百四十一話
新人冒険者である少年魔術師に圃人少女が旅立つのを見送った後もゴブリンスレイヤーは冒険者として依頼をこなしたり、訓練施設で冒険者の教官となって教導をして日々を過ごしていた。
そうして、季節は窓辺から差し込む陽光が茹だるような暑気を孕むようになってきた夏となった。
朝や昼においては外を出歩くのが辛い季節である。とはいえ、冒険者は食い扶持を稼ぐ必要があるので炎天下でも出歩かなければならないのだ。
夜はまだ涼しいのだが……。
ともかく、夏のある日の昼下がり――冒険者として仕事をしようと相談する事にして、ゴブリンスレイヤーは森人剣士に牛人戦士と妖精弓手に女神官、女武闘家と蜥蜴僧侶らと冒険者ギルド内の酒場で昼食を取る事にした。
まあ、夏における昼の酒場は快適とは程遠くはある。武装した者らが何十人といて、人いきれでむせ返りそうになるのだ。無慈悲な陽光と比べてどちらがましかは悩ましいところである。
しかも夏の気だるい陽気は頼んだ飲み物を生温くさせるので節約のため、小さく飲んでいくしかない。
「はーい、失礼失礼。郵便配達にきましたよーっ!!」
急ぎの郵便配達は冒険者定番の仕事である。
そして、荷物を小脇に抱えた冒険者の男がギルドに飛び込んできた。受付で受付嬢からのサインを貰うと慌ただしく待合室を駆け回り、手紙を配っていく。
その内容は借金の督促に故郷からの便り、緊急の依頼など様々だ。
妖精弓手も森人としての手紙で見た目は文字通りの葉書、草葉に書かれた流麗な筆致で書かれた
「結婚する事になったみたい」
「誰と誰がだ?」
「従兄と姉様が」
妖精弓手が告げた結婚という言葉に対し、酒場内の冒険者に酒場近くの受付で三つ編みの受付嬢に同僚である監督官が驚きや戸惑いで言葉を失う中でゴブリンスレイヤーは代表して質問をし、妖精弓手に答えさせた。
要らぬ誤解をさせる事になりそうだったからだ。実際、何人かは妖精弓手の答えに息を吐いたりした。
「森人の方も結婚式とか上げられるのですか? えっと、もし良かったら……」
「勿論、なにしろ長の氏族だもん。派手にするから、是非来て」
「森人の結婚式がどんなものか、楽しみです」
女神官の問いに妖精弓手が答えて女武闘家も楽しげに言った。
「ともかく、まずはおめでとうと言っておこう。森人好みの良い土産を見繕ったりする必要があるな。それにお前との事もある程度は……」
「……そうね、二人をびっくりさせる事になるでしょうけど」
こうして、少しの間、妖精弓手の姉と従兄の結婚についての話をしていくのであった……。