冒険者ギルドというものはどんな国や都に街においても春夏秋冬、いつだって賑わっているものだが特に賑わい、混雑するようになるのはやはり、冬を過ぎてから新年が来てからの春だ。
冬眠明けの怪物が村々に現れて脅かすし、冬の間に貯蓄を使い込んだ冒険者が又、溜め込むために依頼を受けようとしていく。暖かくなり、一山当てようと立志の若者が門を叩きに来る事も多い。
そう、なにより成人となっていろんな夢や憧れを持ったままに新人の冒険者として活動を始める者が多いのである。
そうして冒険者登録をするために多くの若者が、依頼を受けようとする冒険者がギルドの受付嬢の前で列を成していく中で……。
冒険者ギルドの扉を開けて一人の冒険者が入る。その冒険者とはゴブリンスレイヤーである。
「遅いわよ、オルクボルグー」
「普段は出来ないところまで手伝いを済ませていたからな……おはよう」
ゴブリンスレイヤーへと明るく元気に妖精弓手が呼びかけ、ゴブリンスレイヤーは苦笑をしながら挨拶をする。
「故郷での日々は良いものだったろう?」
「ああ、おかげさまでな。子供達の相手はちょっと大変だったが」
森人剣士の質問にゴブリンスレイヤーは悪くないものだったと答える。
「子供っていうのは元気いっぱいですからねぇ。それに貴方は面倒見良いから、良く慕われるんですよ」
「普通に対応しているつもりだがな」
牛人戦士の言葉にそう、軽く戸惑った様子で応じる。
「ふふ、何気なくそう言えるからこそですよ。おはようございます、ゴブリンスレイヤーさん」
「ああ、おはよう」
女神官の微笑に対し、ゴブリンスレイヤーは笑みを浮かべて挨拶を返す。
「ご指導のほど、よろしくお願いします」
「お願いします、師匠」
「なるべく迷惑や手間をかけないように頑張りますので」
「ああ、俺で良ければな」
女武闘家に新米戦士、見習聖女たちもゴブリンスレイヤーへと頭を下げながら挨拶を交わした。
「いんやぁ、本当に良く慕われておるのぅ。改めてよろしく頼むぞ、かみきり丸よ」
「ああ、こちらこそだ」
「厳しい冬も過ぎて拙僧も今は絶好調というもの。一騎当千の力を振るってみせますぞ。小鬼殺し殿」
「頼りにさせてもらう」
鉱人道士に蜥蜴僧侶の挨拶にもそれぞれ、応じていった。
そうして、依頼を既に受けていた女武闘家に女神官と新米戦士に見習聖女が一党を組んで依頼へと向かうのを見送り、ゴブリンスレイヤーは依頼を受けようとする冒険者に冒険者登録をしている新人たちで列を成している受付へと向かっていると……。
「よう、ゴブリンスレイヤー。聞いたぜ、訓練場の教官も任されるんだって?」
「ああ、俺で役に立てることがあるなら、するべきだからな」
「本当、面倒見良いし優しいやつだよなお前は……これから俺達、遺跡に遠出するんだ」
「そうか、良い冒険になる事を願っている」
「ありがとよ」
馴染の冒険者達と会話も交わし、そうして、列がはけた事で三つ編みの受付嬢の前へと歩き……。
「おはよう」
「はい、おはようございますゴブリンスレイヤーさん」
最愛の相手であるゴブリンスレイヤーの挨拶に受付嬢は嬉しそうな笑みを浮かべ挨拶を返す。
「ゴブリンの依頼はどうなっている?」
「それなら、もうすべて受諾されていますよ。『冬にゴブリン聖騎士なんて厄介そうな相手と戦ったんだから他の依頼を受けてほしい』って、皆さん言ってました」
「それは厚意に甘えさせてもらわないと駄目だな」
ゴブリンスレイヤーが冬にゴブリン聖騎士と戦った事は既に馴染の冒険者達には広まっており、だからこそ彼の世話になったいわば中級の冒険者達が主にゴブリン退治の依頼を受けたのだ。新人が受けた物もあるが……。
ともかく、そういう事ならばとゴブリンスレイヤーは大きな洞窟の探索依頼を受けたのであった……。