『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百十七話

 

 ゴブリン聖騎士と聖騎士が率いるゴブリンの群れのいる砦に潜入するためにゴブリンスレイヤーは死霊の兵士に扮し、鉱人道士は邪悪な鉱人、そして邪教とはいえ宗教の関係者としては最適な邪竜の僧正になったのは蜥蜴僧侶である。

 

 三人がゴブリン聖騎士に捧げる貢物として捕虜に扮したのは森人剣士に女神官、牛人戦士と令嬢剣士である。

 

 実際、砦に向かってみれば蜥蜴僧侶が≪念話≫の奇跡をもっていたのもあって、ゴブリン司祭と意思疎通できたし邪教の者だと示す印を持っていたのもあって、受け入れられた。

 

 こうして砦の中に侵入する事が出来たのだ。ゴブリンスレイヤーの一党は砦内の庭や城壁の上、物見塔、狭間、いたるところにいるゴブリンの群れに見られながらゴブリン司祭の案内に従っていく。

 

 ゴブリンの装備は粗末ではあるが、ゴブリンにとっては十分、上等な装備である。そして、ゴブリンスレイヤーの一党、特に女性に向ける視線であり眼差しは好奇に好色の感情を混ぜた貪欲で怖気を振るうものである。

 

 悪意と欲望に満ち満ちている。

 

 そんな視線を浴びながら、ゴブリンスレイヤー達はゴブリン共がたむろっている廊下を抜け、腐敗したごゴミの汁で濡れている階段を下って石造りの地下室へと一行の足跡を木霊させながら向かう。

 

 そこは頑強かつ美麗な鉱人造りの牢屋と錠前、鎖と見事な地下牢があった。かつては混沌の手のものや城を脅かした悪党などが繋がれていたようだが、今ではゴブリンによる哀れな娘たちの終の棲家となってしまっている。

 

 明らかに死体と分かる腐りかけの者や息も絶え絶えな娘が繋がれている事からそれが分かった。

 

 そうして、捕虜に扮している森人剣士達を入れるためにゴブリン司祭は錆びた錠前を弄り回して牢獄の格子を開く。

 

 牢屋は得体のしれないべたべたとする汚れが張り付いた石畳の床、赤錆の浮いた腐り、地下ゆえに表よりはましだが、冷えた空気が流れており、それに腐敗臭が入り混じっている。

 

 用を足す穴は詰まって汚物が溜まっていた。そればかりか無造作に人の腕が突っ込まれている。

 

「ぅっ……」

 

 感覚が鋭い妖精弓手はえずき、森人剣士も顔を歪めていた。牛人戦士も堪らなそうにしているし、女神官もまた、怯え始めている。

 

「GO!?」

 

 そんな女神官の髪に触れて引っ張ろうとしたゴブリン司祭はゴブリンスレイヤーが人睨みした事でたじろぐ。

 

「これは聖騎士殿への供物故、楽しむならば聖騎士殿の許可を取った方がよろしいかと……でないと……」

 

「GUU……」

 

 ゴブリン司祭は唸りながらも一歩前に踏み出し威嚇してきたゴブリンスレイヤーに対し、怒鳴りながら去っていった。

 

 

 

 因みに令嬢剣士がゴブリン司祭に襲い掛かろうとしたが、それに対して森人剣士と牛人戦士が抑え込む事で止めていた。

 

 

 

「心配するな、暴れるのはここからだ。その時に怒りをぶつければ良い」

 

 ゴブリンスレイヤーは令嬢剣士にそう言う。

 

「じゃあ、動くぞ。ゴブリン共を皆殺しにするために」

 

 そうして皆へと改めて、ゴブリンの皆殺しを宣言するのであった……。

 

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