『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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六話

 

 投擲手の彼は今回、『ゴブリン』とは違う怪物退治の依頼を受けた。

 

 その怪物とは狼の姿をした『悪魔犬(ワーグ)』である。とある村近くの山の森林に悪魔犬の群れが住み着き、近くを通る村人や旅人へ襲い掛かるのだという。無論、時折森林から村近くに姿を見せて餌を探したりもするとの事。

 

 そんな悪魔犬だが、投擲手の彼にとってはお誂え向きの相手とも言える。何故なら、彼は野伏の息子であり、その技術も学んでいて更には狩りをしていた事もある。

 

 もっとも狩りの時は自分の得意な投擲技術を活かして石やら瓦礫やら、刃物やらを投擲する事で仕留めていた。

 

 

 

 もっとも今でも自分の戦法の主軸は投擲であるが……。

 

 そして……。

 

「見つけた」

 

 慎重に悪魔犬の足跡を探しながら、悪魔犬が住み着いている森林に悟られないようにしながら侵入した投擲手は少し離れた場所でまとまっている悪魔犬たちを見つける。

 

 その中には長だろう他の悪魔犬より巨大な身体を有する者がいた。長含めて群れの数は十より少し上であった。

 

 

 

「まずはあれからだな……しっ!!」

 

 腰帯に挟んでいたゴブリンより奪った剣を右手で抜き出しながら、逆手に持ち変えるとそのまま振りかぶって槍投げの要領で悪魔犬の長に向かって投げ放つ。

 

「GYA」

 

 豪速で放たれた剣は悪魔犬の長の頭部を穿ちながら突き刺さり、悪魔犬の長は驚愕の表情のようなものを浮かべながら痙攣し、そして地に倒れた。

 

『GROOO!!』

 

 

「はあっ!!」

 

 悪魔犬の群れは長を失いながらも襲撃者を倒すべく動き出すもその間に腰帯に挟んでいた他の武器を抜き出し、囲まれたりしないよう動きながら次々と投擲。更には腰に吊るしている袋からこの森林に来るまでに用意していた石や途中の廃遺跡から拾った瓦礫をも投擲していく。

 

 

 

『GYAOON!!』

 

 武器に石に瓦礫は標的である悪魔犬の群れに炸裂するとその身に突き刺さったり、あるいは破裂させたりしながら死体として地に倒れさせるのであった。

 

「懐かしい気分になれた」

 

 依頼を終らせた投擲手の彼はそう呟くのであった。

 

 

 

 その後、ギルドへ依頼が無事終わった事を報告しようと向かった際……。

 

 

 

「よう、そっちは無事終わったようだな」

 

「お前たちは無事終わった訳じゃないようだな……」

 

「ああ、本当に死ぬかと思ったよ」

 

 少し前にゴブリン退治でバッティングした若い戦士、半森人の野伏の少女、鉱人の戦士に禿頭の僧侶という四人の一党と再会したのだが、彼らは全員がぼろぼろな様子であった。

 

 若い戦士の一党は鉱山の探索依頼を受けていて、ブロブ退治も兼ねていたのだがなんと鉱山にはとんでもない大物――岩喰怪虫(ロックイーター)が潜んでいたとの事。

 

 

 なんとか必死で命からがら撤退としたとの事だ。

 

 

 

「依頼失敗だが……命には代えられないからな。いずれ、リベンジはするが」 

 

「ああ、その時は無理でも生きてさえいればチャンスは掴める。ともかく無事で良かった」

 

「ありがとう、だが撤退できたのはお前のおかげでもあるんだぜ。警戒の大事さを言ってくれたろ、あれで警戒をする事に集中していたからロックイーターに気づけたし、なんとか逃げられた。俺達の恩人だ」

 

「いや、お前達の力だろ……」

 

 そんな会話を若い戦士と交わし……。

 

 

 

「今日と明日は休息を取って英気を養おうと思う」

 

「そうですか……冒険者は身体が資本ですからね。良いと思います」

 

「ああ、それでなんだが……良ければ今日、昼食を一緒に取らないか? この前奢るって約束したし……」

 

「……っ、そ、そうですね。じゃあ、そうしましょう」

 

 投擲手の彼は三つ編みの受付嬢に依頼達成の報告をすると昼食に誘い、受付嬢はその誘いに応じた。

 

 

 

 少し時間が経過し、昼になると投擲手の彼は冒険者ギルドの酒場へと受付嬢を伴って入る。

 

「その……改めて言いますけどいつも、誰も中々引き受けてくれないゴブリン退治を引き受けて、そしてちゃんとこなして帰ってきてくれてありがとうございます」

 

「どういたしまして。だが、礼を言われるような事じゃないと思うんだが……仕事をこなして帰ってくるのは冒険者としては当然の事だろう。もっとも場合によっては仕事をこなせない事もあるだろうが……」

 

「勿論、そうですけど……冒険者の皆さん、依頼を引き受けたきり帰って来ない人もいるので……帰ってきてくれる事が嬉しいんです」

 

「俺に悪魔犬退治の依頼を用意してくれた事もそうだが、優しい人だな、貴方は」

 

「優しいのは貴方の方ですよ」

 

 会話を交わしつつ、注文した食べ物と飲み物を口にしていく二人。

 

 

 

「それでな……」

 

「ふふ……」

 

 投擲手と受付嬢は互いに自分の事を語ったりもして食事の時間を楽しんだ。

 

「もう、そろそろ時間だな……誘いに応じてくれてありがとう、楽しかった」

 

「私の方こそ、楽しかったです」

 

 投擲手は受付嬢の分まで代金を払った後、彼女と会話をし、互いに微笑み合う。

 

「こういう時間をまた作りたいと思っている。その時は今日の様に誘わせてもらうよ」

 

「はい、お待ちしています」

 

 投擲手の彼の言葉に受付嬢は微笑み、頷くのであった……。

 

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