『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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森人剣士編
三十四話


 

 

 査察官による『昇級審査』を合格した事でゴブリンスレイヤーは冒険者における第八位の等級である『鋼鉄』となった。心機一転とばかりに今日は依頼が貼り出される前に冒険者ギルドを訪れた。

 

 ゴブリンの大群と悪魔犬を引き連れて重戦士の故郷でもあるという村を侵略し、続けて更にと……支配を拡大しようとしたであろう『ゴブリンロード』を軍勢纏めて討伐したのもあって、一旦、ゴブリン退治の依頼から離れる事にした。

 

 査察官からも何度か『冒険者』として活動するようにも言われている。彼女の言葉とそれに込められた意思を無碍にする気はゴブリンスレイヤーには更々無い。それに休んだ分は後で纏めて引き受ける事にもしている。

 

 ともかく、そうして今日は別の怪物退治の依頼を探していると……。

 

「おう、ゴブリンスレイヤー……実は大口の依頼を受けようとしているんだが……斥候が欲しくてな。それに聞いた話だが魔術も使えるんだろう? 俺たちの一党に入ってくれないか?」

 

 黒曜と白磁の混成で四人組の一党の頭目である只人の男がゴブリンスレイヤーへと声をかけてきた。少し前に槍使いと凄まじい手合わせを繰り広げたが故にゴブリンスレイヤーは他の冒険者達からも注目を受けているし、なによりなんだかんだ早い時期で『鋼鉄』へと昇級したのもまた、注目を受ける要因となっていた。

 

 なので彼らの様に勧誘を考える一党も幾つかはいる。実際、『出遅れた』というかのような表情を浮かべる数組の一党の姿もあった。

 

 

「分かった……どういう依頼なんだ?」

 

「ああ、これなんだが……」

 

 そうして、ゴブリンスレイヤーは勧誘をした一党に斥候として臨時加入し……。

 

「良し、そろそろ近づくぞ」

 

「あ、ああ……」

 

斥候として討伐対象である怪物の群れを索敵しつつ、自分たちの姿は発見されないように注意をしながら、一党を先導する。

 

 

 

 

 そうして、怪物の群れがいる住処へと辿り着けば……。

 

「いくぞっ!!」

 

『おおおおっ!!』

 

「GYAAAA!?」

 

住処へと先んじて侵入しつつ、超絶的な投擲を持って機先を制し、そうして一党にも攻撃をするよう指示をし、後は投擲を主軸とした支援をしながら、攻め込む機会を見出した瞬間、剣と盾による白兵技術を駆使する事で怪物の群れを全滅させるのであった。

 

「一緒にやってくれてありがとうな。俺達だけでは絶対に無理だった」

 

「同業者の力になれたなら、なによりだ。また手伝ってほしい依頼があれば呼んでくれ。都合が合えば手を貸す」

 

「ああ、そうさせてもらうよ」

 

 冒険成功の宴をしながら、ゴブリンスレイヤーは冒険者達との交友を深めていった。

 

 

 そして、更に……。

 

「やっぱり、斥候なら一番頼りになるな。お前は」

 

「ふふ、そう、ね」

 

「お褒め頂き、どうも……」

 

 槍使いと魔女の二人から突如、出現したという『遺跡探索』に行かないかと誘われ、ゴブリンスレイヤーはそれに応じた。

 

 冒険者は怪物退治をするのもそうだが、未知の遺跡やら迷宮、秘境の探索も仕事のうちだったりする。無論、そこにある財宝やら価値ある資源を収穫したりするのが目的であるが……。

 

「ここはあれだな……罠が多い遺跡のようだ」

 

「さっきから凄い……仕掛けが盛りだくさんだもんな」

 

「遺跡って、面倒なもの、だもの」

 

 注意深く、ゴブリンスレイヤーは遺跡を調べていき、そうして看破した罠の数は十は当に超えていた。しかも中々、効果的な仕掛けをしているのもあって集中力をかなり使うとあって、休憩を挟んでいる。

 

 ともかく、そうして……。

 

「魔法の武器とかあれば良いがな」

 

「さて、どうだろうな……」

 

 最奥の部屋にてゴブリンスレイヤーは槍使いに応じながら、部屋に入る前と部屋に入り、宝箱に近づくまでの間に仕掛けられた罠を探り、看破しつつ宝箱に近づくと腰の雑嚢から幾つかの専用道具を取り出し、作業を開始する。

 

「しかし、お前……本当、その技術はどこで習ったんだ?」

 

「俺の最初の師……圃人の老爺からだ。忍びの技の一つだとかなんとか言われてな」

 

 槍使いの問いに答えるゴブリンスレイヤー。

 

 彼の言うように最初の師である圃人の老爺は窮地に追いやりながらの謎かけ(リドル)をするだけでなく、時折遺跡などに無理やり連れて行っては罠の看破やら部屋の鍵の開錠、宝箱の開錠といったものをやらせたりもしたのだった。

 

 一度その技術を見せた上で『じゃあ、やれ』といきなり言うのだから、大変で何度か死にかけた事も勿論、ある。

 

 なので役立ってはいるが複雑な心境ではあるのだ。

 

 ともかく、宝箱を開けると……。

 

「古銭、ね……まあ、換金、すれば、それなりの、稼ぎ、よ」

 

「あんだけ大量に罠を仕掛けておくとか嫌がらせだな」

 

「そうそう上手くは儲からん、という訳だな」

 

 その宝箱の中身に魔女は苦笑、槍使いは何とも言えない表情、ゴブリンスレイヤーは溜息を吐く。

 

 とはいえ、古銭を換金しその儲けをしっかり三人で分配した。

 

 

 

 査察官の言葉もあって、冒険者としての生活も楽しむようにしたゴブリンスレイヤー。

 

「……さて、それじゃあそろそろゴブリン退治をやるとしよう」

 

「はい、いつもいつもすみません。よろしくお願いします」

 

 とはいえ、彼が冒険者としての本分を楽しむ間、ゴブリン退治の依頼は貯まっていってしまう。なのでゴブリンスレイヤーは貯まった分、依頼の時期や状況、依頼を出した村の距離などを見た上で複数のゴブリン退治の依頼を受ける。

 

 そんなゴブリンスレイヤーに三つ編みの受付嬢は頭を下げて頼むのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕闇の中、西へと向けて歩く者がいた。

 

「必ず、奴を……」

 

 埃に塗れて元の色が分からないような外套と胴衣を纏い、背中に背負うは鞘に納めた広刃の剣……しかして長い青の髪を後ろで括り、凛々しい美貌を持つその剣士は森人の女性。

 

彼女は一生を賭けていると窺える程の誓いを呟きながら、歩くのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

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