『冒険者ギルド』のある『辺境の街』では例年、秋に開催される『収穫祭』が今年も開催されており、街中の通りも祭りを楽しみに来た旅客やらこの街周辺の村人、冒険者、出店で商売をしている商人やら商隊、道化や大道芸人などで溢れており、活気が満ちていて賑やかである。
そして、収穫祭が行われているこの街を大勢の団体とも言うべき集団が歩いていた。
ゴブリンスレイヤーに牛飼娘と受付嬢に森人剣士に妖精弓手と女勇者に女剣聖、女賢者の三人である。冒険者ギルドにて、ゴブリンスレイヤーは牛飼娘と共に受付嬢と森人剣士と妖精弓手の三人と待ち合わせをしていたが、そこへ『お兄さーん』と勇者たちが近づいてきたのだ。
ゴブリンスレイヤーは勇者の事を五年前にゴブリン退治で救った村の少女である事を説明し、勇者も又、勇者としての正体は隠しつつ、あくまで冒険者の一党だと説明したのである。
そうしてとりあえず、『収穫祭』を楽しむために歩き出した。
とはいえ、男はゴブリンスレイヤーの一人だけで後は華やかな女性だけの集団というのは目立つ。
もっとも、この街を拠点としている者達はゴブリンスレイヤーと牛飼娘に受付嬢、森人剣士までなら何度か収穫祭を一緒に楽しんでいるのを見ているので慣れている訳だが、今回は何人か、女性が増えているのでやはり驚くし全く初見の者は嫉妬するし、好奇の目も向いた。
「ふむ、相変わらず祭りというのは活気に満ちているな」
「一年に一度の祭りですし、今回は魔神王も倒された後ですから余計に祝おうとしているみたいですよ」
「残党はまだいるみたいだけどね。本当、多いわ。悪魔やら魔術師退治やらが……」
『っ……』
森人剣士が祭りについての話題を出し、受付嬢が今回の祭りの盛り上がりについて説明した。魔神王の話題が出たので妖精弓手はまだ残党が暴れる事について愚痴を漏らした。
当然、勇者たちはぎくりとしていた。
「まあ、それはそうだが今くらいは穏やかに祭りを楽しもうじゃないか」
「そうだよ、祭りは楽しまなきゃ」
ゴブリンスレイヤーは庇うように言い、牛飼娘はそれに同意する。そうして祭りを歩きながら出店で商品や食べ物を買ったりして楽しんでいた時……。
「おおう、今回もモテモテだな。ゴブリンスレイヤーさん」
「本当、凄ぇ」
重戦士の一党の一人である少年斥候にゴブリンスレイヤーが何度か訓練したり、一緒に依頼を行ったりしている新米戦士がゴブリンスレイヤー達へ声をかけた。
そして少年斥候の傍らにはこれも同じく重戦士の一党の一人である圃人の少女巫術士、新米戦士の傍らには見習い聖女がいた。
話を聞けば、酒場の入り口近くにて小さな卓があり、その上には口を開けた蛙の像があってそこから少し離れた距離に白線が引かれている。
十玉銅貨一枚でその球を蛙の口に入れれば大人はエール一杯、子供ならレモネードが出されるという祭り定番の出し物をやっているのだが、どうしても入らないのだという。
手本を見せてくれと頼まれ……。
「ちょ、兄さん知ってますよぉ……勘弁してくださいや」
一度はゴブリンスレイヤーの投擲技術が有名なために断られるも二十玉を銀貨二枚、投げる距離は線より更に下がって倍の距離からという条件で受けさせてもらう。
そうして……。
「ふっ!!」
次から次へと蛙の口に向かって素早く投擲し、そうして口の中に銀玉を放り込んでいった。
『おおおっ!!』
その見事な技術に見ていた者達全員が拍手を送る。
「相変わらず、こういうの得意だよね」
「あの距離から入れられるのは君だけだな」
「流石ですね」
「本当、その投擲技術は凄いわよね」
「凄い、凄いよお兄さん。あんな距離から入れられるなんて」
「正に投擲の達人」
「御見それしました」
ゴブリンスレイヤーの技術を牛飼娘に森人剣士、受付嬢と妖精弓手、勇者と賢者に剣聖はそれぞれ、ゴブリンスレイヤーが得た景品であるエールを受け取り、それを飲みながら賞賛するのであった……。