『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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百二十話

 

 ゴブリンスレイヤーの一党はゴブリン聖騎士と彼が率いるゴブリンの軍勢が拠点としている砦への潜入に成功し、そうして一旦、ゴブリン司祭に連れていかれた地下倉庫より行動を開始した。

 

 地下倉庫には虜囚がいたので帰還を約束しつつ、武具庫に向かった。そこでゴブリン聖騎士がどうも知覚神に知恵を授けられた事で妙な事をしようとしているのを嗅ぎ取り、余計にゴブリン聖騎士とゴブリンを倒すべきだと気合を入れた。

 

 こうして、武具庫にて持ち出せない分の武具を蜥蜴僧侶の≪腐食≫の祈祷で処理をするとゴブリン聖騎士たちを始末するために武具庫から出て、ゴブリン聖騎士の元へと向かおうとして……。

 

「叙勲式までやるのか……だが、儀式に集中するならやりやすい」

 

 錆ついたラッパの軋むように耳障りな音が城址に響き渡っていたので何をやっているかは直ぐに察しがついた。

 

 

 

 こうして音を頼りに武具庫から回廊へと行き、中庭の様子を見ればゴブリンの群れが鳥での中庭へと向かう様子やラッパを鳴らしたり、骨と皮で出来た太鼓を抱えて乾いた打音で拍子を取ったりするのを見た。

 

「ORARAG!!」

 

「GORRB!!」

 

「GROOB!!」

 

 ゴブリン達は薄汚い唾液を撒き散らしながら、拳を振り上げて喚いた。

 

 興奮に満ち満ちたその声が意味するのは罵声であり、憎悪であり、怨嗟であり、嫉妬であり、欲望だ。

 

 すべからく、自分達が持たぬものを持つ、遍く全てへ向けられた罵詈雑言である。

 

 翻ってそれはゴブリン共にとっては英雄を讃える歓声だ。自分達への願いを一身に背負い、マヌケな只人どもを殺してくれる者へ対しての……。

 

「GORARARARAUB!!」

 

 そのゴブリンの願いを一身に背負う存在、薄汚れた鉄兜に全身に継ぎ接ぎの鉄鎧を纏い、カーテンを剥いだ深紅の外套を引きずったゴブリン聖騎士が現れる。

 

 腰には銀の剣を佩いているが、かなり上等な物である。

 

「あれだな、取り返したい物は?」

 

「はい」

 

 その剣こそ令嬢剣士が取り戻したいものだとゴブリンスレイヤーは察し、令嬢剣士に確認を取ると彼女は頷く。

 

「なら取り返そう、弓の準備だ。やれるな?」

 

「勿論よ、任せて」

 

「良し、聖騎士を射殺した後は俺が≪力矢≫で大半を殲滅する。後はそのまま、流れに乗じて殲滅するぞ」

 

 妖精弓手に狙撃の指示をすると皆へと作戦を言って、彼は指輪を嵌めている手を向ける。

 

 そうして、ゴブリン司祭が現れて叙勲式は始まり……。

 

 

 

 

「今だっ!!」

 

 そうして、ゴブリンスレイヤーの指示により、妖精弓手は矢を放ち、それはゴブリン聖騎士の額を見事射抜き、ゴブリン聖騎士の死骸を中庭に倒れさせた。

 

「≪サジタ……ケルタ……ラディウス≫」

 

『GROOOOOOOOOOB!!』

 

 次に夥しい数の必中の力上の矢が放たれてゴブリン司祭に群れを射抜いていく。

 

「ゴブリン共は皆殺しだっ!!」

 

 ゴブリンスレイヤーは背中に背負っている魔法の剣を抜き、魔法の盾を掲げつつ、混乱しているゴブリンの群れへと突撃する。

 

『おおおおっ!!』

 

 それに他の者達も続き、そうしてゴブリンの殲滅にかかるのであった……。

 

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