『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百十四話

 

 ゴブリンスレイヤーとその一党は雪山を巣窟として活動しているゴブリンの本体を率いるのは外なる知恵の神である覚知神から外法を授けられたゴブリン聖騎士だと当たりをつけた。

 

 当たりをつけられたのは捜索と場合によれば救助も依頼された令嬢冒険者を本隊とは別の分隊であったゴブリンの群れから助け出した際に令嬢冒険者に烙印が刻まれていた事、分隊が活動していたのが神殿であったからである。

 

 そうして一度、雪山近くの村で詳しい話を聞けば雪山をさらに登った高地に神代において鉱人により建築された砦がある事を知ったのでゴブリン聖騎士と彼が率いるゴブリンの本隊はそこを拠点にしていると判断した。

 

 無論、正面から攻め込む事は出来ないのでゴブリンスレイヤーは自分達を邪教徒に偽装する事での潜入を考えたのである。

 

 一応、女神官と蜥蜴僧侶に配慮して教義に反するかどうか聞けば、蜥蜴僧侶は敢えて女神官に話を振り、女神官は時と場合によると告げた。

 

 

 

「そういう事なら、私達は闇人(ダークエルフ)にならなきゃね」

 

「ふっ、そうだな」

 

 妖精弓手は少しでも冒険者らしいことが出来るとあって、偽装潜入にも乗り気であった。

 

「とはいえ、上手く忍び込めても相手は大軍……どうするつもりですかな?」

 

「ああ、それだが」

 

 そうして忍び込んだ後の事についてゴブリンスレイヤーが蜥蜴僧侶の質問に答えようとして……。

 

 木の軋む音が響き、それは軽い足音となり、二階の宿となっている一つの部屋にいた令嬢冒険者が下りてきた。

 

「どうするか、決まったようだな」

 

「うん、私はゴブリンを倒しに行く。取り戻さなきゃいけないものがあるから」

 

 ゴブリンスレイヤーが問いかけると令嬢冒険者はそう返答する。

 

「ちょ、何言ってるの。駄目よ、私達は貴女の親御さんの依頼で助けに来たのに」

 

 妖精弓手は令嬢冒険者の意見に反対した。

 

「私はあいつらに奪われた全てを取り返さなきゃいけないの……私のせいで死んだみんなのために……だから」

 

 令嬢冒険者は二つに括っている自らの蜂蜜色の髪を軽銀の短剣で切り落とす。

 

「報酬……前払い」

 

「決意も覚悟も固いようだな……良いだろう」

 

「ちょ、オルクボルグ!?」

 

「救助までがこっちの依頼……その後の事は自己責任じゃろ、冒険者とはそういう者じゃ」

 

「それに仲間の仇を討つという感情は理解できまする」

 

「で、でもさぁ……」

 

「彼女がこのまま、鬱屈した感情、行き場の無い感情を抱え込んで潰れるよりは良いだろう……それで君は何が出来る?」

 

「剣、それと術、≪稲妻≫」

 

「……良いだろう、それじゃあゴブリン退治をするぞ」

 

 その言葉に皆が改めて頷いたのであった……。

 

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