八十三話
『収穫祭』まであと数日になろうかという頃、ゴブリンスレイヤーは辺境の冒険者ギルドに張り出された依頼書を見ると……。
「ゴブリンが鉱山に?」
「随分と珍しいな」
ゴブリンスレイヤーと森人剣士は依頼内容に対し、訝しがった。
ゴブリンは基本、略奪種族だ。そして、だからこそ略奪する事に関しては並々ならぬ執着や知能を働かせる。
鉱山はゴブリンにとって飢えを満たすに最適な場所でない事は理解しているので『渡り』が一時的に住処としたりなどはあるが、二人が見ている依頼書の内容では鉱山を結構な数の群れが巣としているようなのだ。
だからこそ訝しがる。
「また魔術師か、何かが関わっているのかな?」
「可能性は幾らでもあるからな、やる事にしよう」
こうしてゴブリンスレイヤーと森人剣士は鉱山を巣としたゴブリン退治の依頼を引き受ける。
「ふっ!!」
『GOB!!』
鉱山には言わずもがな、採掘後の砂利が山とあるので拾い放題。故にゴブリンスレイヤーは採掘場の坑道より、次々に出てくる偵察のゴブリンに対し、投石紐にて礫を放って炸裂させる事で殺していく。
友釣りというやり方である。
「やっぱり、なにかあるな……装備を提供している奴がいる。兵隊にでもするつもりか……」
ゴブリンスレイヤーは倒しているゴブリンが剣にツルハシ、棍棒、手槍に短剣、更には防具と小鬼の自作に略奪品、両方入り混じった物で装備を整えている事について推測しながら、呟く。
「『収穫祭』までもうすぐって時にこれか……」
「嫌なものだな」
「ああ、嫌だね」
森人剣士も軽く不機嫌になりながら、話を交わした。
「さて、そろそろ攻め込むか」
「そうだな」
ゴブリンスレイヤーは腰に差している中途半端な長さの剣を鞘から抜く。
「横穴を掘っているのは間違いない。気をつけていくぞ」
「ああ」
ゴブリンの死体が持っていたツルハシの状態を検分して坑道内の状況を予測しながら、ゴブリンスレイヤーと森人剣士は攻め込んでいく。
『GOBAA!!』
そうして今回もゴブリンの群れは討伐された。だが、その後で攫われた娘たちを二人は見て、また訝しむ。
『(あまり手を出されていない?)』
鉱山近くにある村から攫われてしまった複数の娘たちは軽く傷ついてはいたが、それだけで後は手出しされていなかった。
前の魔術師のような生贄のためだと予測しながら……。
「今回は大規模なやつかもしれん」
「本当、君のゴブリン退治は厄介事が絡んでくるよね……」
「我ながら嫌になるがな……」
今回のゴブリン退治はゴブリンを動かしている黒幕による小事でしかないと察しつつ、いつもゴブリンスレイヤーのゴブリン退治は必ずと言っていい程、別の厄介事が絡んでくるので森人剣士もゴブリンスレイヤーも溜息を吐くのであった……。