね"
「え?ヘイローがない?」
「あ、ほんとだ」
誰よりも幼い顔立ちで、背丈すらこの中の誰よりも低い
しかし実際には彼女は大人の女性で、ついでに外の世界から来たというのをリンから聞けば先生は納得がいったかのように軽く頷いた
それに驚いたように続けたのはチナツとスズミである
ヘイローと呼ばれる光の輪は目の前の10人の内、ハットを被った女のみ持っていない
つまり他の9人は自ずとキヴォトスの生徒であることがわかる
「七神の嬢ちゃん以外は、はじめましてやね」
ハットを被った女はそう言って、リンや先生達の目の前まで来て足を止める
その横に並び立とうとする後続の9名を手で制し、中腰の姿勢へなって右手の平の表面を見せるように体制を取った
「それじゃまず、無礼ば言うかもしれんばってん
挨拶代わりの仁義、どうか控えちゃってくれんね?」
その場で相対していた全員が、それまでどこか呑気な雰囲気でった女の空気が変わるのを感じた
おまけ
簡易的キャラ説明
名前
月島
年齢
多分25くらい
身長
150cm
スタイルはそこそこ良く、バストDくらいあると作者が嬉しい
体重は体格的な平均値より少し下で、背中にのみ入れ墨が入っている(羽つき天女の入れ墨)
【容姿】
華奢な体躯で童顔の黒髪ショートカット、普段の声色は優しくおっとりとしており通常時は物腰が静か
笑うとなんともいえない親しみがあって、まるで純粋無垢な子供のようにも見える
【概要】
普通に会話をしたり交友をする分には強者特有の危険な匂いは全くと言って良い程存在しない
そのためこのトラップにハマる街のチンピラや武装集団が後を絶たない、なにも知らない者達にとって普段の姿は格好のカモにしか見えないから
勝ち目のある人間をターゲットにするのがある意味で言えば不良達の経験則での絶対だからだ
キヴォトス以前の記憶をほぼ失っているが、覚えている限りだと元々は直系団体の若頭で三次団体の組長だった記憶がある
別の世界の人間で、大人であることは勿論当然ヘイローは無い
覚えている記憶が虫食いのように穴だらけな為、元々の性別が男だったか女だったのかは本人すら不明
現状の性別は女で会話の際は九州地区、特に福岡周辺の訛りとイントネーションが見受けられる
怒らせさえしなければ見た目相応な性格をしており、時折街中で子供にせがまれては一緒に遊んであげている姿も目撃されている
趣味はフォークギターの弾き語りと風景画を描くことで
弾き語りは聞いている組員が思わず唸る程の腕だが、無意識に機嫌が良いときに漏れでる鼻歌は酷く音痴らしい
風景画は独特な感性から極彩色に彩られた物を良く書く
頭の回転は早く地頭は良いが勉強というものを一切したことが無く、読み書きは苦手な反面字だけは綺麗に書く
本人の頭脳に対して知識が追いついていないタイプ
記憶の限りだと両親はおらず物心ついた頃から山で暮らしており、ある日空腹に耐えかねて街へ降りてヤクザの事務所に盗みに入った所を捕まり
最初の親分と出会う
キヴォトスに来る前から命が使い捨てな環境で生きてきた為か年齢の割に白髪が多く定期的に染め直しをしている
元ネタが昭和初期のヤクザであるため従軍歴等もあり、従軍中は大陸方面で捕虜の斬首役をしていた
プライベートでの一人称はアタシ、組長モードではわし
相手の呼び方は生徒の場合
武器
スタームルガー Mark1
トカレフTT-33
戦闘スタイル
キヴォトス外の人間なため当然ヘイローの無いただの人間、ただし幼少期に極限の環境で育った為か脳機能に異常があって筋力等の出力制御が取り払われておりキヴォトス人までとはいかないまでも馬鹿力
勘が異様に優れており殺気や自身に迫る死の気配に鋭い為、攻撃力的に勝てない相手にも負けることはない(攻撃が当たらないから)
愛用していないだけで日本刀を振り回す時や無手で牽制する場合もあるが全体的に戦い方は急所を徹底的に狙ったりと暴力的で少々下品な戦い方をする
愛車
本編にて出てきた真っ白なスポーツタイプのオープンカー(少し古め)が愛車
詳しい詳細が欲しい人向けに書くと【ジャガーXJSコンバーチブル(パールホワイト)】
パッと見はスポーツカーではあるが本人の用途が『長距離を早めのペースで快適に移動したい』ことから外装各部に追加でメッキ処理が施されたパーツが増えていること以外はノーマルでオートマのいたって普通の車
アニメ一話の時間軸って結構遠くない?
まぁにわかだからこそ気ままに書ける作品、基本メインが行き詰まった時しか書かんから
続き気になる人には申し訳ないけど完全に気分しだいです
感想、評価、お気に入り
できればしてやってちょーだゃーよ
追記
まじにわかだからサンクトゥムタワーとシャーレの部室奪還がごちゃ混ぜになってしまってたので修正致しました。