ゴブリンスレイヤーは国王署名入りの『悪魔の塔』の探索依頼を同じ銀等級冒険者である重戦士と槍使いの三人の一党で受け、悪魔の塔の主であった魔術師を討伐する事で依頼を達成した。
その成功報酬と塔にあった『宝箱』の中身は当然、どちらも三人で山分けとなったが、良い儲けにはなった。
しかしてゴブリンスレイヤーはその依頼が終わって一日休むとまた複数の依頼を受けた。その依頼は『ゴブリン退治』の依頼である。
「え、また依頼を受けるの……結構、立て続けじゃない?」
妖精弓手はゴブリンスレイヤーがいつもと違って、依頼を受け続けている事に心配な表情を浮かべながら、訪ねる。
「彼はこの時期、いつもこんな感じだよ」
森人剣士が妖精弓手の問いに苦笑を浮かべながら、答えた。
「『収穫祭』が近いからな……村に牧場、この街の防備をしっかり用意しなきゃならん」
秋になると地域や種族によって時期の違いや行わないところもあるが少なくともこの辺境において作物の無事の収穫を祝う『収穫祭』を行う。
そうした祭りにより、収穫された作物を狙ってゴブリンやら他の怪物達が襲い始めたりするのだ。偶に生贄の確保を狙って邪教集団や祭りに向かおうとする商人を狙って盗賊が出たりもする。
ゴブリンスレイヤーはそうした者達から自分の村から牧場、そして牧場からこの街を守るためにいつも、収穫祭までの間に蓄えていた稼ぎを使って防備のための罠やら器具などを調達し、仕掛けているのである。
「あのゴブリンロードの時みたいに?」
「ああ、もっと言うなら今は魔神王の残党たちもまだまだいるからな……守りはもっと厳重にしないといけない」
「あれ以上って……」
ゴブリンスレイヤーからの返答に言葉を失う妖精弓手。
「ふふ、後は牧場の子の誕生日も近いよなぁ。また何か良いものを買うのだろう?」
「……まあな」
揶揄うかのような笑みを浮かべて森人剣士は付け足した。
「ほう、では拙僧からも一つ用意しましょうかな……牧場へは美味しいチーズを御馳走になっている故」
「ああ、そうしてくれると嬉しい」
蜥蜴僧侶はすっかりチーズを味わうのが趣味のようなものになっており、この辺境の街へチーズを送り届けている牧場の事も自然、気に入っていた。
「……助けが必要な時は言いなさいよ。力になるから……ゴブリン退治抜きの冒険に同行してもらう事になるけどね」
「かみきり丸の頼みなら、儂もいつでも力になってやるぞ。酒は奢ってもらうがのう」
「拙僧も小鬼殺し殿の指揮や策の元、戦うのは中々、気に入っておりましてな。遠慮なく声をかけてくだされ。その時は良いチーズを馳走になりますが」
ゴブリンスレイヤーに冒険者として協力を頼まれた際の報酬的な条件は言いながらも皆、力になる事をしっかりと伝えた。
「皆、ありがとう……今年は本当に何があるか分からないから遠慮なく、頼らせてもらう。では、冒険に行ってくる」
「じゃあまた……」
ゴブリンスレイヤーは妖精弓手たちに礼を言いながら、森人剣士と共に複数の『ゴブリン退治』の依頼をこなしに向かったのであった……。