『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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七十二話

 

 ゴブリンスレイヤーは地下道の探索の結果として水の街にゴブリンの群れが発生したのは自然な物ではなく、船に関する知識を与えた者がいるために人為的な物である事が分かった。

 

 水の街にある法の神殿には魔神王を倒した冒険者の一党の一人である剣の乙女がいる。

 

 そして、わざわざゴブリンを操っているから剣の乙女がゴブリンに関して恐怖を抱いているのを知っているか、勘付いている混沌勢力の者がやったのだとゴブリンスレイヤーは予測を立てていた。

 

「とりあえず、雨が止んでから探索を再開する。気晴らしをしても良い」

 

 とはいえ、雨の中で地下道を探索するのは悪手であり、これから厳しくなっていくだろう探索の事を思えば心身を休め、リラックスさせる方が良いと判断した。

 

「手紙を出しておくか……準備もしておこう」

 

「では付き合おうか」

 

「私もついていくー」

 

 ゴブリンスレイヤーは牧場の牛飼娘へこれまでの事を記した手紙を送り、遺跡に通じているという地下道の探索のために必要な物の準備をする事にした。

 

 

 

 

 そんなゴブリンスレイヤーに森人剣士と妖精弓手が同行する。

 

「おい、見ろよ。ありゃ上森人(ハイエルフ)だぞ」

 

「それに森人も……あいつ何もんだよ」

 

 街の入り口に建てられた、辺境の街のより大きな、しかし法の神殿よりは小さな支部の冒険者ギルドへと向かえばただでさえ、美しい容姿の森人剣士に上森人を傍に同行させているゴブリンスレイヤーは冒険者達の嫉妬や羨望などが込められた視線を受ける。

 

 

 

「此処は随分と施設が整っているな」

 

「だな、正に街に建てられた施設って気がするよ」

 

「分かる、銀行か何かみたいよね……まあ、銀行なんて訪れた事は無いけど」

 

 白亜石で造られた冒険者ギルドは辺境の街の冒険者ギルドより静かで清潔な印象を与えた。役所と酒場と宿屋、工房などが一緒になったのは同じであったが……。

 

 

 

 

「すまないが……」

 

「銀等級っ……わ、分かった、しっかり届けるよ」

 

 辺境の街と向かう冒険者がいたので牧場にいる牛飼娘に当てた手紙の郵送を依頼として頼み、支払いも終える。

 

 銀等級からの依頼にそれを受けた冒険者は驚きながらもしっかりとそう言った。

 

「さて、後は武器と……」

 

「私達は服だな。下水の匂いは酷いものだ」

 

「染み付くからやんなっちゃうわね」

 

 冒険者ギルドを去りながら、三人はそれぞれ必要な物を買いに行く。

 

 その中で……。

 

「な、なんでカナリアを?」

 

「カナリアは僅かな毒気をも感知して騒ぐ。炭鉱夫は地下の毒気に備えて連れて行くそうだ……遺跡自体の仕掛け、あるいはゴブリンを操る者が用意する可能性もあるからな」

 

 ゴブリンスレイヤーは武器の用意もだが、地下道に関しての備えのために金糸雀を買った。

 

 

 

「それに俺を待つ間の淋しさも埋められるだろう」

 

 この依頼の間だけでなく、依頼が終われば牧場の家にて牛飼娘と共にカナリアの世話をする事も決めていた。

 

「本当、色々と考えたり、気配りするわね」

 

「彼の良いところだからな」

 

ゴブリンスレイヤーに対し、森人剣士に妖精弓手は微笑みながら法の神殿に戻っていくのであった……。

 

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