『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百十六話

 

 ゴブリンスレイヤーの一党はゴブリン聖騎士が本拠としている神代に鉱人によって築かれた砦へと侵入するため、自分と鉱人道士と蜥蜴僧侶で邪教徒に扮し、森人剣士に牛人戦士と女神官に妖精弓手、令嬢剣士をゴブリン聖騎士への貢ぎ物として運んだ。

 

 

 

「では、行きまする」

 

「ああ、頼む」

 

 城門の近くまで接近した事で蜥蜴僧侶がゴブリンスレイヤーに問い、ゴブリンスレイヤーは頷く。

 

 蜥蜴僧侶は異種族と会話の意思さえあれば意思疎通が可能な≪念話(コミュニケート)≫の奇跡が使えるので今回の潜入にはうってつけであった。

 

「頼もう!! 拙僧は外なる知恵の神、緑の月の目が僧正である!! はらからよ、開けられませいっ!!」

 

 そうして城門の中へと堂々とした態度であり、咆哮にも似た大音声を響き渡らせる。

 

 だが、反応は全く無かった。

 

 

 

「やはり、これが必要と……」

 

 蜥蜴僧侶は僧衣の袂に手を入れて焼印に似せて鉱人道士が細工した木彫の目を取り出し、掲げて見せた。

 

「外なる知恵の神の碧眼にかけて!! はらからよ、知を分かつ友よ、門を開けられよ!!」

 

 そう、蜥蜴僧侶が先程と変わらぬ態度に大声で叫べば、今度は反応があった。

 

 城門がゆっくりと開き始めたのである。

 

 

「あの……大丈夫……ですよね?」

 

 女神官が不安げな様子で問いかけてきた。

 

 

「いきなり……地下牢に放り込まれたり、とか……」

 

「まずは、そうなるだろう……生贄の祭壇よりはましだ」

 

 女神官の言葉にゴブリンスレイヤーは応じる。

 

「そうですか」

 

「ああ、だが心配するな。君たちにこんな事をさせる以上、絶対に守るしゴブリンは全滅させる」

 

「はい」

 

 ゴブリンスレイヤーがそう僅かに女神官のほうへと兜を被った頭を向けながら力強く言葉をかけると女神官は頷く。

 

 「GROOOBR!!」

 

開かれた大門と比較して小さな体躯の者が現れる。襤褸のようになった僧衣の裾を引きずって歩くゴブリン司祭が現れた。ゴブリン聖騎士は外なる知恵の神から与えられた知識に基づき、ゴブリン司祭を用意したようである。

 

 まあ、正も邪も宗教というのは形に拘らなければならぬものであるが……。

 

 そうして、蜥蜴僧侶は≪念話≫の奇跡でゴブリン司祭と意思疎通を果たす。

 

 

 

 「ではこの聖騎士殿への貢物を獄に入れましょう。逃れぬよう、手足を断ちませぬと」

 

 

 「GROOOG!! GAROOM!!」

 

 

 

 こうしてゴブリン司祭はゴブリンスレイヤー達を中に入れる事を許可した。

 

「ふぃー、なんとかなったわい」

 

「まだ門を潜れただけだ。気を抜くなよ」

 

「わあっとる、わあっとる」

 

 一息吐く鉱人道士にゴブリンスレイヤーは声をかけると一同は砦の中へと入っていく。

 

 

 

「神代の、鉱人の細工による建物を……よくもここまで」

 

「価値が分からないって、やぁね」

 

「ですね、本当にひどいです」

 

「想像以上に凄い数……」

 

「……」

 

 森人剣士がゴブリン達が荒らした砦の中を見て、嘆き、これに妖精弓手が同意する。牛人戦士も呟き、女神官がゴブリンスレイヤー達を眺めるゴブリンの数を見て唇を噛み締めながら震えを抑える。

 

 そして、憎しみを込めた視線で令嬢剣士はゴブリンの群れを観察していた。

 

「(必ず、滅ぼしてやる)」

 

 ゴブリンスレイヤーも砦内の全てを観察しつつ、ゴブリン達を滅ぼすために立ち回れるよう、地形やゴブリンの群れの配置など必要な事を頭に叩きこんでいくのであった……。

 

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