宵の口であるがこの時間帯、辺境の冒険者ギルドの酒場はいつも、賑わうものだ。
客の大半は一仕事を終え、あるいはこれから冒険に向かう前に飲み食いする者である。
他にも死んだ仲間を弔うため、怪我した仲間を励ますため、気勢を上げる手合いも多い。
「冒険の成功に乾杯っ!!」
そうして賑わっている酒場にて妖精弓手が葡萄酒片手に乾杯の音頭をとった。
彼女の周囲には鉱人道士に蜥蜴僧侶と良く一党を組んで冒険をしている者達がいるが、他にも槍使いと魔女の二人がいた。
今回、妖精弓手たちの一党は槍使いに魔女の二人と共に依頼を受けたのだ。
その依頼の内容は街に蔓延する新興宗教を調べてはくれないかというものである。
水の街と比べれば規模は遥かに小さいが、至高神の神殿がある街にて神器が失われてしまったのだという。
そうして、知恵者でもある魔女の推理も活かして調査を始めれば人攫いに麻薬の密売、窃盗恐喝などの悪事が行われていてその証拠の数々が見つかった。
至高神の社から盗まれた神具、瞳を模した青い金剛石まで見つかり、怪しげな儀式を執り行う教団組織に踏み込み、教祖を捕えてこれで依頼が終わったかと思えば……。
『AKAATERRRRAAABBBB!!』
金剛石の瞳に照らされた副教祖が見る間に首魁たる悪魔としての本性を現した。
そうして妖精弓手たちは化けの皮を脱ぎ捨てて襲い来る怪物と丁々発止に戦いを繰り広げ、最後には妖精弓手に弓が悪魔を射殺したのであった。
「流石は銀等級だよなぁ……悪魔退治が出来るなんて」
「だからって焦ったりしないでよ……私達はまだまだ未熟なんだから」
「着実に腕を上げていけば良いって言われたでしょう」
「周到な準備もですね」
妖精弓手たちから少し離れた席では新米戦士に見習い聖女、女武闘家に女神官の一党が今回、終えた依頼の成功を祝っていた。
しかし、羨まし気に言う新米戦士の言葉に見習い聖女、女武闘家に女神官がゴブリンスレイヤーの言葉を借りて注意する。
「わ、分かってるよ……でも、羨ましがるくらいは良いだろう。実際、凄い事は凄いんだから」
タジタジになりながら、新米戦士は言う。女三人に男一人であるが故、立場的にはどうしても弱くなってしまう。
「今回も冒険お疲れ様です、皆さん」
ギルドとしての仕事が終わったので妖精弓手たちと食事を共にしている受付嬢が皆へと声をかける。
そうして、相変わらず悪魔退治の仕事が多いなど、話題を交わしていると……。
「よう、盛り上がっているな」
「皆、今日も依頼を終えたようでなによりだね」
ゴブリンスレイヤーと森人剣士が現れ、声をかけた。
「そっちもね、オルクボルグ……丁度良いから、早く混じりなさい」
「ああ、口頭報告を済ませてからな……詳細報告は明日の朝一に提出するから、確認を頼む」
「はい、任せてください」
妖精弓手の誘いに答えつつ、受付嬢が酒の席にいる事で彼女の仕事が終わっているのを察したゴブリンスレイヤーは受付嬢に頼むように言うと、受付嬢は微笑んで頷いたのであった……。