『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百八話

 ゴブリンスレイヤーの一党はゴブリンに襲撃された村を救出し、村を襲っていたゴブリンを全て屠った後、ゴブリンの夜襲を警戒しながら休憩をしていた。

 

 先に村からの依頼でゴブリン討伐へといき、消息不明となった令嬢冒険者の一党の情報を集め、ゴブリンの巣があるだろう山の地図を貰いながら令嬢冒険者の一党の捜索とゴブリン討伐に向けた話し合いをした。

 

 なんと令嬢冒険者はゴブリンに対して『兵糧攻め』で倒そうとした。

 

 兵糧攻めも有効な時は有効ではあるが、少なくとも少数で敵地に乗り込んで殲滅しようとするときに使う手ではなく、なによりただでさえ、食糧の確保に難儀する冬の時期、食糧を守るために依頼した村人から食料をせしめて行うものでは無かった。

 

 令嬢冒険者が材木や食料をせしめているのでゴブリンスレイヤーはもう、村人から材木に食糧を買う事は出来ない。なので速攻戦を仕掛ける事とした。

 

 夜明けとともに村を出立し、雪山へと向かう。

 

 

 

「っ、ぅぅぅ、さ、寒いぃ……」

 

「こ、これは中々のものだな……っうう」

 

 遭難しないように、はぐれないように全員を網で繋いだ雪中行軍であり、雪中登山をしているが野歩きに慣れている妖精弓手に森人剣士でも厳しそうだった。

 

「ぐ、う、ぬう……厳しいですな」

 

「雪が降っている分、余計にですね」

 

「大丈夫ですか?」

 

 南国出の蜥蜴僧侶は余計に寒さに弱く、牛人戦士がなるべく庇うようにしつつ、自分自身も震えていた。そんな二人に女神官が声をかける。

 

「もちっと頑張れい。これでも、≪追風(テイルウィンド)≫で吹雪避けしとるからまだましじゃぞ」

 

「うむ、すまない……小鬼殺し殿、先はいかがかな?」

 

 鉱人道士が蜥蜴僧侶に声をかけながら蜥蜴僧侶の手を引く。それに蜥蜴僧侶が礼を言いつつ、僅かに先を行くゴブリンスレイヤーへ声をかけた。

 

 

 

「問題はない」

 

 そう答えながらゴブリンスレイヤーは屋根の向こうを見下ろし、手元の地図と比べて方位を確かめる。

 

「もう目の前だ」

 

 ゴブリンスレイヤーが告げたように純白の山肌に虫食いの如く、黒い穴が穿たれており、汚物が脇に積まれていた。

 

 間違いなく、ゴブリンの巣穴である。

 

 

 

 

「まずは暖を取って小休止だ。焚き火を頼む」

 

「ほいきた」

 

 手頃な岩陰に防水布を敷いて小休止の準備を整えながらゴブリンスレイヤーは鉱人道士に指示を出す。

 

 

 

 ≪追風≫の効果で吹雪をしのげる分、休憩しやすい環境が出来ていた。

 

  鉱人道士は乾いた枝を取り出し、火打石を叩く。

 

 

 

「どこからこれを?」

 

「雪の下、そのまた下だの。覚えておくとええ」

 

 雪を掘った窪みの中で火を焚いた。

 

「手足は良く揉んでおけよ。氷の精に毒されれば腐って、落ちるからな」

 

 ゴブリンスレイヤーは鎧の留め具を緩め、雑嚢を降ろす。

 

 籠手や靴も脱ぎ、手足を揉み解しながら皆へと告げれば、それぞれ自分の手足を揉み解し始めた。

 

「ほれ、酒じゃ。あったまるぞ」

 

 鞄の中から鉱人道士が火酒と人数分の小杯を取り出し、配って酒を注ぎ始める。

 

 それを皆で舐めるように飲む事で暖を取り始め、体調を少しでも万全に整えるべく小休止をするのであった……。

 

 

 

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