ゴブリンスレイヤーは新人冒険者となった女神官だけでなく、女武闘家に新米戦士と見習い聖女の面倒を見る事になった。
そして、冒険者として依頼を受けてない時は冒険者ギルドの裏手を訓練場にして訓練をつけていく。
「ほら、絶対に盾は下げるな。常に構える事を意識しろ」
「は、はいっ!!」
「盾も剣も守るだけ、斬るだけが全てじゃ無いぞ」
「はい」
見習い戦士に盾と剣、両脚を用いた近接戦を仕込んでいき……。
「やあっ!!」
「中々、良い動きだぞ」
「はい……ゴブリンスレイヤーさんも凄いですね」
「良い人の動きを参考にしているからな」
女武闘家に対しても数年の鍛錬の果てに女査察から学んだ事で彼も百歩真拳の真髄へと至っていた。故に格闘戦の極みを実践しながら教えていく。
天秤剣を使う見習い聖女と錫杖を使う女神官にも近接においての捌き方を教えつつ……。
「投擲は地味だが、しかし極めれば便利だ。少なくとも戦いにおける手札が一つ、あるのと無いのとでは全然違う」
的を用意し、そして石や武器を投擲する事でどれだけ便利かを見せつけた。
『(この人、投擲が一番凄い……)』
戦闘技術はどの分野も一流と言って良かったが何より、ゴブリンスレイヤーは投擲が優れているのを新人冒険者達は感じ取る。
そうして、投石紐を始めとした投擲技術の習得に新人冒険者たちは精を出す。
更に教えるのは戦闘技術だけでなく、幾つかの新人向けの依頼を受けつつ……。
「こうやって、足跡を探っていくのは重要だ」
足跡から怪物の居場所の探り方……。
「常に四方に気を配り、こうやって隠れられるところには常に身を潜めて物陰から窺え」
斥候としての周囲の探り方……。
「野営をする時はこうしてだな……」
野営の仕方など冒険における全ての技術を懇切丁寧に教え、あるときは実際にやらせながら教えていく。
「分かりやすい教え、ありがとうございます」
「おまけに物資の用意まで……」
「思い切って、頼って良かったな」
「本当ね……」
女神官に女武闘家は技術や知識を惜しげもなく、教えるだけでなく何が必要かを言ったりして、実際に自分の金で払って用意するゴブリンスレイヤーに対し感謝をした。
新米戦士に見習い聖女もゴブリンスレイヤーに思い切って声をかけて正解だったと喜び、感謝をしていく。
「新人の時が一番苦労するからな」
「だからってこんなにも面倒を見る優しさを持っているのは君くらいだぞ」
何でもない事のように言うゴブリンスレイヤーに森人剣士は苦笑するのだった……。
二
辺境の街を慣れ切ったように歩く二人の男女がいた。
「いつもありがとうございます、ゴブリンスレイヤーさん。新人さんたちの面倒を見てもらって」
「出来る事をしているだけに過ぎないさ」
一人は男の腕に腕を絡めている三つ編みの受付嬢であり、彼女が腕を絡めているのはゴブリンスレイヤー。
新人冒険者である女神官に女武闘家、新米戦士に見習い聖女はゴブリンスレイヤーの一か月近くの指導もあって実力を身に付けつつ、ありまだ独立には程遠いが、今は経験を積むために彼女達四人の一組で新人向けの依頼を受けてそれをこなしに向かっていた。
「そう言って、何人も新人の皆さんの面倒を見てくれていますよね」
そして、ゴブリンスレイヤーが面倒を見た新人は女神官達だけでない。数年の間に何名も指導をしながら、面倒を見た事で中堅や歴戦の冒険者へと育て上げていたりするのだ。
「何事も最後まで責任を持つべきだから、そうしているだけだ」
「ふふ」
何年経っても驕らず、優しさも変わらないゴブリンスレイヤーのそれを喜びながら受付嬢は身を寄せていく。
そうして、逢瀬の時間を楽しむと……。
「ふあ、んん……ゴブリンスレイヤーさん……もっとぉ……」
「分かった」
自分に甘えて求めてくる受付嬢の両手を優しく握り締めながら、そして求めに応じて満たしていくのだった……。