『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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六十六話

 

 ゴブリンスレイヤーを指名して『ゴブリン退治』の依頼を出した剣の乙女であり、法と正義の象徴である至高神に仕える『大司教』は辺境の街から荒野を東へ二日ばかり行ったところにある『水の街』を拠点としていた。

 

「ふぅ……」

 

「すぅ、はぁ……」

 

「ふふふ、いよいよか」

 

 ゴブリン退治の依頼をこなすため、馬車を使って『水の街』へと向かっているゴブリンスレイヤーとその一党。

 

 ゴブリンスレイヤーに森人剣士、妖精弓手に鉱人道士に蜥蜴僧侶、女武闘家、新米戦士、重戦士らは普通であるが、地母神に仕える女神官に見習い聖女、女騎士は緊張や興奮していた。

 

 信仰している神は違えど、聖職者にとっては英雄である大司教に会える事に女神官は緊張していて、そして同じ至高神を信仰している見習い聖女は彼女よりも緊張のそれは強い。

 

 将来的には『聖騎士』を志望している女騎士は純粋に『大司教』に会える事を楽しみにしていた。

 

 最初の方は話を弾ませていたりしたのだが、鬱蒼と茂った森の中であり、多くの支流を従えた湖の中洲に聳え立つ白亜の城塞、中央の西端、辺境の東端、近隣で最大の都市である水の街の外観を見ると会話も無くなった。

 

 この街へは馬車だけでなく、船でも入る事が出来、そうした事から多くの旅人に商人、品物、様々な言語が入り乱れ、混沌かつ華やかさを実現している。

 

 

 そんな街の跳ね橋を馬車は渡り、法を司る神が至高神の象徴である天秤と剣を組み合わせた紋章が掲げられた門を潜り抜けた。

 

 

 

「とうとう、来てしまいました」

 

「早くもここに来ることができるなんて」

 

「ようやく、来たぞ」

 

 広場の停留所に馬車が停まると女神官、見習い聖女、女騎士らが先に馬車から降りる。当然、皆が三人に配慮したのだ。

 

 

 

「うー、馬車は楽で良いけど、お尻が痛くなるのがねぇ……」

 

「だな、まぁどんなものにも欠点はある」

 

 次に下りた妖精弓手が体を解すように伸びをしながら、言ってそれに森人剣士が同意する。

 

 

 

「良い旅だった、これはほんの気持ちだ」

 

「おお、あ、ありがとうございます」

 

 最後に下りたゴブリンスレイヤーは御者へと馬車代とは別に幾つかの金貨を渡せば、御者は笑みを浮かべながら頭を下げる。

 

「相変わらず、真面目だな」

 

「こういう礼儀は大事だろ?」

 

「違いねぇな」

 

 ゴブリンスレイヤーの様子を見た重戦士はゴブリンスレイヤーからの返答に苦笑を浮かべる。

 

「じゃあ、私が案内してあげるわ」

 

 『大司教』とは法の神殿で会い、そこで依頼内容について詳しい話を聞く事になっている。そして、妖精弓手は一度、水の街に来た事があるらしく、法の神殿の場所が分かっていた。

 

 そうして、彼女の案内によって進んでいき……。

 

 

 

「ここよ」

 

『おおっ!!』

 

 川沿いにあった建物を指差し、その建物を見て女神官に見習い聖女、女騎士が声を上げた。

 

 白亜の大理石を何本も円柱として築き上げた壮麗な社。天秤と剣を組み合わせた意匠の掲げられた法と正義、光と秩序の神殿がそこにあったからだ。

 

「悪いが、俺から入らせてもらうぞ。指名されたのは俺だからな」

 

 ゴブリンススレイヤーは女神官たちに言うと、先に扉を開けて中へと入り、その後に女神官、見習い聖女、女騎士、その後は残りの者たちという順で後に続いたのだった……。

 

 

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