ゴブリン聖騎士と聖騎士に従うゴブリンの大規模な群れが住まう砦への潜入にゴブリンスレイヤーの一党は成功した。
≪念話≫の奇跡によってゴブリンとも意思疎通ができる上に邪竜の僧正に扮しても違和感の無い蜥蜴僧侶がいた事でゴブリンスレイヤーに鉱人道士はそれに従う者として違和感なく振る舞えたし、捕虜に扮している森人剣士に牛人戦士に妖精弓手に女神官と令嬢剣士も違和感なく、受け入れられた。
これにより、ゴブリンスレイヤー達はゴブリン司祭により、地下牢に案内された。
そしてゴブリン司祭は女神官を見定め、軽く触れようとしたのをゴブリンスレイヤーは威嚇した事で防いだ。
これに反応して令嬢剣士もゴブリン司祭を襲おうとしたが、前もってゴブリンスレイヤーから注意をするように言われたのもあって、森人剣士と牛人戦士が羽交い絞めにするようにして止めた。
そうして、ゴブリンスレイヤーに対して怒鳴ったゴブリン司祭はゴブリンスレイヤー達の元を去る。
その際、それぞれ隠していた女性陣の衣装と装備を返して着替えさせつつ、ゴブリンスレイヤー達は地下牢の前で見張りを装って警戒を始める。
着替えたという合図もあったので地下牢へと戻ると……。
「後で必ず、助けに戻る。今はここで待っていてくれ」
『……はい』
地下牢には僅かな人数であるが、幾人かの虜囚である娘たちが衰弱こそすれ、生き延びていた。
ゴブリンスレイヤーが助ける事を約束し、それに応じるのを見ると皆で密かに地下牢を出る。その後はゆっくり動きながら斥候を務める妖精弓手が見かけたゴブリンを射抜き、あるいはゴブリンスレイヤーが一番優れた投擲の技を駆使した鉄球で屠っていく。
「さて……」
「酒飲みとしては複雑な使い方じゃな」
こういう時のためにゴブリンスレイヤーは自分が用意していたかなり強い酒を出し、それをゴブリンの死体にかける。酒を楽しんで眠っていると思わせる為である。
ゴブリンはそもそもにして真面目な者などいない。自分を従える強い者がいてもそうした習性など変わらないし、それはゴブリン聖騎士も良く分かっているのでよほどのことが無い限りは見逃すとも思っている。
とはいえ、自分のものでは無いが酒を無駄使いするようなそれを見て、酒飲みである鉱人道士は複雑な表情を浮かべていた。
こうして一党はまず、武具倉庫へと向かうが……。
「随分と趣が違うな」
粗雑な鶴嘴に円匙など土を掘り抜くための工具がかなり多くあったのだ。
ゴブリンスレイヤーは聖騎士が何かを企んでいると予測しつつ、周囲にある物体を探り、武器として使えそうなものは邪魔にならない量を持つ事にする。そう、動きながらも考えに耽るのであった……。