『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百十二話

 

 ゴブリンスレイヤーの一党は、雪山付近の村が出したゴブリン退治の依頼を受け消息不明となった令嬢冒険者の一党を、ゴブリンの巣穴となっていた雪山にある洞窟にて見つけた。

 

 もっとも令嬢冒険者以外は悲惨な末路を迎えていたし、令嬢冒険者も烙印を刻まれるなどひどい様子ではあった。そして更には今回、ゴブリンの群れを率いるのは善も悪も関係なしに知識を与える覚知神に知恵を与えられたゴブリン聖騎士だと推測できるだけの材料もあった。

 

 そして当然だが、ゴブリン達の本拠地も別にあると分かった。ひとまず、令嬢冒険者と共に村へと戻り、事態を伝えながらゴブリン討伐を継続する事だけは伝える。

 

 そうして、眠っている令嬢冒険者を酒場に用意された二階の宿の部屋のベットで眠らせ、汚れているが彼女の道具入れを回収出来たのでそれも部屋の隅に置いておく。

 

 令嬢冒険者の様子をゴブリンスレイヤーは見守っていると……。

 

 

 

「……う」

 

 令嬢冒険者は目を覚まし、周囲を見回すとゆっくりと起き上がる。

 

「起きたか、ひとまず水を飲むと良い」

 

 令嬢冒険者へ用意していた水を差しだす。

 

「ありがとう……」

 

 礼を言って令嬢冒険者は水を飲み干した。

 

「……ゴブリン」

 

「あの洞窟のゴブリンは全て倒した」

 

 令嬢冒険者の声にゴブリンスレイヤーは答える。

 

 

 

「皆は?」

 

「生き残ったのは君一人だけだ」

 

「そ、っか……」

 

 ゴブリンスレイヤーが平坦な声で伝えてきた事に少し沈黙をすると……。

 

「助かった……ううん、終わったの?」

 

「いや、まだだ。むしろ、あそこにいたのは先兵のようなものだった」

 

「……」

 

 ゴブリンスレイヤーの言葉に令嬢冒険者は顔を俯ける。

 

「すまないが、幾つか聞きたい事がある」

 

「……」

 

「答えられる範囲で構わない」

 

「……」

 

「良いな?」

 

「……」

 

 ゴブリンスレイヤーは令嬢冒険者の沈黙を肯定と受け取り、遭遇したゴブリンの数に規模と種類、遭遇場所に方角を聞いていく。

 

 基本、令嬢冒険者から返って来たのは分からないという答えだったが、洞窟の傍に北という答えは返って来た。

 

 

 

「……兵糧攻めは残念だったな」

 

「上手くいくと思ったの……」

 

「だろうな」

 

「……上手くいくと思ったのに……」

 

「だが、そうはならなかった。結果はちゃんと受け入れろ。それが策を提案し、実行した者の責任だ」

 

「……はい」

 

 ゴブリンスレイヤーの言葉に令嬢冒険者は頷く。

 

「ねぇ、貴方はもしかしてゴブリンスレイヤー?」

 

「そうだ、そう呼ばれている……実は君にはギルドから依頼を出されているんだ。無事なら親の元に返すようにと……だが、君には選択肢がもう一つある。俺達とゴブリンの本隊を討伐するという選択肢が……良く考えて、決めろ」

 

「あ、それ……」

 

 ゴブリンスレイヤーは令嬢冒険者に伝えるべき事を伝えると彼女の道具入れの奥底、二重底の中にあった軽銀の短剣を彼女の布団の上に置いて部屋を去るのであった……。

 

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