空に朝日が昇る中、辺境の街に建設されたとある家の中にて……。
「ふちゅ、んちゅ、ふむ……」
寝室の寝台の上で髪を下ろした冒険者ギルドの受付嬢がゴブリンスレイヤーと深く口づけを交わしていた。まるでいつまでも二人の時間を楽しみたいというように抱き締め合い、触れ合いながら、何度も口づけを交わす。
「ふぅ……愛してます」
「俺もだ」
そうして名残惜しいというように最後の口づけを交わすと寝台から起き上がって、身支度を整え始める。
「料理まで出来るなんて本当にゴブリンスレイヤーさんは器用ですよね」
「何度もやっているから覚えただけだ」
二人で朝食を作り、そうして味わう。
「じゃあ、今日は立会人をお願いしますね」
「任せろ」
ゴブリンスレイヤーは今日、冒険者ギルドで行われる昇級審査の立会人をする。
冒険者においては戦闘技術のような実力は当然としても依頼者に対する対応にこなした依頼、貢献度、そしてこれはもっとも重要な事だが『人格』が重視される。
この四方世界における冒険者の基本的な扱いは『ならず者』でしかないのだから……。
故にあらゆる事を想定して昇級審査の際は上位冒険者の立会いの下、審査であり、面接が行われている。
もっと言えば、ゴブリンスレイヤーはよっぽどのことが無い限り、昇級審査における立会人を務めてもいた。
そうして、受付嬢とは間隔を開けて彼女の家を出て冒険者ギルドへ……。
「あ、おーい!!」
すると昨日、仲間の圃人斥候に遺跡探索での宝である古銭金貨を危うくネコババされるところであった斧戦士から声をかけられる。彼の傍には妖術師と僧侶もいた。
「本当、昨日はありがとう。お陰で本当に助かった」
「いや、良い。俺は冒険者として当然な事をしただけだ。あいつは冒険者としての禁忌を犯したけどな」
斧戦士はゴブリンスレイヤーから仲間であった圃人斥候が古銭である金貨を換金していたのを証拠付きで教えてもらい、問い質せば逃げ出そうとしていたのをゴブリンスレイヤーが石の投擲で昏倒させる支援をしてもらった事に感謝を示した。
「ああ、たっぷりと冒険者としての禁忌を犯せばどうなるか思い知らせてやったよ」
「あいつの本性を見抜けなかったのは悔しいよ」
「まだまだ、修行が足りんという事だ」
今、思い出しても腹が立つとばかりに言う斧戦士達の恰好はしっかりと圃人斥候から金をとったのだろう、身に着けていた鎧など小綺麗な物に新調している。
冒険者の世界で重要なのはやはり、信用と信頼。
ならば、そんな信用と信頼を裏切った者は当然、それ相応の報いを迎える事になる。
「いつか、この借りは返させてもらう。もっとも銀等級のあんたに借りを返すのは大変だろうが」
「いや、そうでもない……それと斥候が必要なら声をかけてくれ。都合が良い時なら、手助けしてやる」
「それじゃ、また借りが増えちまうよ……けど、人手が足りないときはそうさせてもらう」
「ああ」
そうして、ゴブリンスレイヤーは斧戦士に妖術師、僧侶たちと握手を交わし……。
「では、始めさせてもらいますね」
「立会人はあんただったのか……」
応接室にて立会人として鋼鉄等級から青玉等級昇級審査を受ける斧戦士に妖術師、僧侶たちと再会するのであった。
「お疲れ様でした、ゴブリンスレイヤーさん」
「お互いにな」
そうして、三つ編みの受付嬢の声に応じながら謝礼金を受け取りに受付へ……。
「名指しの依頼が来ていた」
「う、嘘……」
「わぉ……」
ゴブリンスレイヤーは受付から渡された遠方から郵便馬車で運ばれる特別の様式の依頼書を持って受付嬢と監督官の元へと向かった。そして、その依頼書の内容、特に依頼人に対して受付嬢と更にとある理由から監督官が特に驚いた。
何故なら、その依頼人とは……。
『剣の乙女様ぁッ!?』
十年も前に魔神王を討ち滅ぼした金の冒険者の一党の一人であり、『剣の乙女』として有名である至高神の