『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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五話

 

 投擲手の彼が冒険者となってから四件も『ゴブリン退治』を引き受けている。流石にもうそろそろ、別の怪物退治を受けようとしていたがそんな時に村人が切羽詰まった様子で冒険者ギルドに駆け込んで『ゴブリン退治』を依頼したので放置できず、その村人の依頼を受ける事にした。

 

 そしてゴブリンが住処としている廃遺跡を発見し、今まで通り野伏からなる斥候染みた技術を駆使して潜入し、自らの優れた投擲技術を用いて自らの存在を悟らせず、ゴブリンたちを蹴散らしていったが……。

 

「GORBB」

 

 ホブゴブリンより更に巨大で、かつその肉体はゴブリンらしからぬ強靭な筋肉で構成されている特異種が主の如く、君臨していた。

 

 もっともゴブリンに同族意識など欠片も無く、強い者に従っていながら内心では隙あらば蹴落とし、下剋上を果たそうとしていたり、利用しようとしていたり、自分より弱い者はゴミだと加虐的であったりというそんな性格だ。

 

 無論、同族にだけこうではなく、他の怪物や他の種族に対しても同様であったりする。

 

 ともかく、ホブゴブリンを戦士として成長させたようなゴブリンの特異種はまず、周囲に控えていたホブも含めたゴブリンを蹴散らした投擲手に対して怒りの叫びを上げて襲い掛かる。

 

 

 

「ちっ!!」

 

 ゴブリンの剛撃を盾を使うなどして受け流しつつ、その勢いを利用して流れるように回避する投擲手。そして……。

 

 

 

「そらっ!!」

 

 

「GOB!?」

 

左の盾を取り外すと右手で特殊な回転をかけながら投擲する。すると盾はゴブリンの喉に強烈な勢いで炸裂し、その強烈なダメージにゴブリンの特異種は喉を押さえながら床に膝をつく。

 

 

 

「もう一度だ」

 

 ゴブリンの喉に当たった盾は投擲手の元へと跳弾する。

 

 特殊な回転や角度などを計算して投げた投擲手の技量により、投擲手の元に盾は戻って来たのだ。

 

 それを左手で受け取りつつ、身を捻り、回転の勢いを加えて再び投擲。

 

「GROORB!!!?」

 

 猛烈な勢いで回転する盾がゴブリンの特異種の側頭部に炸裂し、その身を横倒す。

 

 

 

「じゃあな」

 

「GROO!!」

 

投擲手はまた戻ってきた盾を左手で掴みながら、横倒しとなったそのゴブリンに逆手で持った右の長剣を振りかぶり、槍投げの要領で投擲すると深々とゴブリンの右目を長剣は貫き、脳に達する事でゴブリンの特異種を葬ったのだった。

 

 

 これでゴブリン退治は終わった。しかしだ……。

 

 

 

「ありがとよ、冒険者。そいつらにはほとほと困っていたんだ」

 

 なんとゴブリンの群れがいた事で潜伏していた盗賊団が現れた。

 

 

「最悪だ」

 

『ぐげえええっ!!』

 

 まず盗賊団の下っ端に対し、盾や携帯していたゴブリンの武器や石用の袋から石を取り出して投擲する事で倒していく。

 

 

 

「さあ、アジトの場所を教えてもらおうか?」

 

「ひ、ぎいいあああっ!!」

 

 そして、一人だけ生き残らせており、その者を拷問する事でアジトの場所を聞き出して殺した。その後、そのアジトへと潜入し……。

 

 

「ぐげえっ!!」

 

 石や先程倒した盗賊団の下っ端、アジトで倒した下っ端の武器、あるいはアジトの中に置いてあった物体などを投擲する遠距離攻撃を中心に場合に応じては盾と片手剣、鷲の頭を模した柄頭の短刀を用いて盗賊団を倒していく。

 

 そして、全滅させた後はアジトに溜め込まれていた宝を投擲手は奪い取り、これにて、『ゴブリン退治』は終了した。

 

 

 

「……という訳だ」

 

「それはまた、大変でしたね……お疲れ様です。盗賊団分の報酬は上乗せさせてもらいますね」

 

 全てを受付嬢に報告すれば労われ、頭を下げられる。

 

 

「良いのか?」

 

「勿論、当然の事です」

 

「ありがとう、嬉しいよ」

 

「こちらこそ、いつもゴブリン退治を引き受けてもらい、解決していただいているのでありがとうございます」

 

 笑い合いながら、投擲手は受付嬢と話を交わすのだった……。

 

 

 

 

 

 その日から二日の時間が経過し……。

 

 

 

「せいっ!!」

 

「GOB!!」

 

夕暮れの村外れにて、家畜を攫った事でゴブリン退治を依頼されていたそれを引き受けた投擲手は石を豪速で投擲し、ゴブリンの頭部に炸裂させるとその威力によって破壊する。

 

 

 

「おらあっ!!」

 

「やあっ!!」

 

 投擲手の彼から離れた所では投擲手が工房で初めて装備を調達する時に出会った若い戦士とそんな彼が頭目となっている一党に入っている巌のような矮躯と筋肉を有する 鉱人(ドワーフ)の戦士が二体のゴブリンを倒した。

 

 因みに若い戦士が頭目の一党は鉱人の他にもやや尖った耳が特徴的な半森人(ハーフエルフ)の少女にして野伏(レンジャー)と知識神に仕える禿頭の僧侶がいる。

 

 今回、この若い戦士の一党と投擲手の『ゴブリン退治』の依頼は別件であるが、バッティングしたのだ。

 

 そうして、投擲手は自身の斥候の技術でゴブリンの居場所を見つけると若い戦士の一党と行動し、二手に分かれて始末したという訳である。

 

「なぁ、俺達は次の依頼で鉱山の探索を受けているんだ。だから、一緒にやらないか? お前の斥候の技術は頼りになるからな、それに投擲の技術も……」

 

「誘ってくれたのはありがたいが、いきなりお前たちの一党に加わるってのも俺が迷惑をかけそうでな。お詫びも兼ねて他にもゴブリンが来ないか一日様子を見ておくから、お前たちはお前たちの依頼の達成の報告を済ませに行くと良い」

 

「おお、そうか……じゃあ、次は一緒にやろうぜ」

 

「そうだな、一党で行動する良さってのはまがりなりに分かったし」

 

「ああ、良いもんだぞ。一党ってのは」

 

「本当にな」

 

「はい、楽しいです」

 

「ですな」

 

 そうして笑い合う若い戦士の一党。

 

「じゃあ、そっちが次の依頼を達成できるよう、武運を祈っておく」

 

「ありがとうよ、こっちもお前が依頼をこなせるよう武運を祈らせてもらうぜ」

 

「ああ……そうだ、俺も経験したが世の中、何があるか分からない。警戒は常にした方が良い。鉱山みたいな場所なら猶更だ」

 

「おう、そうさせてもらう」

 

 そう話し合って、投擲手の彼は様子見として残り、若い戦士の一党はギルドへと帰還を始める。

 

 

 

 その後……。

 

 

 

 

「あの、次はこういう依頼はどうですか?」

 

 ゴブリン退治の依頼についての報告を終えて報酬を受け取ると三つ編みの受付嬢から依頼書を見せられた。

 

悪魔犬(ワーグ)……まあ、ゴブリン退治以外の依頼を本当に受けたかったところだから望む所だ。ありがとう」

 

「いえいえ、実はうっかり、貼り出すのを忘れていた物なので逆に助かります」

 

「それでも貴方のしてくれた事は俺にとって嬉しかった。今度、時間があれば食事でも奢らせてくれ」

 

「っ、はい、時間があれば」

 

 笑顔を浮かべ合いながら話していた投擲手と三つ編みの受付嬢だが、投擲手からの食事の誘いに三つ編みの受付嬢は顔を赤く染め、驚愕しながらも頷いた。

 

「はああ~~!? てめえっ、俺より先に受付嬢さんと「ほら、邪魔、しない、の」むぐぐ~~」

 

 槍使いの男は投擲手が自分の意中の相手である受付嬢と自分より先に食事が出来そう(槍使い自身、何度か誘ったがやんわりと断られている)な事に文句を言ったが、魔女によって口を塞がれ、どこかへと連行されるのであった……。

 

 

 

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