ゴブリンスレイヤーは自分でも出来る限りの整備を武具と防具にしているが、それでも限界というのもあるし、なにより専門家にしてもらう方が物事というのは確実だ。
なので冒険者ギルドに併設されている工房の親方に頼んでいた武具と防具の点検と整備。それは無事、終わったので早速装備をした。それまでの間にしっかりと休息をとっているので体調もばっちりだ。
ただ、大分金を使っているので稼ぐ必要はある。そうして大口の仕事を探していると……。
「今日は別の依頼でもするのか?」
「ああ、大分金を使ってしまったからな」
「ゴブリン退治の依頼ばかりじゃ中々、懐も温まらないだろう」
大きなだんびらを背負った重戦士と彼の傍にいる長い金髪で美しく、スタイルの良い女騎士が珍しいといった感じで話しかけてきた。
「だから、儲かる依頼を受けようと思ってな」
「なら、これを一緒に受けないか?」
「槍使いがお前は中々だったと言ってたからな。純粋に興味がある」
「そっちが良いなら、俺は構わない」
そうして、ゴブリンスレイヤーは重戦士を頭目として女騎士に少年斥候、圃人の少女
その道中、牧場によってもらいそろそろ実戦経験を積むために短弓と矢筒を持ち出し、他にも薬師の母から姉を通じて教えられた調合の技術と知識を元に作ったある道具も持ち出す。
その後、邪教集団の拠点へと向かう道中……。
「ゴブリン退治といえば、実はこいつはな……」
「おい、またその話を持ち出すのか……勘弁しろ」
女騎士は面白がって、重戦士がゴブリン退治にて洞窟内でだんびらを振るおうとして壁に引っ掛けて痛い目を見た事を話す。
「誰だって、大なり小なり失敗はするもので物事というものは失敗を活かして学んでいくものだ。それに冒険者の仕事は過程に失敗あっても結果的に成功して生きているなら大成功だ。だから、それだけで俺にとっては尊敬に値する。四人の頭目としてやっていけている事は特にだ」
「お前……良い奴だな」
「なんか、すまん」
重戦士は嬉し気に言い、女騎士は自分が恥ずかしくなる。
『(なんて良い人なんだろう……)』
少年斥候に少女巫術師、半森人の男軽戦士はゴブリンスレイヤーに対する評価を一致する。
その後、邪教集団の拠点へ夜襲を仕掛ける事にし……。
「ふっ!!」
斥候を担当するゴブリンスレイヤーと少年斥候が先に行き、後に重戦士たちが続いたのだがゴブリンスレイヤーの斥候能力は高く、暗闇の中を己が領域と言わんばかりに移動しながら、短弓に複数の矢を番えながら一度に放ったり、連射する事で邪教集団の手の者に自らの存在を気づかせないままに一方的に射抜き、あるいは石に瓦礫を投擲する事でやはり、自らの存在を気づかせないままに殺していく。
無論、邪教集団が仕掛けた罠をも看破し続けてだ。
「(こ、この人やべぇ……)」
少年斥候は自分を遥かに上回るゴブリンスレイヤーの斥候の技術に絶句した。
「あ、鮮やか過ぎて何が何だか……」
「あれだけの実力があるなら単身、ゴブリン退治の依頼をこなし続けられるのも納得ですね」
「本当、凄く頼りになるな」
「あいつが褒めるだけの事はある」
少女巫術師も軽戦士も女騎士もそして、重戦士もゴブリンスレイヤーの実力に驚愕したり、評価するのであった。
そうして……邪教集団の頭目たちがいる部屋の扉前まで辿り着き……。
「ちょっと、試したい事がある」
そう言って、雑嚢からゴブリンスレイヤーは卵の上に小さな布を被せて軽く糸で封をしたものを取り出した。
「それは?」
「唐辛子に……を磨り潰して調合したのを入れたものだ。ようは手製の催涙弾だな」
ゴブリンスレイヤーは唐辛子や痒みを有する植物など刺激物となるものを素材に調合しながら乾燥させた粉を卵の上を切り抜き、中身を出した後に粉を入れて封をする事で催涙弾を作っていた。
少しでも武具の浪費や依頼での消耗を抑えながら、依頼を効率良く成功できるようにするためだ。
『(容赦ないな)』
聞くだけで効果を想像できるようなある種、生々しいそれを聞いて重戦士たちは内心、ゴブリンスレイヤーにドン引きした。
「いくぞ」
そうして扉を少し開けてその隙間から見える邪教集団の頭目で術師然とした物に卵を容器とした催涙弾を三個、投擲しぶつけまくった。
『~~~~~っ!?』
卵は当然、標的にぶつかった時点で割れて中の粉を周囲にばら撒く。
その直後、強烈な刺激に目鼻に口が耐えられず、目から涙、鼻は鼻水が収まらないままに出て、口も不快感がするなどといった反応から邪教集団は悶え苦しみ、行動不能状態となる。
「効果はばっちりだな……じゃあ、仕留めようか」
「ま……楽に終わらせられるなら、それに越した事はねぇな」
「それもそうか」
「ですね」
そうして、ゴブリンスレイヤーは動けない邪教集団に弓で射殺していき、重戦士に女騎士、軽戦士も止めを刺しにいった。
「俺、絶対ゴブリンスレイヤーさんは怒らせたくないし、敵にしたくない」
「そうですね、味方ならとっても頼りになるんですけど……」
少年斥候と少女巫術師はそんな決意をしたのであった。
「本当にそれだけで良いのか。お前がほとんど終わらせたようなもんだし、取り分はもっとそっちにやっても良いが?」
依頼を達成し、報酬を貰ったゴブリンスレイヤーはそれは自分と重戦士の一党での二等分であるが、重戦士はそう、ゴブリンスレイヤーに言う。
「いや、こうした分配の方が平等で良いだろう。どうしても気が引けるなら、また声をかけてくれれば良い」
「それはむしろ、こっちが頼む事だな……お前はとても頼りになる奴だ」
「それはどうも」
そんな話を交わしてゴブリンスレイヤーはギルド本部を去る。
そうして、また次の日はマンティコアの討伐依頼を単身で受け……。
「~~~~~~~~~~っ!?」
ゴブリンスレイヤーはマンティコアに対し、ガマの像の口に銀玉を放る要領で怪物の口の中へ手製催涙弾を放り、それを噛み砕いてしまったマンティコアは突如、襲う強烈な刺激に悶え苦しんで倒れつつ、痙攣する。
「しっ!!」
ゴブリンスレイヤーはマンティコアに近づくと弓によって頭部を深々と射抜き、それが脳に達した事でマンティコアは死亡した。
そうして、結構な金額を稼いだゴブリンスレイヤーは……。
「い、良いんですか……こんなに……」
「ああ、また頼む事になるからな」
報酬の幾つかを地母神の神殿へと寄付する。それは今後もゴブリン退治をする上で出てくるゴブリンによって凌辱された女性の治療や面倒を見てもらう事への前払いのようなものであった。
二
ゴブリンスレイヤーはゴブリン退治の仕事を複数受ける事が出来るようになった。それはゴブリン退治がどうしても多数余るというものもあったが、一番は受付嬢が上司を説得してくれたからだとゴブリンスレイヤーは理解しているし、受付嬢に深く感謝していた。
だからこそ、複数の依頼を達成できるだけの実力と成果を出す必要がある。
『GROBB!?』
故に手製の催涙弾で戦闘不能にしたり、あるいはゴブリンたちが薄い壁をベーコンのフライ音を響かせながら、破壊し壁抜きによる奇襲を仕掛けてくるのを事前に看破する事で逆に待ち伏せし、そのまま奇襲し返す事で一方的に効率良く仕留めていく。
更には……。
「そら、追って来い」
『GROB!!』
広間にいたゴブリンの群れの幾つかを投擲で殺しつつ、逃走を始めた。それをゴブリンは当然、追いかける。
もう少しでゴブリンに追い付かれようとしたところで……。
「よっと」
『GROBB!?』
突如、ゴブリンスレイヤーは跳躍をした。それは足元のとあるものを飛び越えたからだ。
とあるものとは広間から少し離れた通路の左右それぞれの端に楔を打ち込み、その間に縄を張ったという簡易的な罠である。
そんな簡易的な罠にゴブリンたちは引っかかり、前方にいたゴブリンが転んだのを皮切りに次々といっそ面白いようにゴブリンたちは転んでいく。
「じゃあな」
転んで動けないゴブリンたちを容赦なく、ゴブリンスレイヤーは仕留めていった。
「さてと……」
複数受けたゴブリン退治の依頼において最後の依頼を達成したゴブリンスレイヤーは魔術の師である孤電の術師の頼み通りにゴブリンの糞溜めの一部を回収用の道具で麻の小袋へと入れてきつく紐で縛り、更にそれを厚い素材で出来た袋の中へ入れて封をするのであった……。