ゴブリンスレイヤーは森人剣士と共に新人冒険者となったが、魔術師でありながら一人でゴブリン討伐の依頼を受けようとしたため、受付嬢がその場で留めていた少年魔術師の面倒を見る事とした。
「(十中八九、姉の敵討ちだろうな)」
ゴブリンスレイヤーは少年魔術師がゴブリン討伐の依頼を受けようとした理由に見当が付いていた。ゴブリンによる毒の刃で苦しんでいた少年の姉の魔術師を介錯したのはゴブリンスレイヤーだからだ。
「(まあ、最大限面倒を見てやらないとな)」
ゴブリンスレイヤーは別に少年に対して後悔とか罪悪感を抱えている訳では無いが、それでも少年の姉の最後に関わった者として、自己満足でしか無いが面倒を見てやることにしたのである。
ともかく、今は森人剣士の家になっている元孤電の魔術師の家に少年魔術師を泊めてやる事にした。
「詳しい話は朝になってからだ。ともかく、今は寝ろ」
「寝る子は良く育つというからな」
ゴブリンスレイヤーと森人剣士は少年魔術師にそう言って、早く寝るように促す。
そもそも、今の時間帯、寝るくらいしかやる事がないのもある。
「ガキ扱いすんじゃねえ、俺は十五だぞ」
「それはすまなかったな」
ゴブリンスレイヤーは少年魔術師へとそう言い、そうして皆は眠りに着いたのだった。
そうして朝になると皆で起き上がり……。
「改めて聞くが、お前はゴブリン退治をしたいんだよな?」
「そうだ。俺の姉ちゃんは学院でも優秀な魔術師だったのに卑怯なゴブリンの毒の刃にやられちまった。それ以来、皆が笑いやがった。だから、俺が見返してやるんだ」
朝食を用意し、皆で食べながらゴブリンスレイヤーは確認のために話を聞いてみる事にした。
すると予想通りに少年魔術師は姉の敵討ちのためにゴブリンを討伐するのだと言ったのだ。
「それは良いが、やはり魔術師一人でって言うのは無茶だ。ゴブリンは群れる者であり、そして狡賢い。仲間を盾にしながら不意打ち、騙し討ちをしてくるからな。魔術を詠唱している間も待ってくれるわけでもない」
「……でも、俺は……」
「分かっている。ちゃんとゴブリンの倒し方を教えてやるから、それは心配するな……ただしメモは取らせない。頭と体で覚えろ」
「なんでだよ」
「奴らは普通に字を読めるように学習もするからな。メモを取られて冒険者達は自分たちにこんな事をするんだと思われたら面倒だ。ともかく、俺の言う事には従ってもらう。それが教えるための条件だ」
「彼は幾多もの新人冒険者の面倒を見ている。指導能力は保証するよ」
「分かったよ」
「良し、じゃあまずはギルドに行こうか」
準備を整えて三人は朝の時間帯、ギルドのある辺境の街へと向かったのであった……。