ゴブリンスレイヤーは国王署名入りの『悪魔の塔』と名付けられた遺跡の探索依頼を受けた。
挑むための一党の人数はなんと銀等級であれど三人であり……。
「しかし、この面子でやるのも久しぶりだな」
「ああ、そうだな」
「各自、それぞれ仲間がいるからな」
重戦士に槍使い、ゴブリンスレイヤーの三人である。重戦士は女騎士が調子を崩しており、他の者はとても今回の依頼には連れて行けないという事で彼一人、槍使いは魔女を休ませたいという事で彼一人、ゴブリンスレイヤーは妖精弓手に鉱人道士、蜥蜴僧侶は別の依頼を受けていたところで森人剣士は今回は休みたいという事で彼一人とこういう形になったのだ。
一応、何度かこの三人で依頼をこなした事はあるが、本当に珍しい機会である。
「で、どうするんだよ。あの塔、六十階はあるぞ」
「真正面から突っこんでくのはちょっと手間だな。罠も幾つもあるに決まってる」
「なら、真正面から突っ込まなければいい。登るぞ」
「ああ、だからいつもよりは装備が少ないのか」
「おいおい……まあ、人数的にはその方が良いのかもしれないけどよぉ」
そうして、依頼の場所に辿り着いたゴブリンスレイヤー達。
見上げるは真昼の日差しを浴びて輝く純白の塔である。そんな塔の前で話し合うとゴブリンスレイヤーは登攀すると言ってみせたのだ。
いつもと比べ、投擲用の武器を入れた袋は無いが雑嚢は腰に吊るしているのでそこから楔の束をゴブリンスレイヤーは取り出した。
更に小さな金槌や一巻きのロープも取り出していく。
「とはいえ、堅いな」
金槌で楔を宛がい、叩いたゴブリンスレイヤーだが傷一つ無かった。
「なら、俺に任せな」
重戦士は革の籠手と腕輪を外すと装備を背嚢に押し込み、赤い液体の入った瓶で
そして、片手剣と紅玉が輝く指輪で『
その楔を打ち込めば、容易く外壁に楔が突き立ったのだ。
そうして、重戦士が先頭となって次々にゴブリンスレイヤーから受け取った楔の束から楔を打ち込みつつ、それを使って登り続け、ゴブリンスレイヤーは二番目となって、楔を使って登り、槍使いは三番目で二人の後を追う。
「俺がドンジリとはな……」
「嫌なら、先に登るか?」
「
「ああ」
槍使いは文句こそいうものの、ゴブリンスレイヤーを促し、後に続いた。
そうして登っていくと……。
「ガーゴイルが来たぞ、数は三、方向は西だ。魔術戦を仕掛ける」
「頼んだ」
「よろしくな」
暗い灰の如き色をした翼を持つ悪魔と一見してそう思えてしまう石造りの怪物であるガーゴイルがゴブリンスレイヤー達へと襲い掛かろうとしていた。
ゴブリンスレイヤーは二人に声をかけると……。
「≪
『GARGLEGARG!!』
≪
そうして、難なくゴブリンスレイヤー達は登攀を続け、円盆状に窪んだ広間で外周を円柱が取り囲んでいる頂上へと辿り着いた。
全員が敵が待つ場へと駆けつけると……。
「おのれ、愚かなる
悪の魔術師が呪詛を吐くのもつかの間、その額へゴブリンスレイヤーが投擲用ナイフを投擲し、貫いた。
「これっきりなんだから、喋らせてやれよ」
「魔術師はまともに相手する必要は無い。まともな相手でも無いようだしな」
倒れた魔術師は起き上がり、しかも額に突き刺さったナイフが崩れ落ち、魔術師が骨ばった手で掴んで放り捨てる。
「儀式は成っている。我は言葉持つ者の手により、殺される事は無い」
そう言いながら魔術師は灰色の石魔であるガーゴイルを十以上、顕現させてゴブリンスレイヤー達を襲わせた。
「だってよ、どうする?」
「死なないとは言ってないな」
「殺すのは言葉持つ者の手じゃ無ければ良いという事だろ、ならやりようはある」
ガーゴイルをそれぞれ、重戦士はだんびらで槍使いは槍でゴブリンスレイヤーは魔法の剣で蹴散らしながら、会話し……。
「≪
「≪
「ぐわあああっ!?」
ゴブリンスレイヤーは卵を容器とした催涙弾を魔術師に投擲し、それによって怯んだ隙に≪
威力を調整する事で焼き払うより、痺れさせながら吹っ飛ばす事を重視した事で大きく魔術師は吹っ飛んでいくとやがて、屋上から姿を消す。
つまりは塔から落下し、やがて死んだのだった。
「さあ、後は財宝を探そう」
「だな」
「へへ、こんだけの塔の財宝だ……値打ち物の一つや二つはあるだろ」
その後、ゴブリンスレイヤー達は冒険者らしく、宝箱を探しにかかるのであった……。