『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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七十三話

 

 ゴブリンスレイヤーの一党は地下水路の探索を再開した。

 

 一党の進みは今までより早くなった。何故ならゴブリンとの遭遇を避けるようにしたからだ。

 

「まずは厄介そうな頭を潰してからの方が早い」

 

 ゴブリンに船の事などを教え、使役しているだろう黒幕の存在を認識したがゆえにそっちから潰す事にしたのだ。どう考えても厄介そうであるし、逃がしてはならない存在である。

 

 そして、ゴブリン達が船を使ってきたのは汚水の川上、地図の外に出なくてはならないが其処に拠点があるのだから、行かなくてはならないのだ。

 

 移動を続けていると石造りの水路は壁画の施された歩廊に変わり、苔むした床石は朽ちかけつつある大理石に、そして流れる水流は汚水から清水に変わっていった。

 

 

 

「煤の痕だ。随分と昔に灯りが据え付けられていたようだな」

 

 ゴブリンスレイヤーは松明を掲げて壁面を丹念に調べながら、そう言った。

 

 

「ふぅむ、戦士か兵士……いや……」

 

「俺達の先輩だな」

 

 蜥蜴僧侶が壁際に身を屈め、爪先で壁画をひっかく。すると只人に森人、鉱人、圃人、蜥蜴人、獣人と老若男女問わず、種族も問わず、一様に武装した彼らの姿が隙間なく描かれていた。

 

 その武装に統一感が無かったのもあって、傭兵かあるいは冒険者だと予測できたので重戦士が言う。

 

「ふむ、この画風はここ四、五百年よりも前のものじゃろう」

 

「じゃあ、此処はお墓じゃないでしょうか」

 

 女神官は周囲を見回しながら、地下墳墓(カタコンベ)だと推測しつつ、多くの先達を悼むように跪いて、そっと両手で錫杖に縋る。

 

「それが今となっては、ゴブリンの巣になるなんてね」 

 

「猛き者もついには滅びんという奴か……」

 

「今は進もう」

 

 妖精弓手と森人剣士に答えながら、複雑に捻じれ、折れ曲がり、分岐点も多いと迷宮のような地下墳墓を進んでいく。

 

 そうして、重厚な扉を見つけた。

 

 

 

「鍵はかかってない。罠も無いようだな……入るぞ」

 

 ゴブリンスレイヤーが扉を隅から隅まで調べると一党に準備をさせつつ、そうして玄室の扉を蹴り開けた。

 

 鉱人道士が扉の下へ楔を打ち込んで不測の事態に備える。

 

 

 玄室は一〇フィート(約三メートル)四方の石畳が縦三、横三の九枚である。

 

「あれ、見て」

 

「酷い」

 

「くっ」

 

「こういうのばっかり……」

 

「良くも……」

 

 幾つもの石櫃が並んでいる玄室の中央に長い髪をした女がくすんだ色の金属鎧を纏っている状態で縛りつけられていた。

 

 

 

 

「これは罠だ」

 

  小石を軽く女にぶつけると女の身体は力なく動き、髪が落ちた。

 

 それによって骸が姿を表す。

 

 そして、ゴブリンスレイヤーは楔をした扉の前まで行き……。

 

 

 

 

「良いか、合図をしたら叫べ」

 

 そう言うと鋼球を構える。

 

「良し、今だ」

 

 女神官に女武闘家、見習い聖女たちが叫んだ。

 

 

 

 

 

「しっ!!」

 

「GOB!!」

 

罠にかかったと思ったゴブリンが楔を外して閉じ込めにかかろうとしたがゴブリンスレイヤ―が投擲した鋼球が炸裂した事で頭部が破砕する。

 

「はあっ!!」

 

 そのまま、扉を解放しては次々に鋼球や投擲用に装備している剣も投げて更にゴブリンを仕留めていった。

 

 

 

「まだまだ、来るぞ。中央に集まれ」

 

 一旦、中央に集まりながら、やってくるゴブリンの群れを待ち受ける。

 

「≪聖壁≫」

 

 女神官は≪聖壁≫の奇跡も使う。

 

 そうして、ゴブリンの群れは玄室へと迫る足音を鳴らしつつ……。

 

『GO「≪サジタ()……ケルタ(必中)……ラディウス(射出)≫」OOO!?』

 

 ゴブリンスレイヤーは淡々と呪文を唱え、ゴブリンの群れに対し必殺必中の性能を有する≪力矢(マジックミサイル)≫を膨大な数量で放ち、命中させる事で小鬼英雄もいたりしたが、関係なしに大半を仕留める。

 

「俺達もやるかっ!!」

 

「ああ」

 

 そうして重戦士に女騎士なども生き残っているゴブリンの群れを屠っていき、一党がゴブリンの群れを迎撃し、全滅させるのであった……。

 

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