『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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四十四話

 

 

 ゴブリンの群れの巣穴となっていた洞窟では混沌の勢力に堕ち、祈らぬ者(ノンプレイヤー)となった魔術師がゴブリンを従えており、その魔術師は中で自分の思い通りに操れる優れた生物を作っていた。

 オウルベアもその過程で生まれた怪物であり、更に死体を合成してタラスクもどきに複数のエルフの死体からそれぞれ、一部を切り取り、合成させて屍人形を作り出してもいた。

 

 そんな魔術師とゴブリンの群れをゴブリンスレイヤーと森人剣士は殲滅した。

 

 その後、二人は魔術師の死体とエルフの屍人形を引きずりながら洞窟を更に探索すれば岸壁を掘ったか何かして拵えた棚に書物や得体の知れぬ薬剤がずらりと並んでいるといった魔術師の研究室を見つけた。

 

 書物も薬剤も中にはかなりの価値になる物もあるが……。

 

 

 

「片付けるぞ」 

 

「ああ」

 

 魔術師の死体に屍人形、薬剤に書物を全て集め、中央で山にして積み上げるとゴブリンスレイヤーはタラスクもどきの体内から取り出した胃袋の栓を取り、中身の燃える水(ガソリン)を空になるまでかける。

 

 そして、火打石で新しい松明に点火したその火をガソリン塗れのそれに軽く当てれば、みるみると炎が燃え上がっていく。

 

 ゴブリンスレイヤーも森人剣士も魔術師が生きていた証の一切を残すつもりは毛頭無いのだ。

 

 

「燃えろ……全部燃えちまえ」

 

 全てを炎が燃やしているのを見ながら、ゴブリンスレイヤーはそう言い、森人剣士と共にこの場を移動して洞窟の入り口付近まで行く。

 

 外ではまだ雨が降っているし、風は吹いていた。

 

 なので洞窟内で野営する事にしたのである。

 

「……終わったんだな」

 

「ああ、終わった」

 

 ふと、焚き火をしている中で森人剣士は呟いたのをゴブリンスレイヤーは頷き、肯定する。

 

 

 

「そうか……ふふ、終わらせるのに随分とかかったよ。ああ、本当に長かった……」

 

 森人剣士は苦笑を浮かべながら、溜息を交えて言う。

 

「大変だったな」

 

「……うん、大変だった……だからかな、凄く疲れたんだ」

 

「だろうな」

 

 ゴブリンスレイヤーは森人剣士の言葉に頷きながら、近づき……。

 

「良くやった」

 

「……うん」

 

 森人剣士の身体を引き寄せながら抱き締めると森人剣士はそれを受け入れ、彼の胸へと顔を埋める。

 

 

 

 

 そして……。

 

「っ……ぅ……」

 

 かすかに嗚咽の声を漏らし、震えているのをゴブリンスレイヤーは彼女の頭を撫でたり、背中を摩ったりするのだった。

 

「……それでこれからどうする気だ……」

 

 森人剣士が落ち着いたところでゴブリンスレイヤーは話しかける。

 

「本当は西に旅立とうと思っていたけど……思ったより疲れたからね。少しの間、君の側で休んで良いかい? 君の側は居心地が良い」

 

「光栄だな。好きなだけ、休めば良い」

 

「ふふ……ああ、森人の時間は長いからね。君の時間にだって付き合える」

 

「そうか」

 

 

 そんな話をしながら、森人剣士はゴブリンスレイヤーに寄り添う。そうして、時間が過ぎると嵐が止んだ。

 

 ゴブリンが別に洞窟に帰還などもしなかったのを確認すると村にゴブリン退治を達成した事を報告し、そうして数日かけて辺境の街へ……。

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした。そして、本当にありがとうございました」

 

「銅等級という頼りになる相棒がいたから、問題無かったよ」

 

「いやいや、こっちとしても君は頼りになったよ」

 

 笑顔で出迎え、労いと感謝を告げた受付嬢にゴブリンスレイヤーも森人剣士も言葉をかける。

 

 そうして報酬を分配した後……。

 

 

 

「……って訳で大損こいちまった」

 

「それは災難だったな」

 

「まあ、これも冒険と言えば冒険だけどな。良いさ、次は遺跡で見つけられるかもしれねぇしな。お前の様に」

 

 冒険者ギルドに槍使いがいて話しかければ、巨人退治に魔法の槍を使って退治した結果、折れてしまったとの事。

 

 ゴブリンスレイヤーが声をかければ、槍使いは苦笑しながら、ゴブリンスレイヤーが魔法の剣を手に入れた経緯を聞いたからこそ言う。

 

「元は他の冒険者のものだがな。だからこそ、大事に使うが」

 

「その方が良い。持ち主だってゴブリンに使われるよりは幾分か、浮かばれるだろうぜ」

 

「だと良いがな」

 

 酒場にて軽く一杯、飲み交わした後でゴブリンスレイヤーは牧場へと帰還し……。

 

「お帰りなさい」

 

「ただいま」

 

 牛飼娘が温かく、出迎えるのに快くなりながら受け入れるのであった……。

 

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