ゴブリンスレイヤーが冒険者活動をする上で活動拠点としている辺境の街。
そこから少し移動した先には牧場があり、更に先へと行き、ヒナギクの咲く丘から半日以上歩くと見える原野に冒険者のための訓練場が建設されようとしている。
将来的には魔術的で複雑な施設も建設されていくが、今は柵が設けられていて、野営のための天幕や仮の建物が設置されつつ、作業者たちが建設に励んでいる。
そんな中、訓練場は未完成ながらも運営を開始され始める。
訓練場の役割としては新人冒険者に訓練、あるいは教導は勿論、熟練の冒険者が本格的な自己鍛錬をしても構わない場所にもなる。更には酒場のように冒険者どうしが交流所としても使っても構わない場所にもなっているのだ。
「そういう訳で冒険者達の訓練所が運営を始める。色々と騒がしくなるから、そこは了承をお願いします」
そして、訓練場の運営が始まるのでこの訓練場から近い村――ゴブリンスレイヤーの故郷ででもある村の村長へゴブリンスレイヤーは伝えた。
「いよいよか……まあ、こっちも怪物や賊から村を守ってくれるというのだから問題無いわい」
「当然、守りますよ」
村長は頷きながら、訓練場を運営する上での条件である村の護衛について口にし、ゴブリンスレイヤーは頷いた。
「それにしても……まさか、元気な子供だったお前が今では銀等級にして頼れる冒険者になるとは……人とは分からないものだ」
「俺もそう思いますよ。幼い時は銀等級の冒険者になれるなんて思っていませんでしたから」
村長は幼い時のゴブリンスレイヤーの様子を思い出しながら、しみじみとした様子で言い、ゴブリンスレイヤーはそれに苦笑しながら言う。
「では、俺は冒険者達の訓練があるのでこれで……」
「ああ、しっかりな」
村長に声をかけて立ち上がると村長に見送られながら、ゴブリンスレイヤーは運営を始めた訓練場へと向かう。
今回、ゴブリンスレイヤーは教官として新人冒険者達の訓練をしていく事になるが、その手伝いを森人剣士に牛人戦士、ゴブリンスレイヤーと同期である若い戦士、槍使いに女騎士、重戦士などが申し出た。
「ほらほら、どうしたどうした。もっと、しっかり盾を構えろ」
「うひゃああっ!?」
そうして、訓練を受けている新人冒険者の中で圃人剣士の少女は女騎士の容赦ない猛攻に盾で必死に防ぎながら悲鳴を上げた。
「ほら、あいつから基本の型は習っているだろう。それをしっかりこなせ」
「いや、本当に習ったばっかなんですけどぉっ!?」
女騎士が言うように圃人剣士は剣と盾を使った型をゴブリンスレイヤーから指導された。その時に一通り、やったのだから実践すべきだと女騎士が相手を申し出たのだ。
「(あいつ、教官向いてないな)」
ゴブリンスレイヤーは女騎士の様子を見て呆れた。
因みに圃人剣士は一党を組んでいたが、リーダーの身分が貴族の次男、あるいは三男であり、嫡男が倒れた事で家から戻るように言われてしまい、そうして、一党は解散となってしまったのだという。
ともかく、ゴブリンスレイヤーは戦士を目指す新人に基本の型を指導したり、後衛あるいは中衛になるものに投石紐の指導をしたりなどしていく。
更に……。
「良いか、術というのは呪文を三つ組み合わせたものだけを言うんじゃない。≪
「……そうだ、そういう事になる」
少年魔術師にゴブリンスレイヤーは孤電の術師から継いだ札の束を並べたりしながら魔術について説明を始める。
「ああ、真言一つでもちゃんと術は出るからな。それと真言一つだけの術なら使用回数に影響しないぞ」
「嘘だっ!?」
「ちゃんと実証済みだから間違いないぞ……あまり、真言一つだけの術を使い続ける魔術師がいないんだろう」
そうして、ゴブリンスレイヤーは少年魔術師は真言一つだけの術を実際に幾つか使って術の使用回数制限に引っかからない事を見せる。
「……これが魔術の奥深さか……」
「そういう事だな」
魔術の奥深さを改めて少年魔術師は理解したのであった……。
真言一つだけの呪文が使用回数に影響しないというのはゴブリンスレイヤーのTRPGで明らかになったそうです。