『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百三話

 

 ゴブリンスレイヤーは剣の乙女からの手紙を通した頼みにより、冒険者となった令嬢の捜索依頼を出した令嬢の両親の依頼を受ける事にし、森人剣士に妖精弓手、女神官に鉱人道士と蜥蜴僧侶と牛人戦士の七人の一党で依頼場所へと出発した。

 

 令嬢は自分の一党と共にゴブリン退治の依頼を受けていた。山奥を縄張りにして襲ってくるゴブリンの群れに困った村人が出した依頼である。

 

 いつもゴブリンスレイヤーがこなしているゴブリン退治においては基本的なものにはなるがしかし、今の時期は冬。

 

 つまり山の森林にいる獣や木の実に川の水等、そうした補給が厳しい環境である。

 

 とりあえず、ゴブリンスレイヤーは皆で持ち運べるだけの食糧や水は持ってきている。村での食料提供などそうした事も難しいとふまえてだ。

 

 特にゴブリンが退治できていないなら、村人は冒険者に対してきつい態度で接してくる可能性も考えなければならない。

 

 とにもかくにもゴブリンスレイヤー達は冬の街道を進んでいく。

 

 

 

「っぅ……中々に寒いですな」

 

 冬の寒気に身を震わせているのは蜥蜴僧侶である。

 

 先祖である恐るべき竜の血を引く上、南洋の種族が故に寒さには他の種族より、弱いようだ。一応、防寒性に優れた外套は着ているが……。

 

 

 

「ですねぇ、私も寒いです」

 

 蜥蜴僧侶の言葉に応じるのは普段は露出性の高い衣服を着ているが、冬のためにちゃんと防寒性に優れた衣服を着ている牛人戦士だ。

 

 無論、蜥蜴僧侶も牛人戦士も動きやすさも考えた着こなしをしている。

 

 

 

「そんなに着てるのに寒いのね」

 

「種族の違いというのも大変なものだな」

 

 妖精弓手に森人剣士は自然に生きる種族柄、寒気は耐性があるようで蜥蜴僧侶や牛人戦士ほどの防寒着などは着ていない。

 

「私は寒いです。鎖帷子を着ているのもありますけど」

 

「儂も寒いわい」

 

 金物をつけている分、どうしても寒さから抜けられない女神官は話に加わり、鉱人道士も女神官に同意した。

 

 

 

「小鬼殺し殿は平気なようですな、鍛錬でも積まれましたか?」

 

「冒険者になるまえ、圃人の糞師匠に訓練をされていた場所が雪山だったから、慣れてはいる。寒く無い事はないけどな」

 

 ゴブリンスレイヤーは蜥蜴僧侶の問いに苦笑を含ませた言葉で応じた。

 

 

 

「しかも寒さを防ぐ物無しの薄着でだ。雪山の洞窟にある湖に沈められたりとかした……」

 

『え、嘘ぉっ!?』

 

 ゴブリンスレイヤーからの信じられない言葉に皆が驚愕の声を出す。

 

「本当だ。糞師匠は思いつきで色々やって来たからな。俺も良く生きてるなと思ったよ。まあ、もう二度としたくない事がたくさんできたけどな」

 

 そんな事を言いながら、一党は冬の街道を進んでいくのであった……。

 

 

 

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