『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百十五話

 

 ゴブリンスレイヤーはゴブリン聖騎士とそれが率いるゴブリンの大軍が本拠としているだろう雪山の高地にある神代に鉱人によって築かれた砦と当たりを付けた。

 

 しかし、大軍が籠っている砦を正攻法で攻めるなど危険でしかない。ならば正攻法じゃない方法、考えられる方法としては砦に火をかける事だが、砦は石造りなので外から燃やす事は不可能である。

 

 内部から燃やすならその限りではないので邪教徒になって、潜入する事にしたのだ。

 

 この偽装には妖精弓手はやる事がゴブリン退治とはいえ、冒険者らしいことではあるとやる気にはなっていた。

 

 そして、救出された令嬢剣士もこのゴブリン退治に参加する意思を自ら切った髪を報酬の前払いとして覚悟と共に差し出しながら、示した。

 

 令嬢剣士には奪われた物があり、更にはゴブリンに殺された仲間たちの報復を考えているとゴブリンスレイヤーは分かっていた。

 

 しかしてこのまま、親元に返しても色んな感情で潰れるのは目に見えているのでゴブリン討伐中に暴走する可能性が高いが、そうしたリスクを引き受ける事も覚悟して令嬢剣士を仲間に加えたのである。

 

 こうして準備をして翌朝、ゴブリン達のいる砦に向けて出発したのだが……。

 

 

 

「なっとくいかなーい」

 

「あ、あははは」

 

「まあ、こっちの方がゴブリン達も油断するだろうしなぁ」

 

「とはいえ、やっぱり寒いですねぇ」

 

 妖精弓手に女神官、森人剣士、牛人戦士に令嬢剣士、つまりは女性陣は襤褸一枚だけにされ、虜囚として木柵の檻に入れられていた。

 

 まあ、ちゃんと彼女達の衣装や装備はゴブリンスレイヤーに蜥蜴僧侶で分けて持っていたりするが……。

 

「なんで私達が戦利品扱いなわけ!?」

 

「俺や他の奴らは戦利品にならないからな」

 

 妖精弓手の文句に鎧を薄汚れさせ、上から黒い塗料を塗って死霊の兵士にも見える異様な姿のゴブリンスレイヤーは答える。

 

「おうおう、間抜けな女冒険者が騒いどるわい。僧正殿、ここは一つ灸を据えて……」

 

 それぞれノリノリで演技をするのは衣装を用意し、顔や鱗に顔料で紋様を入れて邪悪な鉱人となった鉱人道士に邪竜の僧正となった蜥蜴僧侶である。

 

 蜥蜴僧侶は先頭を歩いており、木柵の檻を運ぶは前棒を担ぐ鉱人道士に後ろ棒を担ぐゴブリンスレイヤーだ。

 

「流石にこれでは寒いな」

 

「しかたねぇ、懐炉を用意すっか」

 

 鉱人道士は≪着火(ティンダー)≫の術を触媒を詰めた鞄より、取り出した火打石と手のひら大の石を幾つかに使って、そうして布に包んで懐炉として虜囚に偽装している妖精弓手たちへ放る。

 

「多少はましになると思う」

 

 ゴブリンスレイヤーもまた、≪呼吸≫の術が封じてある指輪を女性陣に渡した。

 

 そうしてゴブリンスレイヤーの一党は黒々とした城門のある砦を目指して進むのであった……。

 

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