『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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三十八話

 

 

 ゴブリン退治の依頼に向かったゴブリンスレイヤーだが、退治する対象となっていたゴブリンの群れが巣穴としていた洞窟は、別の遺跡に繋がっていた。

 

 そして遺跡内を探索すれば、その遺跡のほうをゴブリンスレイヤーよりだいぶ前に探索していた冒険者が罠に掛かったか何かで死亡し、その冒険者が持っていた魔法の剣を持ったゴブリンが現れ、奇襲を仕掛けてきた。

 

 事前に察知していたので難なく撃退し、そのままゴブリンが持っていた魔法の剣を入手。すると次にはゴブリンより脅威な大目玉の怪物が徘徊してきた。十分に奇襲できる状況だったので魔法の剣を投擲する事で即殺した。

 

 何らかの能力を持っていようと使わせる前に倒せてしまえば、問題無いのだ。

 

 すると二度ほど出会っていて、自分が納屋を借りている牧場主の命を救った彼にとって恩人である青い髪の森人剣士とこれまた偶然出会い、一緒に探索。

 

 最奥にあった宝箱の中身である古い時代の貴金属と鉱石を森人剣士が七、ゴブリンスレイヤーが三という配分で分け合った。

 

 その後、村から野菜を奪ったというだけの物やゴブリンスレイヤーが倒した数がホブもシャーマンもおらず、六匹という規模から洞窟、或いは洞窟に繋がっている遺跡へとこの後、外から戻ってくるゴブリンはいないとは思ったが、念のために朝まで監視する事にして森人剣士とは別れて自分は監視をする。

 

 そうして、予想通りに戻ってくるゴブリンがいないのを確認すると村にゴブリン退治をした事を報告するとまずは牧場へと帰還。

 

 

 

「お帰り」

 

「ああ、ただいま」

 

 牛飼娘の出迎えを受け入れると鎧や身体を洗うなどし、食事をしてから遺跡でゴブリンから奪った鞘の無い魔法の剣をいつまでも手に持ってはいられないのでとりあえず慎重に背中に柄を紐で括るようにして帯剣しつつ、冒険者ギルドへとまずは依頼達成の報告に向かった。

 

巨大な目玉の怪物(ビッグアイモンスター)と出会ったなんて……ご無事で良かったです」

 

「ああ、奇襲できる状況だったので良かった。それと魔法の剣を手に入れられたのもな。元の持ち主には感謝だ」

 

 背中に括っている魔法の剣を見ながら、三つ編みの受付嬢へと言う。

 

「ともかく、報酬は増額させていただきますね」

 

「助かる……そのうち、またお礼はさせてもらう」

 

「はい」

 

 ゴブリンスレイヤーの礼に受付嬢は笑顔を浮かべると帳場の奥へと向かう。

 

「ふふ、いつも仲睦まじいね。お二人さん」

 

 受付嬢の同僚が楽しげに声をかけてくる。

 

「公私を分けれていないと言うなら、自重するが?」

 

「いやいや、大丈夫だよ、あの子も楽しそうだし私が個人的に楽しんでるだけだからさ……そうそう、実は後で貴方に会いたいって人がいるんだ」

 

 同僚は楽し気にしながら、一枚の莎草紙(パピルス)を放る。そこには流麗な筆致での走り書きがあって、名前と場所が書かれていた。

 

 

 

「今から武具の調達とか換金とかするんだが、その後で会いに行くとしよう」

 

「構わないよ、じゃあ、よろしく」

 

 話を終えると同僚も帳場の奥へと引っ込み……。

 

「お待たせしました!」

 

「ああ」

 

 そうして報酬を持って帰って来た受付嬢に応じると報酬を受け取って、まずは遺跡での貴金属と鉱石を換金しに向かうと、そのまま換金して工房へと行く。

 

「ほう、魔法の剣を手に入れるとはやるじゃねえか……ゴブリン退治に使うのか?」

 

ゴブリンスレイヤーが置いた魔法の剣を見ながら、親方が問いかけた。

 

「ゴブリン相手に魔法の剣を使うなんてのは間抜け(マンチキン)だろう。だが、優れた武装があればその分、冒険での生存率は上がる……不測の事態に備えての用意だな」

 

「まあ、そういう事だわなぁ」

 

 ゴブリンスレイヤーは魔法の剣を納める鞘を用意してもらうようまずは注文、次に自分が装備している革鎧は大分ぼろぼろになっているので新しく、そして性能の良い革鎧を買おうとして……。

 

「悪いな……革鎧は切らしてて今、作ってるところなんだが……どうも必要な素材が届かねぇ。もしもの時は補強するから預けてもらえるか?」

 

「分かった」

 

 革鎧の話はそうなり……。

 

 

 

「こっちはあるようだな」

 

 次にゴブリンスレイヤーは性能の良い長剣に片手剣、短剣にナイフ、矢,兜に丸盾に鎖帷子など必要な物を幾つも購入しながら、牧場への配達を頼んだりした。

 

「今回は随分と金払いが良いじゃねえか」

 

「ありがたい事に大分、余裕が出来たからな」

 

「それは何よりだ」

 

 こうして、工房での買い物を終えると……。

 

 

 

「やぁ、オルクボルグ。待ってたよ」

 

「ああ」

 

 冒険者ギルドの待合室の片隅の席に青い髪の森人剣士が座っていた。

 

「俺に用があるという事は助けがいるのか?」

 

「ああ、端的に言えばそうだ。もっとも君の助けというよりは君の側で行動した方が私の目的を達成できそうだから、かな……君の道行きには混沌の気配があるようだしね」

 

「……言葉だけ聞けば、俺が不吉の象徴みたいだな」

 

 森人剣士の言葉にゴブリンスレイヤーは今までゴブリン退治において、ホブにシャーマンだけでなくチャンピオンにロードといった特異種やらゴブリン退治をしたかと思えば、盗賊団や邪教団の相手をする事になったり、トロルや大きな目玉の怪物他、ゴブリンよりも幾段も強い怪物どもと戦う事になったり等々……厄介事や面倒事が幾度ともなく、降りかかってきているので森人剣士の言葉に何とも言えない表情を浮かべつつとりあえず、苦笑する。

 

「英雄には苦難や試練が付き物だという……そう考えてはどうかな?」

 

「そうだな……で、実は今さっき武具や防具の新調を頼んできたとこなんだ。それが済んでからで良いか?」

 

「それで問題無いよ。さて、パーティを組むなら改めて実力の確認と行こうか」

 

「良いだろう」

 

 互いにやり取りを終えると森人剣士の先導に従って、ゴブリンスレイヤーは移動を開始するのであった……。

 

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