『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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四十話

 

 ゴブリンスレイヤーはゴブリン退治で探索する事になった遺跡にて手に入れた魔法の剣を手に入れたが鞘は無かったので、冒険者ギルドの施設にある工房の親方に鞘を作るよう注文し、更に性能の高い武器と防具を買ったのだが、革鎧も性能の高いものを買おうとしたが工房内には無く、必要な素材も無いとの事で修繕と補強をしてもらうようになった。

 

 なのでそれらが終わるまで冒険は休む事になり……。

 

「ありがとうね、手伝ってくれて」

 

「冒険者の仕事をしない以上、当たり前だろう」

 

 ゴブリンスレイヤーは朝、牧場で牛飼娘の仕事を手伝っていく。理由は勿論、冒険者の仕事は休みだからであり、ならば下宿させてもらっている牧場の仕事を手伝うのは当たり前の事だ。

 

 穀潰しになど、なるつもりは無いのだから……。

 

 

 

「それにこういう仕事も好きではある……牧場の雰囲気はのどかだし、良い気分転換になるしな」

 

「じゃあ、このまま冒険者止めて正式に農家になりなよ」

 

「それはまだまだ無理だな。冒険者として大成している最中でもあるからな」

 

「だよねぇ~。私だって、冒険者として活躍している君が好きだし」

 

「それはありがとう……俺もいつも出迎えてくれて色々と支えようとしてくれるお前の事が好きだ」

 

「もぅ……そうやって、また調子の良い事言って……」

 

 牛飼娘は冒険者として活躍しているゴブリンスレイヤーの勇姿、彼が活躍する様子を聞くのが好きなので伝えてみれば、思わぬ反撃が来たので恥ずかしさに嬉しさから顔を赤らめ、思わず目を背けてしまった。

 

「だが、不快じゃないだろ?」

 

「……うん」

 

 ゴブリンスレイヤーの問いかけに牛飼娘は素直に頷き、微笑む。

 

「……ふ」

 

 仲睦まじさすら漂わせるゴブリンスレイヤーと牛飼娘の様子を見、牧場主は笑みを浮かべる。

 

 ゴブリンスレイヤーが冒険者であるのは正直、思うところがあるにはあるがしかし……牛飼娘が幸せならもう、些細な事だ。

 

 それに大人が若者達の交流に口を出すのは野暮という物だろう……そんな事を思い、牧場主は二人の交流に自分は余計な事をしない事に決める。

 

 

 

 とはいえ、見守るくらいはするが……。

 

 ともかく、そうして、ゴブリンスレイヤーは昼近くまで牧場の仕事を手伝い……。

 

 

 

「牧場の手伝いは終わったようだね。オルクボルグ」

 

「ああ、だから来た」

 

「ふふ、じゃあ始めようか」

 

 牧場から辺境の街へと移動し、冒険者ギルドに入るとその裏手へと直行する。すると魔法の域にすら達している程に優れた剣技を有している事から弟子入りした森人剣士がいた。

 

 因みにゴブリンスレイヤーは実戦形式の鍛錬のため、左腕には今まで使っていた丸盾を括っていた。

 

 そんなゴブリンスレイヤーに用意していた木剣を森人剣士は投げ、それを彼は受け取る。

 

「ああ、一本くらいは取ってやる」

 

「さて、出来るかな?」

 

 そう挑戦的な笑みでゴブリンスレイヤーは告げると同じく、挑戦的な笑みを森人剣士は浮かべた。

 

 

 

「ふっ!!」

 

「しっ!!」

 

 そうして始まる流麗にして華麗だが、壮絶であり苛烈な剣舞の応酬。

 

 

 森人剣士が繰り出す剣舞に対し、ゴブリンスレイヤーは同じ剣舞で対抗しつつも盾を滑り込ませる事で森人剣士の剣撃を防いで隙を生じさせようとしたり、剣で打ち払いながら盾で殴りつけるという変化を加え、これにより森人剣士の調子を狂わせようとしたり、盾で括っているだけだからこそ出来る木剣の両手持ちをし、森人剣士の剣撃に対し、盾を前に掲げながら受け止める事でそのまま、全力の剣撃を繰り出す事で強烈なる反撃をする。

 

 

 

「へぇ、昨日とは段違いだね」

 

 

 ひたすらに華麗で流麗な剣舞を披露する森人剣士は昨日、教え始めたばかりなのにもう彼の剣舞の質が変わっている事に驚きながらも喜んだ。

 

「帰った後もしっかり習い教わった事を身に付けられるように鍛錬しているからな」

 

 

 彼が言うように昨日、帰ってからも夜中、森人剣士の剣舞に彼女の教えを頭の中で思い返しながら、なぞるように自己鍛錬をした。

 

 更には目の前に彼女の偶像を作りながら、仮想戦闘もしたのである。

 

 その成果はしっかりと発揮されているのだ。

 

 

 

「大した努力家だよ、本当に」

 

「結局はそれが一番だろ?」

 

「その通り」

 

 そうして、二人は剣舞を応酬し続ける。

 

 

 

「くっ……まだまだか」

 

「ふふ、そう簡単に一本は取らせたりしないさ」

 

 夕刻、鍛錬は終わりゴブリンスレイヤーは息を激しく切らせ、地面に座り込んだ状態で一本も取れなかった現状を悔しがる。

 

 対して息を軽く切らせながら、森人剣士は苦笑する。

 

「(教え甲斐のある子だ)」

 

 ひたすらに自分から剣を教わりながらも自分を越えようと意思の炎を燃やすゴブリンスレイヤーに森人剣士は師として好ましく思うし、だからこそ彼を成長させてやりたい思いと強くなりたいという彼の意志に応えるべく、全力以上の全力を出している。

 

 そうして、師弟である二人の鍛錬は数日、続き……。

 

 

 

 

 

「はあっ!!」

 

「お……」

 

 流麗にして華麗な剣舞を披露する中で壮絶にして苛烈な戦闘を繰り広げていた二人……数十、数百、数千……それ以上にもなる技と駆け引きの応酬の中でゴブリンスレイヤーの剣撃が森人剣士の木剣を弾き飛ばした。

 

「とうとう、一本取られてしまったか」

 

「大分時間をかけて、ようやくだがな」

 

「君は本当に自分に厳しいな」

 

 一本を取るという目標を達成したが、しかしまだまだ不甲斐ないと自分を責めているゴブリンスレイヤーのストイックさに森人剣士は苦笑した。

 

 

 

「まあな……む」

 

「嵐の巨人の気配がする……これは荒れるぞ、牧場に帰って備えておくと良い」

 

「ああ、そうさせてもらう」

 

 西の彼方、空の向こうから雷電竜の喉が唸る音が響き、黒々とした雲がこの地、西の辺境へと押し寄せつつあるのにゴブリンスレイヤーと森人剣士は気づく。

 

 これにより、森人剣士の言葉に従い、ゴブリンスレイヤーは牧場へと帰還し、嵐に対する備えをした。

 

 翌日、魔法の剣の鞘の完成と鎧の修繕と補強が出来、ゴブリンスレイヤーはそれを受け取ったのであった……。

 

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