『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百四話

 

 剣の乙女からの依頼をこなしに移動しているゴブリンスレイヤーの一党は冬の街道を抜けた。すると煙が立ち昇る山裾の村を見つけ……。

 

「オルクボルグ、あの村」

 

「襲撃されているぞ」

 

「なら、急いだほうが良いな」

 

 森人剣士と妖精弓手がゴブリンスレイヤーに言った事でゴブリンスレイヤーは短弓を持ちつつ、皆で村へと向かって急いでいく。

 

 

 

「ゴブリンスレイヤーさん、奇跡の嘆願は」

 

「頼んだ」

 

「はい」

 

 そうして女神官は≪聖壁≫の奇跡を使った。

 

 

 

「さて、ゴブリンを殺すか村人を守るか。どっちだ」

 

「決まっているだろう、両方だ」

 

「そうだな」

 

「だよね」

 

 ゴブリンスレイヤーの答えに森人剣士に牛人戦士がそれぞれ、頷いた。

 

 

 

「そうとも……小鬼殺し殿、竜牙兵は?」

 

「それはまずい。理由は後で話す」

 

 蜥蜴僧侶の質問にゴブリンスレイヤーはそう返す。

 

 

 

「薬は使うな。だが、他の術は惜しむな」

 

「ほいきた。どの術を使うかはわしの好きにやっても良いかの?」

 

「任せる」

 

 鉱人道士がゴブリンスレイヤーの指示に質問し、ゴブリンスレイヤーは頷きながら言う。

 

 

 

「高所を取って状況確認。援護してくれ」

 

 こうして準備は整い……。

 

 

 

「まずは一つ」

 

 ゴブリンスレイヤーは村の入り口で何をするでも無かったゴブリンの頭部を射抜いた。

 

「いやあ、助け、お姉ちゃぁぁんっ!!」

 

 頭部が射抜かれたゴブリンが倒れるのと家屋の樽に隠れていた娘を他のゴブリンの群れが引きずり出すのは同時であった。

 

「しっ!!」

 

「ふっ!!」

 

 そうして、そんなゴブリンへ複数の矢を矢筒から出しながら、超高速の連射でゴブリンスレイヤーと妖精弓手が射抜いていく。

 

「オルクボルグ、勝手に始めるのは狡いわよ」

 

「すまないな」

 

 妖精弓手はゴブリンスレイヤーに文句を言いながらも樽から柱、屋根へと軽々駆け上った。

 

 

 

「え、あ……」

 

「もう大丈夫だ。俺達は冒険者だ。助けに来た」

 

 ゴブリンスレイヤーは娘へと近づきながら声をかけ、銀の認識票を見せる。

 

 

 

「落ち着いて……村人とゴブリンがどうなっているか、分かるかな?」

 

 そうして娘に優しく語りかけ、背中を摩りながら、質問をする。

 

「あ、あの……みんな、村の広場に集められて……おねえちゃんがかくれてろって……」

 

「分かった。君は偉いな。良く言ってくれた……君のお姉さんも村の人たちも絶対に助けるからな」

 

「ほんとう?」

 

「ああ、約束だ」

 

 最後に娘の頭を撫でながら語り掛けると一度、娘から離れる。

 

 

 

「まだ、ゴブリン達は気づいていない。やるぞ」

 

「どうも敵の統制が小鬼にしてはとれている。油断は禁物かと」

 

「昼に押しかけている事からしても上位種がいるかもな」

 

 そうゴブリンスレイヤーは蜥蜴僧侶に答えつつ……。

 

 

 

「外周のゴブリンが逃げるのも厄介だが、中央の広場に立てこもられるのも面倒だ」

 

「そんなら広場はわしの術で一網打尽にしようかの」

 

「数次第だな」

 

 ゴブリンスレイヤーは屋根上に視線を向けると妖精弓手が広場を観察していた。

 

 

 

「広場には五、六匹よ」

 

「見える範囲で良い。村全体で何匹だ?」

 

「全部で二十匹はいないと思う」

 

「先遣隊だな……良し、外周と広場で分かれるぞ」

 

「しからば、拙僧が術師殿と共に広場へ参りましょう」

 

「私も行きますねー」

 

「行くなら援護するけど。鉱人」

 

「ほいきた、頼まぁ」

 

 そうして、鉱人道士と蜥蜴僧侶、牛人戦士に妖精弓手が中央の広場の担当となって別れた。

 

 

 

 「今はどうする事も出来ないからな」

 

 その後、ゴブリンスレイヤーは緊張が緩み、眠ってしまった娘を抱き上げ、手近な樽の中へと降ろした。

 

 雑嚢から毛布を出して被せる。

 

 

 

「良し、いくぞ」

 

「ああ」

 

「はい」

 

 森人剣士と女神官が微笑みながら、その様子を見ていたが振り返り告げたゴブリンスレイヤーの言葉に表情を変えて頷く。これより、ゴブリンスレイヤーと森人剣士、女神官は外周のゴブリンを逃がす事無く、討伐しなければならないからだ……。

 

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